翁長知事が国連人権理事会で演説/日本の針路(234)
翁長雄志沖縄県知事が、日本時間22日未明、スイスの国連欧州本部で開かれている国連人権理事会に出席し、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の県内移設反対を訴えた。
「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と人権侵害とした。
日本の都道府県知事が同理事会で発言するのは異例である。
私は、日本国沖縄県の知事、翁長雄志です。
沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている辺野古の状況を、世界中から関心を持って見てください。
沖縄県内の米軍基地は、第二次世界大戦後、米軍に強制接収されて出来た基地です。
沖縄が自ら望んで土地を提供したものではありません。
沖縄は日本国土の0.6%の面積しかありませんが、在日米軍専用施設の73.8%が存在しています。
戦後70年間、いまだ米軍基地から派生する事件・事故や環境問題が県民生活に大きな影響を与え続けています。
このように沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされています。
自国民の自由、平等、人権、民主主義、そういったものを守れない国が、どうして世界の国々とその価値観を共有できるのでしょうか。
日本政府は、昨年、沖縄で行われた全ての選挙で示された民意を一顧だにせず、美しい海を埋め立てて辺野古新基地建設作業を強行しようとしています。
私は、あらゆる手段を使って新基地建設を止める覚悟です。
翁長知事の国連演説(日本語訳)
事実関係としてはこの通りであろう。
国民の8割近くが性急だ、と判断する安保法案が衆参両院で可決した。
安保法案と辺野古新基地建設は、現政権の民意を無視した横暴という点では同じである。
政府の立場は、菅官房長官の発言に表れている。
菅義偉官房長官は14日午前の記者会見で、沖縄県の翁長雄志知事が米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に伴う前知事による埋め立て承認の取り消しを表明したことに関し、「すでに行政判断が示されており、(埋め立て)承認に法的瑕疵(かし)はない見解だ」と述べ、政府の正当性を改めて主張した。政府は法的対抗措置を取る予定で、全面対決は避けられなくなった。
菅官房長官、翁長知事を強く非難 「過去の政府や県の努力無視する発言で非常に残念だ」
前知事の埋め立て承認に瑕疵がないかどうかは司法によって判断されよう。
しかし民意を無視して進めることが、安全保障上有効なのかどうか政府も立ち止まって考えるべきだろう。
全面対決という事態は、独立問題にまで行きつく可能性がある。
写真家初沢亜利氏は次のように述べている。
安保の現場とは、すなわち沖縄である。在沖米軍によって我々の平和が守られてきたことに私自身無自覚に生きてきたことを恥じた。
0.6%の土地に74%もの米軍専用施設を押し付けられた沖縄の我慢と屈辱の上に日本の平和が保たれてきたことは間違いのない事実であり、その認識は保革を越えた県民の総意だ。
そしてそれは我々本土人が最も向き合いたくない事実である。
日米安保賛成派のみならず、反対派であっても、70年間沖縄を犠牲にした上で安保に守られてきたことから逃れることはできない。
現在の政治状況下で反安倍を唱える者たちは、状況を覆すために沖縄も連帯するのが当たり前だと呼びかけるが、基地の本土への引き取りについては、その多くが反対を表明する。
「基地は沖縄にも本土にもどこにもいらない」という反戦平和主義者は、崇高な目標が達成されない限り基地の多くが沖縄に置かれ続ける状況に、結果として加担することになってしまうのだ。この事実に気が付いた瞬間「共に闘おう」という呼びかけが軽率であることに気付くはずだ。
なぜならば、沖縄の闘いは原理的には全ての本土人に向けられているからだ。
安保の現場とは、すなわち沖縄である。それは我々本土人が最も向き合いたくない事実である
安全保障と人権の両立は困難な課題であるが、昭和初期の歴史に学ぶことが重要であろう。
初沢氏の言を重く受けと見たい。
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コメント
県民の我那覇真子も国連でスピーチをやったそうです。
昨日、皆様方は「日本の重要なる地域の一つである沖縄の人達は、差別された少数民族であり、日本政府と米軍により抑圧されている」と聞かれました。
全く事実ではありません!
私は沖縄で生まれ育ちました。日本の一地域として、人権、教育、福祉、健康、生活、全てにおいて最高水準を享受しています。中国は近隣と日本の安全と人権の脅威であります。その中国は(沖縄の)選挙で選ばれた議員と支持者に「我々は先住民族である」と言わせる事により、独立運動を仕掛けております。
我々は少数民族ではありません。
虚偽のプロパガンダ(政治的宣伝)を信じないで下さい。
石垣市の砥板芳行(といたよしゆき)市議会議員からの書面を持って来ました。
「我々の現在の知事は、米軍が果たしている日本とアジア太平洋地域の安全面での役割を、でたらめに無視しています。彼(翁長)は状況説明を誤っています。彼もここに居られる皆様方も、東シナ海、南シナ海において中国が行なっている深刻な挑発行動を、認識する事が重要です」
どうもありがとうございました。
投稿: | 2015年10月 7日 (水) 18時47分