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2015年8月 3日 (月)

東芝粉飾決算と原子力ムラと安倍政権/日本の針路(205)

経団連の初代会長は石川一郎(日産化学社長)である。
石川の略歴をWikipediaから拾ってみよう。

1885年(明治18年)東京に生まれる。元関東酸曹常務・卯一郎の長男。
旧制京華中学、旧制第一高等学校工科を経て、1909年(明治42年)東京帝国大学工科応用化学科を卒業。大学に残り、東京帝国大学工科助教授となる。
1915年(大正4年)に東大を辞し、関東酸曹に入社し、学問と実業を橋渡しすると決意する。
1941年(昭和16年)に産業統制によって発足した日産化学工業社長に就任し、1942年(昭和17年)化学工業統制会会長(のちに化学工業連盟会長)に就任する。
1946年(昭和21年)日本産業協会(日産協)会長、1948年(昭和23年)に発足間もない経済団体連合会(経団連)初代会長に就任した。
講和発効後は、防衛産業の育成に力点を置き、経団連に防衛生産委員会を発足させ、国産兵器生産に道を拓いた。
経団連会長であった1955年(昭和30年)にすでにジュネーヴ原子力平和利用国際会議の日本首席代表、日本原子力研究所理事長として「原子力の父」ともいうべき存在であった。
経団連会長を退任した1956年(昭和31年)に原子力委員会が発足し、原子力委員に就任する。
1963年(昭和38年)設立の日本原子力船開発事業団理事長に就任。

まあ、原子力ムラのルーツ・基礎を築いた中枢人物と言えよう。

日本の原子力体制は、政界では正力、財界では石川を中枢とし、その石川が経団連の会長に東芝の石坂を、経団連の実質的ナンバー2である評議員会議長に東電の菅礼之助会長を、それぞれ据える恰好で始まったのであり、また石坂と土光の20年の後には引き続き新日鉄が2人で10年、その後に東電が4年、経団連会長を務めることになったのである。経団連とは、一皮剥けば原子力ムラそのものなのである。
だから、もし佐々木が次期経団連会長に登り詰めることが出来ていれば、それある意味で順当というか、一皮剥けば原子力ムラという経団連の「本質」に相応しい人事とも言えた。しかし運命は皮肉で、佐々木が「次期経団連会長候補」と言われ出した時にはすでに原子力は、まさに東芝の炉がもたらした福島の大惨事によって、日本ではもちろん全世界的に退潮が始まっていて、それを何とかして食い止めようとすればするほど東芝の赤字は膨らんで巨額粉飾なしには体面も取り繕えないまでに傷が広がってしまい、最後は安倍晋三首相の政治力にすがって切り抜けようとしたのに、今では安倍の政権自身がどうなるか分からなくなってきた。
と言うか、東芝の破滅と佐々木の失脚は、佐々木と組んで原発再稼働と輸出促進を、JR東海の葛西敬之名誉会長と組んでリニア新幹線と新幹線輸出を、「成長戦略」の2本柱にしてきた安倍にとって片足がもげるほどの大打撃であり、だから官邸は「東芝のことは早くなんとかしろ」と焦っている。
東芝の粉飾決算は、「嫉妬」が生んだ原発スキャンダルだった?

制服向上委員会風に言えば、「諸悪の根源原子力ムラ」である。
⇒2015年7月 7日 (火):アイドルグループが歌う「諸悪の根源自民党」/日本の針路(192)
第三者委員会の報告には、「利益先取り」「費用・損失の先送り」「事実の隠ぺい」「上司に逆らえない企業風土」などが指摘されている。
この目先の利益優先と上司に逆らえない風土は、そっくりそのまま安倍政権のものではないか。
 
佐々木則夫副会長は、政府の産業競争力会議の民間議員や政府税制調査会の特別委員、経済財政諮問会議の民間議員などを務め、アベノミクス「成長戦略」の旗振り役だった。
既に老境期を迎えている産業のトップに成長戦略など実現できるわけがないだろう。
原子力ムラを解体し、利権の構造を壊さない限り、この国の健全化はあり得ない。

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