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2015年9月11日 (金)

東日本豪雨による鬼怒川決壊と自然堤防の掘削/因果関係論(26)

台風18号から変わった温帯低気圧と日本の東を北上する台風17号の影響で、東日本は広域的に記録的な豪雨となった。
鬼怒川が茨城県常総市で決壊し、宮城県の大崎市でも河川が決壊した。
鬼怒川の濁流に住宅が押し流される息を呑むような映像がTVに映し出されていた。
被害の全容はまだ不明だが、かなりの死者・行方不明者が報じられている。
被災した方々にはお気の毒としか言いようがない。

茨城県常総市で11日、行方不明者は25人になったと市が明らかにした。8歳の子供2人が含まれるという。また気象庁は同日午前3時20分、新たに宮城県に大雨の特別警報を発表。県北部の大崎市で川の堤防が決壊するなど浸水被害が相次ぎ、栗原市で1人が死亡、1人が行方不明となっている。
東日本豪雨:3人死亡26人不明 宮城でも堤防決壊

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東京新聞9月11日

鬼怒川クラスの河川における破堤はしばらくなかったような気がする。
鬼怒川の氾濫箇所では、自然堤防がソーラーパネル設置のために掘削されていたという情報がある。

 同省関東地方整備局河川事務所などによると、若宮戸地区では、通称「十一面山」と呼ばれる丘陵部が自然堤防の役割を果たしていた。しかし昨年3月下旬、民間事業者が太陽光発電事業を行うため、横150メートル、高さ2メートル部分を削ったという。
 住民から「採掘されている」と連絡があり、市は河川事務所に連絡。削ったことで、100年に1回起こりうる洪水の水位を下回ったため、民間事業者は大型土のうを積んで対策を施したという。
 昨年5月の常総市議会では、風野芳之市議が無堤防化の危険性を指摘したところ、市の担当者は「この地域が無堤防地区となっており、一番危険な場所と判断している」と答弁。茨城県筑西、結城、守谷3市にも同様の無堤防地区があると説明した。市側は各市町村などと連携しながら、国に堤防設置の要望をしていると説明していた。
 「無堤防」状態だったことが、今回の被害の拡大につながったかどうかについて、国交省関東地方整備局河川事務所は「因果関係は分からない」としている。
ソーラーパネル設置のため削られた自然堤防「一番危険な場所」も土のうだけ

自然堤防とは「世界大百科事典 第2版」の解説によれば、以下のようなものである。

河川のはんらんにより,河道の両側に土砂が堆積して形成された帯状の微高地。河川のはんらん時には,多量の土砂を運搬する濁水が通常の河道から周辺に向けて溢流する。洪水流は河道を離れると拡散して水深が浅くなり,流速も弱まる。その結果,土砂の運搬力は急激に衰え,河岸には砂質の堆積物が,さらに遠方にはシルト・粘土質の細粒堆積物が堆積する。このような河川のはんらんのくり返しによって河岸の部分は次第に高さを増し,河道に沿って帯状に連なる自然堤防が形成される。

国交省は因果関係について慎重な言い方であるが、自然堤防を掘削した事実があるなら当然因果関係が想定される。
損害賠償責任の認定は難しいかも知れないが、土地の来歴を考慮しない改変は、予想外の事態を招くことをキモに銘じたい。

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