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2015年7月 5日 (日)

安保法案は一度取り下げるべきだ/日本の針路(191)

国会が安保法案をめぐって紛糾している。
その第一の要因は、安倍内閣が、歴代内閣の積み重ねてきた憲法を180度逆転させようとしていることにある。
憲法といえども不磨の大典ではないから、変えるべきであれば変えなければならない。
しかし、多くの国民はそう考えていない。

憲法は文面や制定の経緯も重要であるが、もっとも重要なことは、現にどういう機能を果たしているか、国民の間に根付いているか、ということであろう。
焦点となっている集団的自衛権について、憲法審査会で憲法学者が違憲の見解を表明したことは、大きなインパクトであった。
⇒2015年6月 5日 (金):憲法学者が安保法案にレッドカード/日本の針路(172)

これに対し、菅官房長官が反論したが、かえって憲法学者の主張を裏付ける結果となった。
⇒2015年6月 7日 (日):集団的自衛権を合憲とする憲法学者は?/日本の針路(174)
⇒2015年6月 9日 (火):憲法審査会への対応で、反知性主義が露呈した/日本の針路(176)
⇒2015年6月10日 (水):安保法案で墓穴の深掘りに励む政府・与党/日本の針路(177)
⇒2015年6月11日 (木):前言撤回オンパレード政権/日本の針路(178)

「法の番人」と言われる内閣法制局の歴代長官も違憲を表明している。
⇒2015年6月21日 (日):奇矯な集団的自衛権合憲論の言説/日本の針路(183)
150620
東京新聞6月20日

もちろん現長官の横畠裕介氏は合憲の立場だったが微妙にスタンスを変えているとも言われる。

 どういうことか。ひとつには、憲法学者に続いて歴代の内閣法制局長官がこぞって安保法制=違憲と堂々と言い始めたことで、横畠裕介現長官はたぶん「このままでは自分が、法制局を時の政権に屈服させた戦犯として歴史に名を残すことになる」と危機感を抱いたのだろう、安倍の思惑と違うことを勝手に言い始めた。
 その一例が29日の衆院委員会で、横畠は長島昭久議員らの質問に答えて、公海上の米艦が他国の攻撃を受けた場合「日本への武力攻撃と認められれば個別的自衛権で対処できる」と、安倍答弁とは完全に食い違うことを言ってしまった。それにつられてか、中谷元防衛相も、その場合に集団的自衛権と個別的自衛権のどちらを使うかの判断基準は「非常にあいまいだ」と告白した。これは安倍のこだわる「米艦防護」に最初から含まれていた矛盾点で、単純な話、邦人を乗せた船が米艦でなくどこかの国の貨物船だったらどうなるのか。それを防護しようとすれば、相手は米軍ではないから集団的自衛権は無関係で、個別的自衛権の拡大解釈で行うしかないのは自明のことだ。                                 「2枚看板」を下ろした安保法制は廃案しかない

世論調査でも、安保法制に国民の半数以上が反対している。
共同通信社が6月20、21の両日に実施した全国電話世論調査では、安保法案「反対」は58.7%で、5月の前回調査から11.1ポイント高くなっている。
法案の今国会成立「反対」も63.1%であり、審議を重ねるほど、法案反対が増えていく。
米議会で、今夏までに成立させると胸を張った安倍首相にとっては大きな誤算だろうが、決して「想定外」の事態ではないのだ。

昨年7月の閣議決定は、1972年の政府見解「集団的自衛権と憲法との関係」の基本的な論理を受け継ぐ形をとっている。

憲法九条は、日本の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を禁じておらず、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態に対処し、これらの権利を守るためのやむを得ない措置としての必要最小限度の武力の行使は許容される、というものだ。七二年見解では、この基本的な論理から、他国に加えられた武力攻撃を阻止する集団的自衛権の行使は憲法上許されないとの結論を導き出しているが、昨年七月の閣議決定は結論を入れ替え、憲法が認める「自衛」には集団的自衛権の一部も含まれると主張した。
集団的自衛権容認1年 立憲主義を守らねば

アクロバティックなことをしなければならないのは、根本にムリがあるからである。
立憲主義を否定しては、国民の支持は得られない。

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