新国立競技場建設にみる無責任の体系/日本の針路(194)
2020年東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場について、改築費が当初よりも900億円多い2520億円になることが決まった。
膨大な建設費に批判が集まっていたが、斬新なデザインにこだわり、運営するJSC=日本スポーツ振興センターが開いた有識者による会議が決定した。
有識者会議にはメンバー12人が出席したが、最初のデザイン案を決めた審査委員会委員長の安藤忠雄氏は欠席した。
コスト増大の根本は、その「斬新な」デザインにある。
屋根を支えるために巨大なアーチを採用した。
アーチの長さは約370メートル、地上高70メートルである。
段宴席は約80平米、3LDK分になるという。
素人には良く分からないが、桁外れの大きさであることは間違いない。
東京新聞7月8日
確かに、世界に偉容を誇ることになろう。
しかし、東京オリンピックの全体コンセプトである「コンパクト」とは乖離しているだろう。
メイン施設が「非コンパクト」で、全体コンセプトが「コンパクト」というのはムリがある。
誰のための東京オリンピックか?
大手ゼネコンを頂点とする利権の構造を考えたくなる。
まあ、アベノミクスの実体がこういうことであることを知らしめる効果はあるのだろうが。
一方で、財政再建を唱えながら、まったく無責任に税金を使う。
かつて丸山眞男氏が『現代政治の思想と行動』において、「無責任の体系」と書いたことを思い出す。
責任者は誰なのか?
安倍政権の下で、いろんな面で戦前・戦中回帰が感じられる。
「無責任の体系」もその1つであろうか。
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