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2015年7月

2015年7月31日 (金)

チーム安倍を象徴する礒崎首相補佐官の暴言/日本の針路(204)

礒崎陽輔首相補佐官が、26日の講演で、安保法案に関連し、法的安定性は関係ないと発言して物議を呼んでいる。

 礒崎陽輔総理補佐官が大分市内の講演で、「考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、(従来の憲法解釈との)法的安定性は関係ない。国を守るために必要な措置かどうかは気にしないといけない 。政府の憲法解釈だから、時代が変われば必要に応じて変わる」と語って問題になっています。日本は法治国家ですから、「法的安定性は関係ない」というのは法治国家を否定するに等しく、公職にある人物としては相応しくありません。
 総理補佐官として相応しくないだけでなく、立法府の構成員である国会議員としての資格もありません。直ちに、議員を辞職するべきです。
 この発言はそれだけ大きな意味を持っています。きちんと処分がなされなければ、法治国家を否定する礒崎さんと同じ立場に立っていることを告白することになります。
 しかも、礒崎さんは安全保障を担当する補佐官です。その方が、「我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない」と言い切ったことも大きな問題です。
 今回の「戦争法案」が「法的安定性」を欠いていることを、事実上、認めたことになるからです。それ以上に「我が国を守るために必要な措置かどうか」ということの方が重要だと言っているのですから……。
 最大の基準は「我が国を守るために必要な措置かどうか」であって、「法的安定性」は二の次だというわけです。つまり、「憲法は関係ない」ということにならざるを得ません。
礒崎陽輔総理補佐官の発言で明らかになった安倍政権中枢の「本音」

憲法より上位に政権の判断を置くということであり、法治国家にあるまじき発言であって、当然大きな反発を招いている。
しかしこの発言は、図らずも政権のホンネが表出したものと考えるべきであろう。
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東京新聞7月29日

磯崎氏は、東大法学部卒で旧自治省から2007年の参院選で政界入り。
現在2期目であるが、安倍首相の憶えめでたく重用されている。
チーム安倍を象徴する人物である。
首相が野党の更迭要求には応じず、電話で注意するに留めたところにも首相の重用ぶりが窺える。

問題が拡散しているのに対して、礒崎氏は、自身のカウントのツイッターで陳謝した。
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ツイッターという140字という字数制限のあるメディアで言うべき性質の問題ではないことは当然である。
余計批判が強まって、与党からも批判的な見方が出てきた。
結局は、参院の特別委に参考人招致となった。

 参院平和安全法制特別委員会は30日の理事懇談会で、礒崎陽輔首相補佐官が安全保障関連法案に関し「法的安定性は関係ない」と発言したのを受け、来月3日の同委に参考人招致することを決めた。野党は礒崎氏の辞任を求めて攻勢を強めており、公明党からも進退への言及が出始めた。
法的安定性発言:礒崎首相補佐官、8月3日に参考人招致へ

しかし首相の側近から不用意に出てくる発言は、実に効果的に安倍政権の本質を明らかにしている。
支持率がさらに低下することを期待しよう。

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2015年7月30日 (木)

参院で公明党は造反するか/日本の針路(203)

日増しに反対の声が増大しつつあるが、安全保障関連法案審議も舞台が参院に移った。
自民と連立を組む公明党であるが、支持母体の創価学会は「平和」を理念としている。
安倍政権も積極的平和主義を謳っているが、安保法案を平和法案というのは、カラスを白いというようなものだから、国民の理解が進むに連れ、新聞各社の調査では内閣支持率は軒並み低下している。

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 安保法案に関する朝日新聞の調査では「法案が成立したら日本の平和と安全を守ることに役立つ」という答えが31%で「役立たない」は42%だった。
新聞主要各紙で内閣不支持率が支持率を逆転

安倍首相は、「安保法案に対して国民の理解が進んでいない」というが、むしろ法案の違憲性の理解が進んだ結果と見るべきであろう。
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東京新聞7月28日

公明党の足元で、地方議員や支持母体の創価学会員たちの反発や離反が起きているという。

 愛知県武豊町の本村強町議(62)は創価学会員だが、公明党を離れ10カ月になる。「失望しました。平和の看板を掲げてきたのになぜだ、と」
 まだ党にいた昨年6月、集団的自衛権に反対する意見書案を共産党議員らとともに議会に提出し、自民系議員らを説得し、1票差で可決させた。これが後に反党的だと問題視されたが、信念を貫き離党。今春、町議選に無所属で出た。学会関係者に「あなたの個人票は(学会票の)2%だ」と警告されたが前回並みの得票で3選された。一部の学会員も陰で応援してくれたという。
 和歌山県岩出市の創価学会員、春村徳龍(のりたつ)さん(53)は19日、大阪での安保法案反対デモに家族で参加した。「法案は平和を求める学会の教えにそぐわない。『自民の歯止めになる』と公明党への投票を呼びかけてきたが裏切られた思いだ」
 デモ行進では、学会のシンボルの三色旗に「バイバイ公明党」などとプリントしたプラカードを掲げた。別の学会員がデザインし、ツイッターで配布していたものという。
 ツイッターには、東京都内の抗議デモで同種のプラカードを掲げる参加者の写真も投稿されている。春村さんは言う。「今は『点』に過ぎないが、線になり面になれば党に脅威となる。法案を止めるには学会員が声を上げるしかない」
安保法案:公明離れの学会員次々…自民と協調に「失望」

まだ氷山の一角に過ぎないが、このような動きが大きくなってくれば、公明党執行部も考えざるを得なくなるだろう。
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日刊ゲンダイ7月28日

この夏は、安倍政権の命運が尽きるときとなろう。

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2015年7月29日 (水)

「少衆VS分衆」論争・藤岡和賀夫/追悼(73)

プロデューサーの藤岡和賀夫さんが13日、心不全で亡くなった。
87歳だった。

Ws000000電通入社後、富士ゼロックスのCM「モーレツからビューティフルへ」や、いずれも旧国鉄の旅行客誘致キャンペーンの「ディスカバー・ジャパン」、山口百恵さんのヒット曲で有名になった「いい日旅立ち」なども手がけた。
 PR局長などを経て退社後、フリーに。著書に「さよなら、大衆。」など。
藤岡和賀夫さん死去 「モーレツからビューティフルへ」

時代が大きく変わろうとしている時、その変わりゆく方向性を、広告という手段で鮮やかに切り取って見せた。
私には、「さよなら、大衆。」の出版を契機として、博報堂生活総合研究所との間で交わされた「少衆・分衆論争」が記憶に残っている。
ちなみに「少衆」概念は、上述のように藤岡和賀夫氏が提唱し、「分衆」概念は、Wikipediaで以下のように説明されている。

