安保法はメディアの問題でもある/日本の針路(235)
安保法制審議の過程で、メディアと政治の関係が浮き彫りされてきた。
戦前、軍機や統帥権の名目で、張作霖爆殺事件が「満州某重大事件」と秘匿され、満州事変の発端となった柳条湖事件が「暴戻なる支那軍」の仕業と報道されたことを想起させる。
⇒2015年9月19日 (土):安保法制と満州事変/日本の針路(231)
自衛隊の海外活動の根拠や内容も、特定秘密保護法の対象になると想定されている。
安倍首相のメディア差別は露骨である。
御用新聞化しているフジサンケイグループ(産経新聞)、永続敗戦構造の盟友である読売新聞グループとは蜜月である。
安保法制の国会審議が大詰めを迎える中、安倍晋三首相が今月初旬、テレビ出演のため大阪へ日帰り出張した。今年になってから出演した番組を調べると、出演する局に偏りも見られる。首相は何を基準に出演を決めているのか。
今月4日。午前の閣議を終えた安倍首相は飛行機で大阪へ。読売テレビに入ると、「そこまで言って委員会NP」の収録と情報番組の生放送に臨んだ。「そこまで」の収録では、司会者から「国会開会中で、実はまずいんじゃないですか」と振られ、首相は「(安全保障関連法案は)国民にしっかり説明せよと言われているので」と笑顔で返した。
ただ、国会開会中の平日に首相が在阪局のバラエティー番組に出演することは異例だ。参院特別委員会では野党側理事が「国会軽視で看過できない」と反発。官邸側は世耕弘成官房副長官が「国会の出席がないことを確認した上で、テレビ局に出演を返事した」と理事会で説明した。
首相の出演TV局に偏り テレ朝・TBSはゼロ、基準は
新聞のスタンスもかなり明確になった。
⇒2015年9月 3日 (木):安保デモ報道とメディアの立ち位置/日本の針路(225)
安倍首相は、戦後レジームの脱却と言いながら、その別名の永続敗戦レジームを踏襲している。
安倍首相のアジア観、世界観の根幹部分をなしているのは、どうやら中華思想ならぬ”日華思想”ともいうべき天動説的日本中心主義(究極のジコチュー)だろう。
なんでも日本中心にしか物事を考えることができないから、日本がアジアに侵略した歴史、前後を顧ず真珠湾を攻撃し太平洋戦争の鳥羽口を開いた歴史、その挙句にものの見事に粉砕された歴史などには触れたがらない。
侵略された側の国民の立場にたって歴史を顧みることができないのだ。
ましてや中国大陸まで進出した日本軍が、南京で、重慶で、東北部満州において犯した様々な犯罪行為や、大陸や朝鮮半島から多くの労働者や女性らを拉致し連行した上で、過酷なまでの炭鉱労働や従軍慰安婦として奴隷のごとく使役した事実を、決して直視しようとはしない。
その理由の一つには、自分の爺様である岸信介が大陸で行なってきた経歴と戦犯行為が白日の下に晒されることで、自分のアイデンテティが崩れ去るのを恐れているからに他ならない。
日本人はもう一度世界大戦の悲劇を経験しないとダメな国民なのか?
http://bogonatsuko.blog45.fc2.
ブロック紙・地方紙と産経・読売との違いも際立っている。
東京新聞9月19日
大本営(政府)発表を垂れ流すメディアは、ジャーナリズムを名乗る資格はないだろう。
国民をミスリードするのは有害である。
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