安保法案採決をスケジュール化する愚/日本の針路(229)
さまざまな指摘に対して、十分な論議が尽くされているとは言えない安保法案を、政府・与党はスケジュールありきで成立させようとしている。
安倍晋三首相は10日、首相官邸で公明党の山口那津男代表と会談し、安全保障関連法案の来週中の成立を目指す方針を確認した。
会談で山口氏は「与党としては16日の参院平和安全法制特別委員会の採決を目指し、来週中に成立にこぎ着けたい」と述べ、同日中の参院本会議への緊急上程を視野に、早期成立を目指す方針を伝えた。これに対し、首相は「政府として国会審議にしっかり対応する」と語り、政府・与党で協力して法案成立を期すことで一致した。
安保関連法案は14日以降は、参院が採決しなくても衆院の出席議員の3分の2以上の賛成で法案が成立する憲法の「60日ルール」の適用が可能。自民党の衆院幹部は16日の参院本会議に関連法案が緊急上程できなかった場合、60日ルールを適用することを検討している。
山口氏はこれまで60日ルールの適用に強く反対していたが、首相との会談後、記者団に「最終的に参院がいたずらに時間を過ごすなら、国会全体の意思決定を憲法上委ねられている衆院が判断を迫られる場面も理論上ある」と語り、衆院再可決の可能性を否定しなかった。
安保法案:自公党首も来週成立を確認
権力の水はそんなに甘いのか、という気がする。
安保反対の各地のデモでも創価学会旗が目につくという。
公明党の、「平和の党」というウリ=アイデンティティはどこへ行ったのだろう?
参院の自民、公明両党は11日、安全保障関連法案を審議している平和安全法制特別委員会の地方公聴会を16日に開くことを決め、16日の特別委での採決は17日にずれ込む見通しとなった。
また15日には中央公聴会が行われる予定であるが、意見を表明する「公述人」の公募に参院では過去10年で最多の95人が応募し、全員が法案に反対の立場を示したという。
東京新聞9月12日
特別委は、中央公聴会で意見を述べる希望者を九~十一日、官報やホームページで募った。希望者は安保法案への賛否や意見表明したい理由を明示する。公述人は、各党が応募者の中から選ぶほか、有識者らに直接依頼することができる。与党が二人、野党が四人の公述人を推薦することで合意している。当日は計六人が順次意見を述べ、与野党委員との質疑を行う。
参院事務局によると、過去十年の公述人応募で最も多かったのは十七人だった。安保法案に関する衆院特別委が七月に開いた中央公聴会の応募者は十五人で、全員が反対の立場だった。一般に公述人への応募は少なく、与野党は有識者に依頼するケースが多い。
参院特別委の福山哲郎理事(民主党)は「短期間の公募だったのに応募数が多く、全員が反対だったということが国民の法案に対する明らかな姿勢を表している」と記者団に説明。民主党が推薦する二人のうち一人は応募者から選ぶ考えを示した。
これに対し、与党は応募者ではなく、法案に賛成する有識者らから選ぶことになる。
安保公聴会 意見表明 95人応募 全員「反対」
「国民の理解が得られていない。理解されるよう丁寧に説明する。」という言葉のなんと白々しいことか。
元最高裁長官の山口繁氏の、集団的自衛権の行使は「憲法違反」と指摘していることについても、「今や一私人になられている方について、いちいちコメントするのは差し控える」と一顧だにしない様子だ。
憲法解釈は最高裁だけの職能としてきたことからすれば、余りにもリスペクトを欠く発言ではなかろうか。
政府は最高裁の砂川事件判決(1959年)を集団的自衛権の行使容認の合憲性の根拠の一部としているが、元最高裁長官を「一私人」としたことに、野党側の反発が強まる可能性がある。
安保法制:安倍首相「元最高裁長官は今や一私人」
たとえ法案が成立したとしても、それで終わりではない。
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