1985年に博報堂生活総合研究所編の「分衆の誕生」にて定義され、同年の新語に選ばれた語である。ある製品が普及し1世帯あたりの平均保有数が1以上になることをいう。たとえば自動車やテレビのように1世帯に1台だったものが1世帯に2台ないしは1人1台のように状況が変化することである。

次のように解説されているが、部外者には同じようにも見える。

 少衆論は、当時電通PR局長であった藤岡和賀夫が「さよなら、大衆」において主張した議論である。「少衆論」によると、今や消費者の行動基準は「理性」ではなく「感性」であり、画一的な大衆消費から、それぞれの感性を共有する仲間たる「少衆」が個性的な消費を繰り広げる多様な消費の時代へ転化するという。こうした「少衆」のマーケットに対しては「どうしても多品種少量の方向に生産の仕組みを変えなければならない」(p48)と説いている。
 一方、分衆論は、当時主席研究員であった関沢英彦を中心とする博報堂生活総合研究所が著した『「分衆」の誕生』において展開された。分衆論でも少衆論と同様に、消費者の変化を主張する。この議論によると、画一的な大衆消費とは異なる個性的な消費が見られるようになったという。それう特徴付けるのは、「分割された」大衆としての「分衆」である。「分衆」は「人々はばらばらな生きかた、暮らしかたを志向」し、「他人と同じでは気がすまない」という (p14)。
 このように、消費者の個性や多様性、感性、差異化などを強調する点では、両者とも典型的な進歩史観的な消費論である。これ以降、「小衆」「階衆」「客衆」など少衆論、分衆論に類似した多数の議論が出てきた。(p122)
消費論ブーム

時代が変わりつつあることは確かだが、変わる先のイメージははっきりとした形をとっていない。
7月26日の東京新聞のコラム「筆洗」は次のように書いている。

当時は時代の曲がり角である。経済的価値を追い求め、モーレツに働き続けてきた高度成長期の日本人に向かって、もっと人間的で「ビューティフル」な生き方をしようよと広告でささやいた▼今、見ても挑戦的な内容である。若い男(加藤和彦さん)が銀座の町を歩いている。手に持つのは、「ビューティフル」のプラカードと小さな花。それだけである。「ビューティフル、解放。ビューティフル、尊厳。ビューティフル、人間性…」とナレーションが続く▼四十五年後の現在。モーレツという感じではない。されど、経済的価値や効率よりも人間性の美しさや優しさが大切にされる時代とも思えぬ。あの広告が古びない理由は「ビューティフル」に今なお手が届かぬせいだろう。せめて小さな花を持ち続けたい。

戦後70年の今年、戦後史の1つの側面を象徴する人がいなくなった。
合掌。

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2015年7月28日 (火)

ヤンキー政治家から日本を取り戻せ/日本の針路(202)

私などの世代にとっては、「ヤンキー」といえば、アメリカ人を指すのが普通ではなかろうか。
しかしながら、今は「不良少年」を指すことが多いようだ。
Wikipediaでは次のように説明されている。

“ヤンキー”と呼称されるスタイルは、若者の「周囲を威嚇するような強そうな格好をして、仲間から一目おかれたい」という志向が表れたものである。それぞれの時代によって流行があり、明治以来の伝統的なモラトリアムファッションである「バンカラ」から、1970年代に流行した「ツッパリ」スタイル以降、「(クラシック)ヤンキー」「ヒップホップヤンキー」「ギャル男」「悪羅悪羅系」など時代に応じて流行に変化が見られる。根本的なメンタリティ自体はそれほど変化していないが、外見や消費傾向などの枝葉の部分は時代に連れて変化を続けている。

日本の社会全体について、ヤンキー化の傾向を指摘したのは精神科医の斉藤環氏である。
ヤンキー化する日本 』角川oneテーマ21新書(2014年3月)の中に、次のような説明がある。

その場の勢いをなにより大事にし、「深く考えない」ことを美徳とする精神(反知性・教養主義)

私は、安倍首相や麻生副首相を見ていると、この言葉が当てはまっているように感じる。
事実、斎藤氏は、雑誌のインタビュー記事で次のように言っている。

──そして安倍政権も……。
ヤンキーは仲間と家族を大事にする。安倍さんの親学への親和性、子育てに対する考え方や家族の絆を大切にするという発想がヤンキー的です。福祉や弱者保護は国民の絆任せにし、政府はおカネをじゃんじゃん刷って経済をもり立てればいいという発想も、ヤンキー的なアゲアゲのノリをうまくとらえている。
みんな絆という言葉に弱いですから。そもそもは拘束や動きを束縛するという意味を持つ絆という言葉が、特に震災を契機にして麗しいもの、なくてはならないものという言葉に変わっていく様は奇妙ですが。
生活保護費の切り下げもヤンキー的です。ヤンキーの人権意識は自己責任。つまり「義務を果たしていないやつには権利を与えるな」というもの。万人が一定の人権を持っているという天賦人権説に照らせば、生活保護は請求があれば支給するのが当たり前です。それがいつの間にか、本当に困っていて、頑張ったけれどダメだった人にしかあげることが許されないようなことになっている。
そこにあるのはヤンキーのムラ的発想にほかならない。集団に寄与していない人間には集団も利益を与えないという村八分的論理です。
ヤンキー的な気合主義が蔓延している

安保法案が国民に理解されていないということは、安倍首相自身あるいは麻生副首相が口にしていることである。
しかし、「理解」ということの理解において、まったく誤解しているのではないか。
作家の室井佑月氏は次のように言う。

 毎日新聞が7月4、5日に実施した全国世論調査によると、9月27日まで延長した通常国会で安保法案を成立させる政府・与党方針に、賛成が28%、反対が61%だった。内閣不支持層では91%が反対だ。
 安保法制が今どうしてもこの国には必要で、なにがなんでもやらねばならんというのなら、なぜこの91%の層に訴えようとしないんだろう。安倍さんがよくいう「丁寧な説明をしつくす」という言葉は、この91%に向けられるべきものだよね。
 が、安倍さんが国民への丁寧な説明をするために選んだ場所は、「月刊WiLL」と自民党のインターネット番組。自分と似たような思想の人たちの溜まり場だ。自信ないのか?
 仲間内で「安倍ちゃん最高!」とか「888……」とかやっていればそれで満足ってか? 高村副総裁は「理解がなくてもやるときはやる」っていっているみたいだし。
 あたしはこういう考え方の人たちが、この国のトップでいることにもう笑えなくなっている。だって、まるでヤンキーの集会だ。あなたたちはそれでいいのかもしれないけれど、世の中はあなたたちだけじゃないのだ。それがまったく見えていない&わかっていない。この人たちが船長でいる船に乗っていて大丈夫か。ネット番組での安倍さんの説明も、ヤンキー向けだったしな。
「『安倍は生意気だ』と私を殴ろうとする不良がいる。するとアソウという友達が『おれはケンカが強いから守ってやる』と言って一緒に家に帰ってくれた。そこに3人くらいの不良が出てきて、前を歩いていたアソウさんに殴りかかった。3対1だから私もアソウさんと一緒に対応する。これが今回日本が行使しようとしている集団的自衛権だ」
 だとさ。あの~、ヤンキー理論ではそうなのかもしれませんが、普通の感覚なら、なぜ安倍くんを殴ろうとする人がいるのか、お友達であるアソウさんが、安倍くんと考えるところからはじめると思うんですけど。どうしたらそういう物騒な話にならないのかと。
室井佑月 安倍首相に「あの~、ヤンキー理論ではそうなのかもしれないが…」

