百田尚樹という存在の耐えられない軽さ/人間の理解(14)
自民党の安倍首相応援団を自認する集団の「勉強会」で講師を務めた百田尚樹氏に批判が集中している。
しかし、当の百田氏は、何を批判されているのか分かっていないようである。
―米軍普天間飛行場の成り立ちについての発言は。
「住民が騒音などの精神的に苦痛があり、補償しろと言う。苦しみは当事者にしか分からないこともあるだろう。それを踏まえた上で、違和感を覚えると発言した。なぜかと言えば、住んでいた場所に基地が引っ越してきたわけではない」
―普天間の現状認識は。
「地権者には、膨大な地代が払われている。六本木ヒルズに住んでいる大金持ちと同じ。それはメルマガで書いた話だ。普天間が返還されたら、あっという間にまちは閑散とする。ぬくぬく暮らしていた地権者も困るはずだ」
・・・・・・
―「沖縄2紙をつぶさないと」の発言について。
「沖縄の新聞をしっかりと読んだことはないが、ネットで読むと、私と歴史認識が違う。全体の記事の印象から私が嫌いな新聞だ」
「オフレコに近い発言で、冗談として言った。公権力、圧力でつぶすとの趣旨ではない。私も言論人。言論は自由であるべきだ。私と意見が違う2紙を誰も読まなくなり、誰も読者がいなくなってつぶれてほしいという意味での発言だ」
百田尚樹氏に一問一答 「沖縄2紙は嫌い」「つぶれてほしい」
普天間飛行場の歴史については、沖縄タイムス紙が次のように説明している。
百田尚樹氏が「田んぼで、何もなかった」とする米軍普天間飛行場が建設された場所は沖縄戦の前、宜野湾村の集落があった。宜野湾市史によると、1925年は現在の飛行場に10の字があり、9077人が住んでいた。宜野湾や神山、新城は住居が集まった集落がほぼ飛行場内にあり、大山などは飛行場敷地に隣接する形で住宅があった。
最も大きかった宜野湾は村役場や宜野湾国民学校、南北には宜野湾並松と呼ばれた街道が走り、生活の中心地だった。
飛行場は、まだ沖縄戦が終結していない45年6月、住民が収容所に入っているうちに、米軍が土地を占領して建設を始めた。住民は10月以降に順次、帰村が許されたが、多くの地域は元の集落に戻れず、米軍に割り当てられた飛行場周辺の土地で、集落の再編を余儀なくされた。
市立博物館の担当者は百田氏の発言に「人々が戦争で追い出され、何もなくなるまでの過程が抜け落ちている」として認識不足を指摘した。
百田氏発言「普天間飛行場、元は田んぼ」「地主年収、何千万円」を検証する
飛行場の地代についても、事実誤認だと指摘されているが、それは措くとして、自分と意見が違う新聞は潰れてほしい、というのはどうか?
百田氏個人がそう思うのは勝手だろうが、この間までNHK経営委員だった人間である。
「非公開の場の軽口」で済まされる問題とは言えまい。
安倍首相は、成り代わって謝罪はできないと答弁している。
これも表面的にはそうかも知れないが、盟友関係の経緯からすればそうとも言っていられない。
お二人の出会いは、2012年7月に百田氏への安倍氏(当時野党)からの電話で始まった。
月刊誌「Will]の掲載記事に、安倍氏が「非常に感銘した」というのである。
そして二人は対談本『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』を出す仲になる。
首相に返り咲いた安倍氏は、13年11月に百田氏をNHK経営委員に抜擢した。
とても下記のような経営委員の要件に当てはまるとは思えないのに拘わらず、である。
公共の福祉に関し公正な判断をすることができる、広い経験と知識を持つ12人の委員で構成されています。委員は、国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣により任命されます。
http://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/about/
NHKの私物化である。
ようやく、百田尚樹の人間性が世間に周知されるようになったことを喜びたい。
⇒2014年12月29日 (月):百田尚樹の正体?/人間の理解(8)
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