福島原発事故は可罰的か?/原発事故の真相(131)
検察審査会が、福島第一原発事故は東京電力が津波対策を怠ったため起きた、という結論を出した。
元幹部3人を強制起訴することにしたのだ。
東京新聞8月1日
もちろん起訴された段階だから、有罪ではない。
しかしあれだけの大事故が、「想定外」だから仕方がなかったで済ませるわけがない、発災直後から思っていた。
⇒2011年3月17日 (木):「想定を超えた事態」ならば免責されるのか?
検察審査会の判断で記憶が新しいのは、小沢一郎氏と陸山会をめぐる事件である。
小沢一郎氏に対し、検察審査会が「起訴相当」の議決をし、世論は賛意を示した。
とかく対立的な朝日新聞と産経新聞が共に評価していたのが印象的だった。
⇒2010年10月 9日 (土):検察審査会/理念と現実の乖離(4)
しかし、この件に関しては、一種の謀略性を感じた。
⇒2010年10月 6日 (水):「推定無罪の原則」はどこへ行った?
⇒2010年10月 8日 (金):冤罪と推定無罪/「同じ」と「違う」(19)
現在の安倍自民党のやりたい放題とも言える状況をもたらした一因に、小沢氏の影響力が殺がれていることがあることは疑えない。
さて、東電の場合はどうだろうか?
検察の判断は、やはり不起訴である。
おそらくは起訴しても、有罪の判決を得ることが難しいと判断した結果であろう。
しかし市民感覚からすれば、東電の犯した罪を問わないで置くことが社会的不正義だということだ。
2002年の段階で、マグニチュード(M)8.2クラスの津波地震が発生する可能性があると指摘されていた。
2008年の段階では、東電側で明治三陸地震をモデルに試算すると、15.7メートルの大津波が押し寄せるという「想定」もあった。
にもかかわらず、東電は対策を放置した。
安全神話である。
この不幸にして起こってしまった事故を教訓として生かすためにも、司法の場で議論が交わされるのは当然であろう。
その結論も待たないで再稼働に走るとは、神をも恐れぬ所業ではなかろうか。
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