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2015年9月 5日 (土)

アズミ系倭人とアズマの領域/やまとの謎(105)

沼津市東熊堂にある高尾山古墳に対して、全国的な注目度が高まっている。
同古墳は東日本で最古級の古墳であり、古代史を書き換える可能性を秘めている。
しかし、国道1号線のすぐ脇に位置し、国道246号線との接続道路のため取り壊される寸前である。
⇒2009年9月20日 (日):沼津市で最古級の古墳を発掘
⇒2009年9月21日 (月):沼津市で最古級の古墳を発掘(続)
⇒2015年6月17日 (水):高尾山古墳の主は卑弥弓呼か?/やまとの謎(103)
⇒2015年6月25日 (木):高尾山古墳が存亡の危機という非常事態/やまとの謎(104)

ようやく地元でも取り壊し反対の気運が高まり、署名活動も行われている。
沼津市長は、8月6日に臨時記者会見を開き、「従来の計画を白紙撤回する」旨発言した。
しかし8月26日の定例記者会見では「議会の議決を留保したことの延長に過ぎないと後退してしまった。
「白紙撤回」という表現に対して、議会側から突き上げがあったと聞く。

同古墳は、邪馬台国とほぼオーバーラップする年代観である。
邪馬台国と対立した狗奴国に比定する考え方もあるが、狗奴国論のトップランナー赤塚次郎氏の講演を聞いた。
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赤塚さんは、NPO法人古代邇波の里・文化遺産ネットワーク理事長であるが、『幻の王国・狗奴国を旅する―卑弥呼に抗った謎の国へ 』風媒社(2009年12月)という著書がある。
文化財ではなく文化遺産と捉える視点の重要性を強調しておられた。
前者は行政の枠組みにとらわれるが、後者は市民が自由に取り組めばいい、ということだった。

講演では、スルガ國の位置づけ、地域における旧郡の重要性、山の民と海の民が交錯する沼津という場所の特性、アヅマの領域と足柄峠、ヤマトタケル伝承との関連等々、実に多様な視点から話された。
高尾山古墳に関しては、ヤリの王、船形の木棺、日の出の向きに眠っていた王、東海(濃尾)デザインの高坏型土器、木工集団を象徴するヤリガンナ、2タイプの鉄ヤジリ、東四国産(?)の勾玉等々が注目点だという。

「週刊現代」に連載中の『アースダイバー』で中沢新一さんが扱っている。
2900年ほど前に北部九州にたどり着いた「倭人」の子孫が海岸沿いに日本列島を東進した。
縄文人と混血しながら、稲作と漁業を合体させた弥生式生活を広めていった。

その一部に「アヅミ」がいる。
さらにその一部は富士川をさかのぼって甲州櫛形山の麓に拠点を設け、高尾穂見神社を建てた。
それが沼津に里帰りして「高尾山穂見神社」になった。

博多湾志賀島を拠点としていたアヅミ系倭人は、日本海側と太平洋側に分かれて東進した。
日本海側を進んだグループは、糸魚川から姫川をさかのぼって、信州安曇野の至った。
太平洋岸を進んだグループは、伊勢湾に一大拠点を作った。
一部はさらに東進して、海部、渥美、海士、熱海などの地名を残しながら駿河湾に至った。

沼津に浮島沼という低湿地がある。
私の子どもの頃は、「浮島の沼は底なしだ」などと言われていたが、排水工事によって宅地化が進んだ。
しかし沼地は、重機のない時代には稲作の適地でもあった。
半農半漁の生活をしながら実力を蓄えて「スルガの王」を出すまでになった。

伊勢の海人勢力がスルガの海人勢力とヤマト王権をとりもったのであろう、と中沢氏は言う。
スルガ王とヤマト王権は、服属的な関係というよりも同盟的な関係を結んだ。

ところで「アヅミ」と「アヅマ」は関係があると考えるのが自然だろう。
講演会で、会場に来ていた郡山の人が、郡山にも大きな前方後方墳があると発言していた。
福島県と山形県にまたがる名山に吾妻山がある。
吾妻山はいくつかあるが、代表的なものであろう。

この吾妻山は、「アヅマ」と呼ばれる領域を示していると考えられるが、「アヅマ」の境界なのであろうか?
都からの距離に応じて、ヒナ-アヅマ-エミシという区分があったという。
ツマは端の意であるというのが定説であるが、ツマ自体王権の支配の広がりと共に変わっていったであろう。
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吾妻山は、アヅマとエミシの境界に相応しいのではないか。
最古級の前方後方墳として知られる松本の弘法山古墳は、信州アヅミ族と関係があるであろう。
アヅミ-アヅマ-前方後方墳の関係が気になる。

スルガ國のはじまり=沼津の原点。モモ(たくさんの意味)沢(愛鷹)を奉る部族。実証だけでなく、ストーリーを重視する姿勢に共感を覚えた。そう言えば、historyはハイ・ストーリーだ、という説明を聞いたことがある。

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