トリチウムの不都合な真実/原発事故の真相(132)
福島原発事故について、まだまだ解明されていないことが多いにもかかわらず、九電・政府は川内原発の再稼働を急いでいる。
何故だろう?
東京新聞8月8日
連日の猛暑にもかかわらず、節電の要請の声は上がっていない。
何故だろう?
原発事故については、本当に重要な情報が伏せられているのではないか?
できれば事故以前から危険性に対して警鐘を鳴らしていた人の声を聞きたいと思っている。
広瀬隆氏はそのような1人である。
広瀬氏が、「ダイヤモンドオンライン」誌に、『フクシマ原発からの放射能漏洩はトテツモナイ量に!/全く報道されない「トリチウム」の危険性』を載せている。
すでに事故から4年をすぎた現在、日本に住むほとんどの人は「事故と被害は終った」と勘違いしているが、「福島第一原発」の事故現場では、大量の放射能放出が続いており、東京電力が発表する放出量は変動が大きすぎて信頼できないのだ。
東京電力は必死になってそれを回収しているが、この4年間で貯蔵量が75万立方メートルというトテツモナイ量に達しているのだ。
1立方メートルとは、一辺が1メートルのサイコロの大きさだから、それを縦に積み上げると、75万メートルになる。富士山の高さは3776メートルだから、75万メートルは富士山の200倍の高さになる。
大型飛行機が飛行するのは、1万メートルだから、75万メートルはわれわれにちょっと想像もできない量だと、分るだろう。
この汚染水の貯蔵量は、これからも、歳月ときれいに比例しながら増えてゆくのだ。なぜなら、放射能を除去する対策がないまま、水を流しこんで、内部を冷やし続けなければならないからだ。
しかもそのメルトダウンした燃料の放射能を洗い出した水が、地下に流れこんで、そこから外洋にどんどん流れ出している。
海岸線の地下水は、太平洋の沖合とつながっているからである。
しばしば報道されてきた「汚染水の大量漏洩」は、陸上で漏れ出している話だけで、地下から漏れ出している大量の汚染水については、まったく無視している。
東京オリンピックのために、「完全に統御(コントロール)されている」と放言した安倍首相。
この汚染水の中には放射性セシウムと放射性ストロンチウムと共に、トリチウムという放射性物質が含まれている。
トリチウムは、原子核が陽子1個+中性子2個の水素(三重水素)である。
化学的には水素なので、水素のように振る舞う。
人間の体は、大部分が水でできているが、水は、水素と酸素の化合物である。
DNAを構成する原子は水素H、炭素C、酸素O、窒素N、リンPであるが、その水素が、放射性水素になる。
カリフォルニア州ローレンス・リヴァモア国立核研究所での研究(1991~1993年)では、トリチウムによる催奇形性(奇形を生じさせる性質)の確率は、致死性癌の確率の6倍にものぼる。
このトリチウムは、化学的には容易に除去することができないので、福島第一原発では、どんどんたまっているのである。
にもかかわらず、再稼働を急ぐ自民党。
まさに、制服向上委員会の歌うように、「諸悪の根源自民党」である。
⇒2015年7月 7日 (火):アイドルグループが歌う「諸悪の根源自民党」/日本の針路(192)
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- スキャンダラスな東京五輪/安部政権の命運(94)(2019.03.17)
- 際立つNHKの阿諛追従/安部政権の命運(93)(2019.03.16)
- 安倍トモ百田尚樹の『日本国紀』/安部政権の命運(95)(2019.03.18)
- 平成史の汚点としての森友事件/安部政権の命運(92)(2019.03.15)
- 内閣の番犬・横畠内閣法制局長官/人間の理解(24)(2019.03.13)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 藤井太洋『東京の子』/私撰アンソロジー(56)(2019.04.07)
- 内閣の番犬・横畠内閣法制局長官/人間の理解(24)(2019.03.13)
- 日本文学への深い愛・ドナルドキーン/追悼(138)(2019.02.24)
- 秀才かつクリエイティブ・堺屋太一/追悼(137)(2019.02.11)
- 自然と命の画家・堀文子/追悼(136)(2019.02.09)
「原発事故の真相」カテゴリの記事
- 原発事故対応作業員が過労死/原発事故の真相(159)(2018.11.06)
- 福島原発事故賠償の論理/原発事故の真相(158)(2017.10.11)
- 原発事故刑事裁判と大津波の予見可能性/原発事故の真相(157)(2017.07.03)
- 日本原子力研究開発機構で被曝事故/原発事故の真相(156)(2017.06.09)
- サソリ型ロボ、原子炉直下に到達せず/原発事故の真相(155)(2017.02.17)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント