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2015年9月10日 (木)

司法試験問題漏洩と「法の支配」の危機/日本の針路(228)

大澤真幸、木村草太『憲法の条件-戦後70年から考える』NHK出版新書(2015年1月)は、「法の支配」から始まる。
いま、違憲の疑いが濃い安保法案が成立しそうになっている時点で、「立憲主義」の危機であるが、より根本的には「法の支配」の危機と言うべきである。

「法の支配」の対立語は「人の支配」である。
「人の支配」とは、権力を持つ人間の考え方で支配することである。
その権力による支配を制約しようという考え方は13世紀の「マグナカルタ」に遡る。
しかし現実には、現代でも「人の支配」は、中国共産党の独裁のように「法の支配」の上位に立つ例はある。

現代日本はどうか?
「人の支配」が空気を通じて間接的に行われているのではないか。
すなわち「空気の支配」である。
⇒2008年4月28日 (月):山本七平の『「空気」の研究』
⇒2015年9月 8日 (火):無投票は安倍政権の「終わりの始まり」/日本の針路(226)

そんな折り、司法試験問題が漏洩していたという事件が報じられている。
「法の支配」の危機である。
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日本経済新聞9月9日

 関係者によると、青柳教授は明治大法科大学院を修了した教え子の20代女性に自ら作成した憲法分野の問題を漏らし、解答の仕方を指導していた。順守事項に反したことになり、07年の対策が機能しなかった形だ。
 考査委員は法律実務家(裁判官、検事、弁護士)と法科大学院教授らの学者で構成され、07年当時は考査委員156人中82人を学者が占めていた。法務省は08年から問題を作成する考査委員と採点から加わる考査委員に分け、学者の数を大幅に減らした。今年の出題に携わった考査委員132人のうち、学者は3分の1に満たない39人にまで減ったが、やはり不正を防ぐことはできなかった。
 法科大学院教員を考査委員から外すよう求める声が高まる可能性もあるが、現実には困難との指摘は少なくない。法務省幹部は「出題や採点には最新の判例分析など学者の専門知識が欠かせない」と指摘する。
 今回の不正は、教え子の解答の完成度が他の受験生に比べて突出して高かったことから発覚した。ただ、法務省関係者は「1対1の関係で漏えいされた場合、表面化せず見逃されてしまう可能性も十分にある」と述べ、不正を完全に防ぐことは困難との見方を示した。
司法試験漏えい:出来過ぎた解答で発覚 経緯は背景は?

「教え子の解答の完成度が他の受験生に比べて突出して高かった」というのは、模範解答の丸暗記であろうか?
しかし、思考力を問うべき問題で丸暗記力が、「突出して高い」点数を与えられるというのは、試験問題に欠陥があるのではなかろうか。
それにしても、予備校の講師が入試問題を作成するようなものではないのか。
試験制度に唯一の正解はあり得ないだろうが、よりマシな制度を検討すべきではないか?

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