アベ君とアソウ君は仲良しのヤンキーかも知れないが、「世の中はあなたたちだけじゃないのだ」。
日本をヤンキーから取り戻さなければならない。

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2015年7月27日 (月)

火事と集団的自衛権/「同じ」と「違う」(86)

安保法案はこれから参議院で審議される。
衆議院とは異なる展開をしないと、参議院無用論が噴出することになろう。
私は、一院制よりも二院制の方がベターだと考えるから、是非衆議院との差別性を明確に示してほしい。

参議院は良識の府であると言われる。
そのカギの一つは、公明党が握っているといえよう。
平和の党を標榜してきたにもかかわらず、衆議院のようなありさまでは支持を失うと思われる。
私は公明党の支持者ではないのでそのことはどうでもいいが、同党のOBに聞くと、内部的には疑問の声も多いという。

安倍首相は、国民の理解が進んでいないと言って、TV等で自身が解説をしている。
しかし珍妙な例え話を多用するので、本人の意図とは異なり、国民は安倍首相が何か別の意図を持っているのではないかと「理解」し始めている。
⇒2015年7月19日 (日):安倍首相の例え話の耐えられない軽さ/日本の針路(199)

大体、国会での審議を強引に打ち切り、TVで解説をするということ自体、本末転倒である。
TVでは、集団的自衛権の行使容認を、町内の助け合いで説明したり、火事の例え話で説明していた。
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東京新聞7月26日

しかし、武力行使の問題を火事で説明するのには無理がある。

 首相は二十一日に民放BSの番組を収録。「残念ながら(安保法案に)厳しい批判がある。きっちり説明する責任が私にはある」と強調。安保法案の柱となっている他国を武力で守る集団的自衛権については、自宅と他人の母屋、その離れにたとえて説明。「(離れから)火の粉を含んだ煙が来て、自宅に火が移る明白な危険の時に、離れの消火活動に入る」と述べた。
 司会者が「分からない。離れはホルムズ海峡のことか」とただすと、首相は「(米国の)イージス艦だ」と説明するなど、議論がかみ合わない場面も目立った。
首相、異例の長時間TV出演 安保で連日たとえ話

首相は支持率のために政治をするのではない、と言っている。
その言やよし、と言いたいところだが、支持率の低下は国民が安倍政権の本質を「理解」し始めたということである。
特に女性の反対が増えているようだ。
子どもを生み育てる女性は、戦争には敏感である。

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2015年7月26日 (日)

本気で自衛隊の治安出動を考えた岸信介/戦後史断章(20)

自衛隊には、他国からの武力攻撃に対処するための防衛と並んで治安出動という任務がある。
治安出動とは、緊急事態や治安上重大な事態に際し、自衛隊の全部または一部を出動させて、治安の維持をはかることを自的とした活動である(自衛隊法第78条、同81条)。
ただし、「一般の警察力をもっては、治安を維持することができないと認められる場合」(同78条第1項)である。
防衛庁・自衛隊の発足から今日まで、治安出動が行われたことは一度もない。

そのことは戦後といわれる期間、平和主義憲法下に現存する実力組織・自衛隊の性格の一面を示すものであろう。
しかし、治安出動が本気で検討されたことが1回だけあった。
「60年安保闘争」の国民的盛り上がりに対して、岸信介が、時の自民党幹事長・川島正次郎を通じて、防衛庁長官だった赤城宗徳に、デモを鎮圧するため自衛隊の治安出動を要請したのである。
赤城はこれを拒否した。
赤城は、「武器を持った自衛隊の出動で死者が出れば、デモは革命的に全国に発展する。そうしたら、収拾がつかなくなる」と考えたという。
岸の暴走を止める理性が、当時の閣僚にはあったということだ。

「60年安保闘争」は、戦後史を画する出来事であった。
⇒2015年6月29日 (月):吉本隆明『擬制の終焉』/私撰アンソロジー(38)
岸信介は、安保条約の改正を政権獲得時の重要課題としていた。

岸は、敗戦後直ぐにA級戦犯容疑で逮捕されたことがあったが、東条英機らが処刑された翌日に釈放されている。
岸内閣は、軍事・教育・治安三点セットでの統制を強めた(福井紳一『戦後史をよみなおす――駿台予備学校「戦後日本史」講義録』講談社(1111)。
統制経済を主導した官僚の政治家としての姿ということだろう。

1958年10月に、警察官職務執行法改正案が国会に提出された。
激化していた勤評闘争を押さえることが目的といわれ、「戦後版治安警察法」などといわれた。
この法案は廃案になったが、その過程で、社会党・総評を中心に市民レベルに反対闘争が広まった。
岸は、1957年訪米して、アイゼンハワー大統領と「日米新時代声明」という共同声明を出し、1960年1月、ワシントンで日米新安全保障条約に調印する。
⇒2012年10月22日 (月):60年安保と岸信介/戦後史断章(3)

安倍首相が、日本の国会での審議を経ないで、安保法案の成立をアメリカ議会で約束したことが、既視感のように思えるのは、このような経緯があるからであろう。
そして、60年に入ると、全国の老若男女が反安保・反岸といった感じになっていく。

5月、自民が日米安保新条約を強行採決。6月15日、デモ隊と警官隊が衝突し東大生の樺美智子さんが死亡した。アイゼンハワー米大統領は来日中止。新安保は19日に自然承認。23日、岸信介首相が辞任表明。
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1960年 安保の対立、犠牲者も

これから参議院での審議が始まる。
安倍首相自ら、国民の理解が進んでいないという安保法案。
にもかかわらず、珍妙な解説で説明した気になっている。
国民は、理解していないというよりも、何かを隠そうとしているのではないかと感じてしまっているのだ。
反安倍の運動は、今まで政治的な意識が薄いと言われてきた層をも巻き込んで行くことになるだろう。
まさに戦後レジームの評価が問われているのだ。

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2015年7月25日 (土)

強行採決に抗議して東工大辞職・鶴見俊輔/追悼(72)

鶴見俊輔さんが亡くなった。
1922(大正11)年、東京生まれ。
15歳で渡米、ハーバード大哲学科を卒業。
大衆研究・思想史研究に独自の領域を開拓。京大・東工大助教授、同志社大教授を歴任。
2004年、故・加藤周一さんらと「九条の会」呼びかけ人となる。
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鶴見俊輔さん死去

冒頭の簡単な履歴だけで、リベラルな雰囲気が濃厚に漂ってくる感じがする。
私は「思想の科学」誌の継続的な読者ではなかったが、折に触れ購読した雑誌だった。

 戦後の46年、雑誌「思想の科学」を都留(つる)重人、丸山真男らと創刊。米国のプラグマティズム(実用主義)を紹介するとともに、共同研究の成果をまとめた「共同研究 転向」は戦前・戦後の思想の明暗を新しい視角からとらえた。49年、京都大人文科学研究所助教授。54年、東京工業大助教授。
 60年5月、岸内閣の新日米安全保障条約強行採決に抗議して東京工大を辞職。翌年、同志社大教授となるが、大学紛争下の70年、辞職した。作家の小田実らと結成した米国のベトナム戦争に反対する「ベ平連」(ベトナムに平和を!市民連合)運動を展開した。
 「思想・良心の自由」の信念から、ベトナム戦争からの脱走米兵援助や国外退去処分になった韓国人らを本国送還するまでの期間拘禁した大村収容所の廃止運動、さらに、投獄されていた韓国の反体制詩人・金芝河(キムジハ)氏への支援などに努めた。
鶴見俊輔さん死去 「思想の科学」「ベ平連」93歳

私は姉の社会学者・鶴見和子さんに、脳梗塞の先達として、発症後の生き方について学ぶことが多い。
その他、父は政治家鶴見祐輔、弟の鶴見直輔、妹の夫の法学者・内山尚三、妻の英文学者・翻訳家の横山貞子、息子の鶴見太郎・早稲田大学文学部教授、従弟の人類学者・鶴見良行、母方の叔父には獄中転向で知られる佐野学などまさに多士済々の家系だった。

鶴見さんのような人が一定の影響力を持っている間は、日本は極端な右傾はしないだろうと思っていた。
岸信介の面影を追うかのように、孫の安倍晋三が、昂然と安保法案の強行採決をした時に鶴見さんを失うことになるとは。
どうか安らかな眠りに就いて天国からこの国の行方を見ていてください。
合掌。

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2015年7月24日 (金)

ウナギの傾向と対策(2015年版)/日本の針路(201)

今日が「土用の丑の日」である。
静岡県の三島市は、知る人ぞ知るウナギの名店の多い街である。
もちろんウナギの漁獲量あるいは養殖量が多いということではない。
市内に湧出している富士山の雪解け水を利用して、うなぎ特有の臭みや余分な脂を落として食材に供しているのである。
市内のうなぎ屋は、「うなぎ横町」という統一ブランドを使用して、アピールしている。
⇒2012年7月26日 (木):土用の丑の日に因んで

市内を歩くと、ウナギ屋の前では、販促効果狙いだろうが、強烈な蒲焼を焼く匂いが店の外に漂ってくる。
これぞまさしく、シズル感であろう。

食欲や購買意欲を刺激するような食品の活きの良さや瑞々しさと言った「おいしそうな感じ」のこと。五感を刺激するような感覚のこと。そこから転じて、現場の「臨場感」を表す際に使われることもある。

昨年の「土用の丑の日」には、稚魚のシラスウナギの漁獲高が激減していて、養殖ウナギ(市場に出回っているものの大部分)がピンチであることを取り上げた。
絶滅が危惧されるレッドリスト入りしたことが大きな話題になった。
また、ウナギに替わる食材としてのナマズについても言及した。
埼玉県吉川市がナマズ料理で有名である。
⇒2014年7月29日 (火):ウナギの傾向と対策/日本の針路(14)

今年は、あの「近大マグロ」をヒットさせた近畿大学のウナギ味ナマズが評判である。

 ナマズなんて食べられるの?と思うなかれ。実は、ナマズは身近な食べ物だ。一般的にはあまり知られていないが、東南アジアなどで養殖した「パンガシウス」という種を、外食チェーンや総合スーパーなどが白身フライの材料として幅広く扱っている。
・・・・・・
 「ナマズは泥臭い」というイメージを持つ人も多いだろう。だが、有路氏は「餌と水を工夫すれば、美味しいナマズを養殖できる」と自信を持っていた。まず、餌の研究に取り掛かった。 養殖魚は魚種ごとに脂質、タンパク質など栄養分のバランスを見ながら、最適な餌を与える。例えばトラフグの餌は白身魚の魚粉を使い、脂肪分がゼロとなるように配慮している。
 近大ナマズの場合、淡水魚のマスに与える餌や、海水魚に与える餌など様々な種類を「コーヒー豆のようにブレンドした」(有路氏)。近大マグロの養殖で使う餌も一部与えているという。
・・・・・・
 最適な餌と水、そして豊富な養殖ノウハウ。この3つが組み合わさって今年2月、近大ナマズの養殖に成功したのだ。
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 近大ナマズは、まず5~6月に、奈良県のウナギ料理店「うなぎの川はら」の協力を得て試験販売。ナマズを食べた来店客の多くから高い評価を得た。確かな手応えをつかみ、満を持して今回の東京進出に至った。
 ただ、供給量が少ないため、今回は1食を数人でシェアするなどして、できるだけ多くの人に試食を楽しんでもらうことを考えている。なお、残念ながら、今年後半の丑の日(8月5日)の販売は予定していない。
 近大ナマズの生産量は今年、約1トンの見込み。ノウハウが蓄積されてきたことで、来年には100トン以上に増やせるとみている。だが「市場では1万トンを超える需要が見込まれていて、とても生産が追いつかない」(有路氏)。しばらくは品薄状態が続きそうだ。
 近大が、安定的な供給体制が整う前のタイミングで、あえて都内で近大ナマズの限定販売に踏み切るのは、消費者の認知度を早くから高める狙いがある。近大ナマズを、今やすっかり大学の代名詞にもなった「近大マグロ」に続くヒット商品にしたいという、したたかな計算もあるようだ。
マグロの近大が新たに仕掛ける「ウナギ味のナマズ」

ウナギはマリアナ海溝で産卵する。
太平洋を回遊して日本の河川を遡上するという奇跡のような生態であることが分かってきた。
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「Wedge」2015年8月号

「Wedge」2015年8月号には『ウナギ密漁』という記事が載っている。
シラスウナギが暴力団の資金源になっているというのだ。
近大ナマズが市場化されれば、シラスウナギの密漁も減るだろうか。

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2015年7月23日 (木)

五輪招致演説に表出した無責任の構造/人間の理解(16)

安倍首相は、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場建設計画を、白紙に戻すと表明した。
⇒2015年7月17日 (金):新国立競技場の見直しだけで終わらせない/日本の針路(198)
⇒2015年7月20日 (月):新国立競技場の混乱に関する舛添都知事の批判/日本の針路(200)

明らかな支持率対策であるが、2年前の五輪招致演説では、白紙にしたデザインを念頭に、独創的なスタジアムでの開催をアピールし、財政措置を確実に実行すると明言していた。
演説で、福島第一原発事故の状況について、実態と全く乖離した発言をしていたことを聞き、この人の言うことは信用しないことに決めた。
⇒2015年1月 5日 (月):福島原発事故による海洋汚染/原発事故の真相(124)
⇒2015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)

Photo 演説では、福島第一原発事故について「私から保証します。状況は統御(アンダー・コントロール)されています」と明言した。しかし、汚染水が海に流出し続けるなど、原発事故は収束には程遠い状況だった。政府は今年六月の廃炉に向けた中長期ロードマップ(工程表)改定でも、使用済み核燃料の取り出し開始時期を大幅に遅らせており、現在も原発事故対応をコントロールできているとは言えない。
 招致演説では、競技場について「ほかのどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで、確実な実行が(東京で開催すれば)確証される」と断言した。
 新国立競技場は、民主党政権時の一二年十一月に日本スポーツ振興センター(JSC)が選定したデザイン。女性建築家ザハ・ハディド氏による、二本の巨大アーチ構造が特徴だ。このデザインについては一三年八月、世界的建築家の槇(まき)文彦氏が大幅な見直しを求める論文を公表した。首相はその約一カ月後に、新国立競技場を招致の目玉としてアピールした。
 ザハ氏のデザインは、東京五輪開催が決まる「大きな原動力」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)になったと政府内では受け止められている。自民党議員は「五輪招致の決定で重みを持ったのは事実」と指摘する。
 首相は「民主党政権時代にザハ案でいくことが決まった」と強調するが、安倍政権も招致に最大限利用したことは否定できない。財政措置をめぐっても、既に確保できたのは五百億円のみ。当初見込んでいた工費千三百億円にも及ばない。
首相、2年前の五輪演説も白紙? 「独創的スタジアム」「福島統御」

安倍首相の虚言は、詐欺師の域に達している。
⇒2015年5月24日 (日):詐欺師のレトリックを多用する安倍首相/日本の針路(164)

よもやこれで支持率が回復することもないと思うが、白紙になっても今までの経緯は不問ということのようだ。
白紙還元により、ザハ氏への違約金を別にして、既に発生した60億円とも言われる費用は戻らない。
誰も責任を取らなくていいのか?
安倍首相も森組織委委員長も遠藤担当相も全体の責任という。
確かに全体としての結果ではあるが、誰の責任かを明確にしないと同じことを繰り返すことになろう。
ちなみに関わっている人物は下図のようである。
Photo
東京新聞7月23日

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2015年7月22日 (水)

日本を代表する企業・東芝の実態/ブランド・企業論(36)

東芝と言えば、自他共に認める日本を代表する企業である。
その「不適切会計」(粉飾)問題の実態が、会社が設置した第三者委員会により明るみに出つつある。
⇒2015年5月13日 (水):東芝に何が起きているのか?/ブランド・企業論(35)
⇒2015年7月14日 (火):東芝の不適切会計=粉飾決算の構図/日本の針路(196)

 不正会計問題で、東芝は二十一日、田中久雄社長や前社長の佐々木則夫副会長、その前の社長の西田厚聡(あつとし)相談役ら直近三代の社長経験者を含む経営陣九人が同日付で辞任すると発表した。このうち取締役は八人で取締役会の半数が辞める。同社の第三者委員会は「不適切会計は経営判断で行われた」と組織ぐるみだったと断定。一方、田中氏は記者会見で自らの経営責任を認めつつも、部下に圧力をかけたことはないとの認識を示した。後任社長は室町正志会長が暫定的に兼任し、八月中旬に新たな経営体制を公表する。
東芝歴代3社長が辞任 第三者委断定「経営判断で不正」

トップの引責辞任は当然だろうが、第三者委員会の報告書をみると、ブラックユーモアのような気もする。
「不適切」に至るキーワードが、「チャレンジ」だというのだ。
150722
東京新聞7月22日

「チャレンジ」とは、業績目標の達成のことだという。
業績目標の達成自体は当たり前のことである。
しかし、東芝では、第三者委員会が廃止すべきだと指摘するほど歪んだ形で行われていた。

「こんなの受け取れるか!」
 ある東芝の関係者は、佐々木氏が社長時代に、インフラ部門が上げた中期経営計画の予算数値を突き返していたのを何度も目の当たりにした。この部門は毎年、マーケットの状況や今後の受注見通しを積み上げて作成した中期計画を提出するが、目標が佐々木氏の意にそぐわないと「受け取れない」と拒否されたという。
 部門のトップは何度も佐々木氏に数値を提出するが、ことごとく押し返され、そのたびに、「上からドンと予算数値が積み増された」(東芝関係者)という。そうして出来上がった予算数値は「スタート時点から達成できない非現実的なもの」(同)となっていた。
 当然、新年度が始まると、実際の事業が予算通りにいくことはほぼない。部門の担当者からすると、そもそも予算が達成不可能なのが原因だが、経営陣は「おまえらがやれると言っただろう!」と責任を部門に押し付けたという。
東芝、会計管理の呆れた実態 /不正を誘った究極の社内論理

一時期の消費者金融の雰囲気ではないか。
ノルマを設定しても、合理的な目標になっていないならばこういう結果になるのである。

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2015年7月21日 (火)

歴史理解のための地政学/技術論と文明論(31)

地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響を巨視的な視点で研究する学問を地政学という。
イギリス、ドイツ、アメリカ合衆国等で国家戦略に科学的根拠と正当性を与えることを目的とした。

日本でも、日本地政學協會という団体が存在した。
その機関誌として月刊の「地政學」が、昭和17年1月に創刊されている。
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昭和17年1月の出来事をWikipediaからで拾ってみよう。

1月1日 - ワシントンDCで連合国共同宣言調印(枢軸国との単独不講和を確認)
1月2日 - 日本軍がマニラを占領
1月3日 - 神風号で亜欧連絡飛行を達成した飯沼正明飛行士がマレーで戦死(と発表)
1月8日 - 第1回大詔奉戴日
1月11日 - 日本軍がセレベス島に上陸
1月18日 - ベルリンで日独伊軍事協定調印(米国西海岸を日本、米国東海岸を独伊の作戦地域と決定)
1月20日 - 独首脳が欧州ユダヤ人の殺害を決定(ヴァンゼー会議)
1月23日 - 日本軍がラバウルに上陸

前月、大東亜戦争を開戦し、意気軒昂としていた雰囲気が窺われる。
しかし、6月にはミッドウエー海戦でアメリカ海軍に決定的は敗戦を喫し、客観的に見れば無謀の戦争を20年8月まで継続するのである。
戦意喪失を避けるため、ミッドウエーの被害は、ごく一部を除いて秘匿された。
そのため、責任の追及も、敗戦の分析も曖昧のままであった。

