エネルギー源としての太陽光発電/技術論と文明論(32)
原発再稼働と安保法案は直接的には関係が無いように思える。
しかし、民意に顧慮することなく強引に推し進めようとする安倍政権の姿勢には著しい共通性がある。
今年の夏は記録的な猛暑であった。
高齢者は熱中症対策として、エアコンをつけることを推奨され、わが家でも例年になく高い稼働率であった。
夏の甲子園も、スター選手が輩出し、高い視聴率だったと思われる。
にもかかわらず、電力不足を心配する声は聞かれなかった。
もちろん、送電網の充実のような施策もあったであろう。
しかし何よりも太陽光発電が順調に拡大していることが大きい。
本紙は、原発のない沖縄電力を除く全国の九電力会社に、今年七~八月の電力需要ピークの時間帯に、電源構成がどうなっていたのかデータ提供を求めた。四国電力は提供を拒否したが、八社が回答した。
地域によってピークの日や時間帯は若干異なるが、八社が需要を見越して準備した供給力の合計は約一億六千六百万キロワット。首位は火力発電で、約一億二千六百万キロワット(75・4%)と圧倒的に多い。二位は、くみ上げておいた水を需要に応じて放水する揚水発電で約千八百万キロワット(10・9%)、三位は水力発電の約千二百万キロワット(6・9%)。
太陽光発電は僅差で続き、千百万キロワット弱(6・5%)。川内原発の出力は一基八十九万キロワット。約十二倍の電力を生み出していたことになる。政府の事前予測は五百万キロワット前後だったが、大きく外れた。再生エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートしてからの三年で、中心的な存在になった。
需要が高まる日中、軌を一にするように発電するのが太陽光の特質で、割高な石油火力の稼働を最小限にできる効果もあった。
太陽光発電 今夏シェア6%台に ピーク時に原発12基分
ソフトエネルギーパスの本命である太陽光発電が順調に育ってきているのは心強い。
⇒2015年1月31日 (土):「この道しかない」はソフト・パスだ!/技術論と文明論(17)
ドイツなどで進んでいる脱原発の方向に舵を切れないのはなぜなのか?
⇒2015年3月 6日 (金):ヨーロッパにおける脱原発の傾向と対策/技術論と文明論(22)
アメリカ追随の安倍政権は原発政策を止めることをしない。
⇒2015年2月 9日 (月):安倍政権の再生エネ潰し/技術論と文明論(19)
持続可能性がない地下資源から、地上資源依存に転換することが安全保障政策の上でも重要だろう。
⇒2015年1月29日 (木):「地上資源文明」の可能性/技術論と文明論(15)
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