なぜ川内原発を再稼働させるのか?/日本の針路(211)
九州電力川内原発1号機が再稼働した。
「3・11」の東京電力福島原発事故の災禍の検証はまだ終わっていない。
大飯原発が運転休止して以来続いていた原発ゼロが終わりを告げたわけである。
東京新聞8月11日
福島事故以降の再稼働への動きは下表のようである。
必要性大きく後退 猛暑でも電力不安なし
今年の夏は、猛暑の記録を更新した。
にもかかわらず電力需給の問題が話題になっていない。
太陽光発電等の代替電源がそれなりのシェアを占めてきたからである。
にもわらず、安倍政権は福島事故以前に時計の針を戻そうとしている。
従来言われてきた原発のコスト的優位性は根拠のないものであった。
⇒2014年4月 7日 (月):原発は費用莫大、だが再稼働推進?/原発事故の真相(110)
⇒2015年3月31日 (火):原発再稼働推進の論拠を問う/日本の針路(129)
原発輸出を山号政策の1つの柱に据えるアベノミクスのためには、決して合理的ではない判断も敢えて行うということである。
国・電力会社・メーカーが原発を推進するのは、決して電力維持といったエネルギー問題が本質ではない。現在、全ての日本の原発が止まっているにも関わらず、必要な電力を供給できていることからもそれは明らかだ。原発推進は原発産業の生き残り、そして発展こそが重要であり、そのためのひとつの方法が原発輸出なのである。
「日本政府が原子力輸出へと大きく舵を切ったのは、内需だけでは自国の原子力産業を維持するのが難しくなったことによる」
それは皮肉なことに原発事故で加速度を増した。
「福島原発事故後は、発電比率や将来の原子力ビジョンは不明確なまま、原子力産業維持そのものが目的となっていった」
ある意味、原発事故があったからこそ、輸出の重要性がさらに増すというパラドックス。では、日本政府がそこまでして原子力産業を維持する目的はなにか。本書はその本質にこう切り込む。
「世界から非難されないように気をつけながら潜在的核兵器製造能力を保持する」
原発再稼働の真の目的は?安倍政権が原発輸出に固執する恐ろしい理由
死の産業と一体化した政権が、戦争法案に邁進するのは、ある意味当然である。
瀬戸際ではあるが、安倍政権が追い詰められていることも確かであろう。
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