特定秘密保護法とは、責任を免れるシステムでもある。
新国立競技場計画も、責任不在のまま白紙撤回された。
⇒2015年7月 9日 (木):新国立競技場建設にみる無責任の体系/日本の針路(194)
⇒2015年7月17日 (金):新国立競技場の見直しだけで終わらせない/日本の針路(198)

「地政學」創刊号に載っている協会の規約を見ると、目的について以下のように記されている。

第三條 本會ハ地政學ヲ研究シ特ニ日本及ビ其ノ生活圏ヲ中心トスル陸海空間ヲ地政學的ニ調査研究シテ我ガ日本ノ高度國防國家建設ノ國策ニ寄輿スルヲ以テ目的トス

すなわち軍事に偏った政策科学と言えよう。
軍国主義へ奉仕した学問ということで、戦後はすっかり忘れ去られたかのような雰囲気である。
しかし、国家だけでなく、地域間の争いがあれば、「地政学的」な見方が有効な場合は多い。
特に時代が遡れば遡るほど、土木技術水準が低いから、土地の影響は大きいであろう。
例えば、典型的な土地争いの時代だった戦国時代には、治水(水害の防御と水利用)に長けた武将が輩出している。
中国の言葉に「善く国を治める者は、先ず水を収める」があるが、必須でありながら有害でもある水のコントロールが重要なのは昔も今も変わらない。

NHKの人気番組『ブラタモリ』で仙台を取り上げていた。
テーマは「伊達正宗は地形マニアだった」である。
正宗の地形を読む眼力が仙台市の用水路網形成に大きく与ったという趣旨である。

正宗に限らず、武田信玄、黒田如水、徳川家康などは治水家としても有名だった。
⇒2008年5月25日 (日):都江堰と信玄堤
⇒2012年8月20日 (月):三分一湧水と先人の知恵
⇒2014年7月 7日 (月):三島北高校のグローバル人材教育/日本の針路(5)
⇒2013年10月24日 (木):カスリーン台風と利根川治水/戦後史断章(15)

戦国時代よりも古代の方が地政学的影響は大きかったはずである。
保存か道路かで揺れている沼津市の高尾山古墳に関連して、静岡大学篠原和大教授の『高尾山古墳の語るもの』という講演を聴きながら、古代史理解のキーは地政学にあるのではなかろうか、などと考えた。
⇒2015年6月17日 (水):高尾山古墳の主は卑弥弓呼か?/やまとの謎(103)
⇒2015年6月25日 (木):高尾山古墳が存亡の危機という非常事態/やまとの謎(104)

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2015年7月20日 (月)

新国立競技場の混乱に関する舛添都知事の批判/日本の針路(200)

新国立競技場の建設計画見直しをめぐり、東京都の舛添要一知事が自身の公式ツイッターで、政府の対応を批判した。
Ws000000

舛添知事に全面的に賛同はできないが、このツイートに関しては正論であろう。
「国立」である以上、国が第一義的な責任を負うべきである。
これだけの醜態を晒しながら、誰も責任を取らないという「無責任の体系」があってはならない。
⇒2015年7月 9日 (木):新国立競技場建設にみる無責任の体系/日本の針路(194)

安倍首相は7月10日の衆院特別委員会で、新国立競技場のデザインについて「民主党政権時代に決まったこと」だと述べた。

国際コンペをやると約束し、監修権等をザハさんに与えると決まったのが2012年11月、我々が政権につく前のことだ。事実として述べると、民主党政権時代に、ザハ案でいくということが決まり、オリンピックを誘致することが決まった」と述べた。
さらに安倍首相は、「その後、コストがかさむことがわかってきた。確かに費用がかさみ、多くの国民もそう思っているのではないかと思う。私も、『どうなんだ』と事務方に問い合わせた。しかし、この案をやめて新たに国際コンペを行ってデザインを決めることをやっていては、2019年のラクビー・ワールドカップに間に合わないし、2020年の東京オリンピックにも間に合わない可能性が高いという報告を受けた」と答弁した。
新国立競技場について安倍首相「民主党時代に決まったこと」

コストが高騰して批判が出ていることに対して、それはデザインの問題であり、民主党の責任だと言いたいようである。
しかしそのデザインを前提に次のようにアピールしたのは安倍首相自身である。

フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。
さらに申し上げます。ほかの、どんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで、2020年東京大会は、その確実な実行が、確証されたものとなります。
オリンピック東京プレゼン全文、安倍首相や猪瀬知事は何を話した?

前段は言うまでもない。
「状況は、完全に統御されている」とは何年後の話だ?
⇒2015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)

ここで問題にしたいのは後段である。
「ほかの、どんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで」と言った言葉が「国際公約」と言われるものの中身である。
つまり安倍首相の「ええかっこしい」というだけの話である。

そんな「国際公約」のために大騒ぎするのはウンザリである。
私の知人が、次のような川柳をひねって送ってきた。

見てみたい 安倍森麻生 通信簿

まったく、勉強というものを知らないで大学まで進学し、大学でもしなかったに違いない。

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2015年7月19日 (日)

安倍首相の例え話の耐えられない軽さ/日本の針路(199)

安倍首相が、安保法案の採決先立って自民党のインターネット番組への計5日にわたり出演し、説明をした。
各種世論調査で「政府は説明不足」とする回答が8割に上っていた状況に対し、説明責任を果たしたというアリバイ作りということだろうか。
しかし、問われているのは「国民に対する説明不足」である。
「自民党のインターネット番組への出演」では、説明したことにはならないであろう。

とはいえ、その内容が話題になったことからすれば、一定の効果はあったのかもしれない。
分かりやすい説明を勘違いして、例え話を多用した。

 私の友人でスガさんという人がいたとします。このスガさんの家に強盗が入って大変だということで、私の家に「安倍さん助けて! 一緒に強盗と戦ってよ」と電話がかかってきても、私はスガさんの家まで行ってスガさんを助けることは出来ないんです。友達同士という感覚では助けに行かなければいけないが、安倍家が危ないわけではないから。(7日、今回の法案が成立しても、行使できない集団的自衛権の説明として)
たとえ話で伝わる? 安保法案、首相がネット番組で説明

こんな例で説明したことにならないのは当然である。
強盗に入られて、「一緒に戦って」などと電話をかけるか?
例え話はうまくツボを押さえれば有効であるが、外すと余計分からなくなる。
国会の論戦を通じて、多数の国民が納得するように説明するのがスジだろう。

インターネット放送では以下のような説明が行われた。
Ws000000
安保法案:安倍首相のネット番組 例え話の通信簿は?

