チーム安倍を象徴する礒崎首相補佐官の暴言/日本の針路(204)
礒崎陽輔首相補佐官が、26日の講演で、安保法案に関連し、法的安定性は関係ないと発言して物議を呼んでいる。
礒崎陽輔総理補佐官が大分市内の講演で、「考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、(従来の憲法解釈との)法的安定性は関係ない。国を守るために必要な措置かどうかは気にしないといけない 。政府の憲法解釈だから、時代が変われば必要に応じて変わる」と語って問題になっています。日本は法治国家ですから、「法的安定性は関係ない」というのは法治国家を否定するに等しく、公職にある人物としては相応しくありません。
総理補佐官として相応しくないだけでなく、立法府の構成員である国会議員としての資格もありません。直ちに、議員を辞職するべきです。
この発言はそれだけ大きな意味を持っています。きちんと処分がなされなければ、法治国家を否定する礒崎さんと同じ立場に立っていることを告白することになります。
しかも、礒崎さんは安全保障を担当する補佐官です。その方が、「我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない」と言い切ったことも大きな問題です。
今回の「戦争法案」が「法的安定性」を欠いていることを、事実上、認めたことになるからです。それ以上に「我が国を守るために必要な措置かどうか」ということの方が重要だと言っているのですから……。
最大の基準は「我が国を守るために必要な措置かどうか」であって、「法的安定性」は二の次だというわけです。つまり、「憲法は関係ない」ということにならざるを得ません。
礒崎陽輔総理補佐官の発言で明らかになった安倍政権中枢の「本音」
憲法より上位に政権の判断を置くということであり、法治国家にあるまじき発言であって、当然大きな反発を招いている。
しかしこの発言は、図らずも政権のホンネが表出したものと考えるべきであろう。
東京新聞7月29日
磯崎氏は、東大法学部卒で旧自治省から2007年の参院選で政界入り。
現在2期目であるが、安倍首相の憶えめでたく重用されている。
チーム安倍を象徴する人物である。
首相が野党の更迭要求には応じず、電話で注意するに留めたところにも首相の重用ぶりが窺える。
問題が拡散しているのに対して、礒崎氏は、自身のカウントのツイッターで陳謝した。
ツイッターという140字という字数制限のあるメディアで言うべき性質の問題ではないことは当然である。
余計批判が強まって、与党からも批判的な見方が出てきた。
結局は、参院の特別委に参考人招致となった。
参院平和安全法制特別委員会は30日の理事懇談会で、礒崎陽輔首相補佐官が安全保障関連法案に関し「法的安定性は関係ない」と発言したのを受け、来月3日の同委に参考人招致することを決めた。野党は礒崎氏の辞任を求めて攻勢を強めており、公明党からも進退への言及が出始めた。
法的安定性発言:礒崎首相補佐官、8月3日に参考人招致へ
しかし首相の側近から不用意に出てくる発言は、実に効果的に安倍政権の本質を明らかにしている。
支持率がさらに低下することを期待しよう。
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