礒崎発言は撤回でOKか?/日本の針路(206)
礒崎陽輔首相補佐官は、新たな安全保障関連法案をめぐって「法的安定性は関係ない」と発言した問題で、3日の参院特別委員会で発言を取り消して陳謝した。
東京新聞8月4日
本件はこれで一件落着なのか?
私には到底そうは思えない。
冒頭、礒崎氏は「もとより法的安定性が重要であることを認識している。あくまでも合憲性、法的安定性を当然の前提とした上での発言だが、大きな誤解を与えて大変申し訳なく思う」と語り、発言を取り消して謝罪した。礒崎氏の釈明後、鴻池祥肇委員長(自民)や野党が質問した。
礒崎氏「軽率な発言おわびする」 辞任は否定
礒崎氏は、決して自分の「考え」は間違っていないのだが、「誤解を与えた」ことを謝罪すると言っている。
しかし、礒崎氏は「考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない」と発言したのである。
何を誤解したというのだろう。
「法的安定性を当然の前提とした上で」で、「法的安定性は関係ない」と言ったのか?
だとすれば支離滅裂と言わなければならない。
一方、菅義偉官房長官は3日午前の会見で「法的安定性を否定したものではないが、誤解をされるような発言は補佐官として厳に慎むべきだ」と述べ、さらに「首相の任命責任との指摘は当たらない」と擁護した。
礒崎氏「軽率な発言おわびする」 辞任は否定
これでは、仲間のしでかしたことは、何が何でも守り抜くという姿勢だけが顕著で、冷静にコトの理非を論ずる立場にない、と言っているようなものである。
礒崎氏は、安全保障担当の首相補佐官である。
そういう立場の人間が、参考人招致されるというのも見ものである。
政権のホンネがどこにあるか、見事に浮き彫りになった。
礒崎氏は、憲法審査会で違憲論を開陳した長谷部教授を指名した船田憲法改正推進本部長と共に、法案の性格を顕在化させた功労者とも言える。
もうすこし補佐官を続けていただいて、何を言うか成り行きを待つのも一案かも?
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