さすがに、民主党の辻元清美氏から「軽すぎる」と批判が出た。
百田尚樹氏と同じで、類は似ているということだろう。
⇒2015年7月 2日 (木):百田尚樹という存在の耐えられない軽さ/人間の理解(14)

私も例え話でお返ししよう。

アベ君とアソウ君は大の仲良しである。
二人ともお金持ちの家に生まれ、生活の苦労を知らないし、余り勉強しないで過ごしてきた。
アベ君は、おじいちゃん以来の悲願である憲法改正をしようとしたが、国民の理解が得られそうもなかった。
そこでアソウ君がアドバイスした。
「ナチスの手口に倣ったらどうかね」
アベ君は、憲法改正の手続きをしないで、閣議決定だけで憲法の大事な部分について、解釈の変更をすることにした。
憲法は最高法規であるから、どんな法律も憲法の枠内でなければならない。
今まで憲法の枠を超えるとされてきたものを、枠内であるということにしたのである。
そうして、法律を作った。
アベ君は、「持つべきものはトモダチだ」と思った。

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2015年7月18日 (土)

対称性の自発的破れ・南部陽一郎/追悼(71)

偉大な科学者がこの世を去った。
南部陽一郎さんである。
絵に描いたようなリベラルの人である益川敏英さんが、ノーベル賞受賞会見で、南部さんのことを「仰ぎ見る人」と形容し、「その人と一緒に受賞できるなんて・・・」と感涙で絶句していたことが印象的だった。

Photo 素粒子理論の世界的権威で、「自発的対称性の破れ」の発見で2008年にノーベル物理学賞を受賞した米シカゴ大名誉教授の南部陽一郎(なんぶ・よういちろう)さんが7月5日、急性心筋梗塞(こうそく)のため死去した。94歳だった。葬儀は近親者で営んだ。お別れの会などの開催は未定。
 1921年、東京生まれ。42年に東京帝国大(現東京大)理学部物理学科を卒業。52年、朝永振一郎氏(故人、65年ノーベル物理学賞)の推薦で米プリンストン高等研究所に留学した。58年にシカゴ大教授、70年に米国籍を取得した。91年からシカゴ大名誉教授。2011年に大阪大特別栄誉教授となった。
訃報:南部陽一郎さん94歳=ノーベル物理学賞

もちろん、私にはその業績を正確には理解し得ない。
ただ多くの科学者たちが、その驚異的な先見性について語っているのを散見するだけである。
科学者としてだけでなく、一人の人間として魅力的だったことは、次の談話からも十分に窺える。

 南部陽一郎さんの妻・智恵子さん(93)は「私が夫と出会ったのは宝塚にあった陸軍の研究施設でした。私の一目ぼれでございました。それ以後、豊中、アメリカのプリンストン、シカゴ、そして再び日本へ。苦労もありましたが、70年あまり、ほがらかな道をともに歩んで参りました。夫を失い、ただただ悲しみに暮れています」とのコメントを発表した。
訃報:南部陽一郎さん94歳=ノーベル物理学賞

東京新聞のコラム「筆洗」に興味深い逸話が載っている。

▼謎多き素粒子物理の世界で灯台のように進む先を照らし、ノーベル賞に輝いた南部さんだったが、戦時中は陸軍でレーダーの研究に従事させられ、「泥棒」を命じられたこともあった▼陸・海軍はともに同じような研究をしていたが、両者の確執はすさまじかった。一九六五年にノーベル賞を受賞した朝永振一郎博士は海軍でレーダー研究に関わっており、機密の朝永論文を「盗め」というのが、若き南部さんに下った指令だった

朝永さんの講演を高校時代に聴いたことがある。
気さくな人柄で、私たちはすっかり魅了されてしまい、同級生の中にはその講演がきっかけで物理学徒になった者もいる。
すぐれた人間は、専門領域に留まらない魅力を湛えている。
合掌。

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2015年7月17日 (金)

新国立競技場の見直しだけで終わらせない/日本の針路(198)

新国立競技場が余りに評判が悪いということで、見直すことになったらしい。
安保法案にまで影響しては大変だという思惑であろうか?
「重鎮」の森元首相まで、見直した方がいいと言い出す成り行きだ。

安倍総理大臣は、総理大臣官邸で、記者団に対し、東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新しい国立競技場について、「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで計画を見直すと決断した」と述べ、計画を見直す方針を表明するとともに、下村文部科学大臣らに新しい計画を速やかに作成するよう指示したことを明らかにしました。
新国立競技場 首相「計画を白紙に戻す」

詐欺師の面目躍如である。
安保法案の衆院強行採決で支持率が不支持率を下回ったことから、慌てて目先を逸らす決断をしたのだろう。
そのために肝いりのNHKで悪評を煽る。
何しろ、オリンピックのためならば、福島原発事故で海洋にダダ漏れなのにもかかわらず、平然と「完全にコントロールされている」と言い切った男である。
陸上の為末氏、有森氏、ラグビーの平尾氏などの著名アスリ-トたちが反対の声を上げたのも大きいのではないか。
出来レース以外の何物でもない。

Photo先月まで日本ラグビー協会の会長も務め、現在は名誉会長の森元総理大臣は、民放の番組収録で、「2019年のラグビーワールドカップのために建設を急がなければいけないとおもしろおかしく言われるが、嫌ならやらなくていい。競技場がなければ開催できないので、間に合わなければ、ほかの競技場でやるしかない。ラグビーがターゲットにされるのは不愉快だ」と述べました。
そのうえで森氏は新しい国立競技場の建設について「計画は見直したほうがいい。もともと私はあのデザインは嫌だった」と述べ、計画の見直しに理解を示しました。
森元首相 新国立競技場計画見直しに理解

森氏の好悪は問題にはならない。
見直しは当然として、この連中の軽躁さには、ウンザリする。
森氏が産経新聞のインタビューで、次のように語っている。

 五輪招致では「立候補ファイル」というのをJOC(日本オリンピック委員会)と東京都がIOCに提出するんだけど、その中に新国立競技場の全貌が書かれていて、IOC委員の投票の決め手になっているわけです。
 2013年9月のブエノスアイレスのIOC総会で日本に投票した委員は「日本はこんなすごいものを造るのか」となった。それに安倍晋三首相は「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから確かな財源措置に至るまで、その確実な実行が確証されている」と演説して大拍手だったわけよ。
森喜朗元首相 「新国立競技場の経緯すべて語ろう」

まったく他人事のように喋っているが、自分の責任は何もないと言うのだろうか。
ついこの間まで、新国立競技場のデザインは国際公約だと言っていたことの一端は、安倍首相の「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから確かな財源措置に至るまで、その確実な実行が確証されている」という演説だ。
それが批判の盛り上がりに恐怖を覚えたのであろう。
手のひらを返したように見直すという。

