日本を代表する企業・東芝の実態/ブランド・企業論(36)
東芝と言えば、自他共に認める日本を代表する企業である。
その「不適切会計」(粉飾)問題の実態が、会社が設置した第三者委員会により明るみに出つつある。
⇒2015年5月13日 (水):東芝に何が起きているのか?/ブランド・企業論(35)
⇒2015年7月14日 (火):東芝の不適切会計=粉飾決算の構図/日本の針路(196)
不正会計問題で、東芝は二十一日、田中久雄社長や前社長の佐々木則夫副会長、その前の社長の西田厚聡(あつとし)相談役ら直近三代の社長経験者を含む経営陣九人が同日付で辞任すると発表した。このうち取締役は八人で取締役会の半数が辞める。同社の第三者委員会は「不適切会計は経営判断で行われた」と組織ぐるみだったと断定。一方、田中氏は記者会見で自らの経営責任を認めつつも、部下に圧力をかけたことはないとの認識を示した。後任社長は室町正志会長が暫定的に兼任し、八月中旬に新たな経営体制を公表する。
東芝歴代3社長が辞任 第三者委断定「経営判断で不正」
トップの引責辞任は当然だろうが、第三者委員会の報告書をみると、ブラックユーモアのような気もする。
「不適切」に至るキーワードが、「チャレンジ」だというのだ。
東京新聞7月22日
「チャレンジ」とは、業績目標の達成のことだという。
業績目標の達成自体は当たり前のことである。
しかし、東芝では、第三者委員会が廃止すべきだと指摘するほど歪んだ形で行われていた。
「こんなの受け取れるか!」
ある東芝の関係者は、佐々木氏が社長時代に、インフラ部門が上げた中期経営計画の予算数値を突き返していたのを何度も目の当たりにした。この部門は毎年、マーケットの状況や今後の受注見通しを積み上げて作成した中期計画を提出するが、目標が佐々木氏の意にそぐわないと「受け取れない」と拒否されたという。
部門のトップは何度も佐々木氏に数値を提出するが、ことごとく押し返され、そのたびに、「上からドンと予算数値が積み増された」(東芝関係者)という。そうして出来上がった予算数値は「スタート時点から達成できない非現実的なもの」(同)となっていた。
当然、新年度が始まると、実際の事業が予算通りにいくことはほぼない。部門の担当者からすると、そもそも予算が達成不可能なのが原因だが、経営陣は「おまえらがやれると言っただろう!」と責任を部門に押し付けたという。
東芝、会計管理の呆れた実態 /不正を誘った究極の社内論理
一時期の消費者金融の雰囲気ではないか。
ノルマを設定しても、合理的な目標になっていないならばこういう結果になるのである。
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