ならば安保法案はどうか?
各地で、批判の声が高まっている。
7月13日の衆議院平和安全法制特別委員会の中央公聴会で、同志社大学の現学長・村田晃嗣教授が与党推薦の公述人として出席し、安保法案に対し、国際政治学者として肯定的立場からの発言を行った。
これに対し、同大教職員組合が批判している。

わたしたち平和を希求する同志社大学教職員有志は、現行憲法に違反する安保法案の成立に反対します。また、その法案に対し、本学の学長職にある教授が公的な場で支持を表明したことについて、心から恥ずかしく思います。同志社大学が教育理念の一つの柱に掲げてきた国際主義と、今回の村田教授の個人的見解とが一致するものではないことを、ここに表明するものです。
安保法案の成立に反対する同志社大学教職員有志の声明

下記の京大有志の声明書に続き、京都の大学で反撃の烽火が上がったのだと思う。
Ws000001
⇒2015年7月15日 (水):声明書・自由と平和のための京大有志の会/私撰アンソロジー(39)

政治に知的な営みを取り戻せ。
立憲主義を尊重する政治を求める学生たち(SEALDs)の運動と多様な分野の学者がドッキングせよ。
それが市民に波及して、知性のダイナミックなうねりが起きれば、安倍政権は潰れるだろう。Ws000000

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2015年7月16日 (木)

法治国家であることを放棄した政府・与党/日本の針路(197)

安保法案について、安倍首相自ら、「国民の理解が進んでいないのも事実」と言いながら、与党だけで衆院本会議で可決した。
審議など最初から眼中になく、予定調和のように時間を費やしただけ、ということであろう。
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審議を続ければ続けるほど、矛盾が出てくる。
集団的自衛権を認める「存立危機事態」について、政府は「日本攻撃の意思が認定できなくても存立危機事態に認定できる」とし、自衛の措置としての集団的自衛権という説明からどんどんずれて行っている。

 政府の憲法解釈を担当する横畠裕介・内閣法制局長官は19日、安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で、国際法上の集団的自衛権と、安倍内閣が主張する「限定的」な集団的自衛権の違いを「フグ」に例え、「毒があるから全部食べたらそれはあたるが、肝を外せば食べられる」と答弁した。
 他国防衛を目的とする包括的な集団的自衛権は違憲となる一方、「限定的」な集団的自衛権なら合憲という趣旨だが、厳密な法解釈を行う立場の法制局長官が、こうした例え話を持ち出すのは異例。法案への理解が広がらない現状の裏返しと言えそうだが、長官経験者からは「好ましくない」との批判も出ている。
 民主党の寺田学氏が、政府がこれまで集団的自衛権の行使を違憲としながら、憲法解釈を変更し、「限定的」なものとして容認したことについて、「腐ったみそ汁の中から1杯とっても、腐っているものは腐っている」とただした。
 横畠氏は「例え話をされたので」と切り出し、「(集団的自衛権が)毒キノコだとすれば、煮ても焼いても食えないし、一部をかじってもあたる」と答弁。さらに、「じゃあフグかもしれない」と続けた。
 内閣法制局は、内閣が出す法案などを審査したり、法律問題について首相や大臣に意見を述べたりする内閣の一部門で、長官は通常、憲法や法律についての厳密な答弁が求められる。今国会では、過去の憲法解釈と今回の安保関連法案との整合性が問題になっており、横畠氏が答弁に立つことが多い。
 横畠氏の答弁について、法制局長官経験者の一人は「法律論は政策論と違う。例えを出すのは正確性を欠くことが多く誤解されるおそれもある。条文を離れ、『例え』でやることは好ましくはない」と話す。政府関係者も「ここまでくだけた例え話は異例だ」と述べた。
「集団的自衛権はフグ」 法制局長官が異例の答弁

まあ、首相のアソウクンだとかスガさんといった例え話よりは的を射ているかも知れないが、国会答弁としては非常識であろう。
政府は、集団的自衛権が合憲であることの根拠として「砂川判決」を挙げる。
しかし1959年の砂川事件最高裁判決は、日本が主権国家として固有の自衛権を持つことを認めたもので、1972年に政府は「(個別的自衛権は認められても)他国への武力攻撃を阻止する集団的自衛権は憲法違反で認められない」との見解を示した。
同じ判決から全く逆の結論を導き出しているのである。

先月4日の衆院憲法審査会で、自民党推薦の参考人として安全保障関連法案を違憲だと指摘した憲法学者の長谷部恭男氏(早稲田大大学院教授)。
⇒2015年6月 5日 (金):憲法学者が安保法案にレッドカード/日本の針路(172)
長谷川氏は、、「立憲主義の危機が深まった」と安倍政権を批判する一方で、「国民が法案に問題があると気づき始めており、悲観するのはまだ早い」と語った。

 政権の存在自体が、立憲主義を脅かしているのではないでしょうか。政治権力が好き勝手に振る舞えないよう憲法で拘束する、というのが立憲主義の最低限の要請です。安倍政権は憲法改正の要件を緩和しようとし、人事権を振りかざし、違憲かどうかのチェック機能を担ってきた内閣法制局を言いなりにさせようとした。つまり、憲法の拘束を外そうという試みです。立憲主義への攻撃と言っていい。その結果、明らかに憲法違反である安保法案が出てきたわけです。
安保関連法案:「国民が問題あると気づいて…」長谷部氏

憲法の名宛人は権力者であるという立憲主義の論理が分かっていないのではないか。
⇒2015年6月27日 (土):言論の自由を蹂躙する狂気の安倍応援団/日本の針路(186)

立憲主義を否定したのでは、もはや法治国家とは言えない。
中国や北朝鮮のような独裁国家と類似である。

首相に近い参院議員の一人は「消費税や年金と違い、国民生活にすぐに直接の影響がない。法案が成立すれば国民は忘れる」と言い切る。
安保法案「成立すれば国民は忘れる」 強行採決の背景は

もし本当にこんな風に考えているとしたら、大きな誤解だ。
国民をなめている。
法案に反対の多くの国民は、暴挙を忘れはしないだろう。

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2015年7月15日 (水)

声明書・自由と平和のための京大有志の会/私撰アンソロジー(40)

Ws000001
http://www.kyotounivfreedom.com/manifesto/

多くの国民が反対する中で、また憲法学者や歴代内閣法制局長官が違憲を表明しているのにも拘わらず、政府・与党は安保法案を衆院特別委で可決した。
歴史的な暴挙として長く記憶される日となろう。

そんな中で、久しぶりに我が意を得た。
「自由と平和のための京大有志の会」による声明書である。

一篇の詩のようにも読めるが、精選された言葉に込められた意思と意味は重い。
たとえこの国会で安保法案が通ってしまったとしても、反撃に移ろう。
国民的レベルで意思表示の時だ。

ヤンキー的な政治家がいつまでも大きな顔をし続けられるわけがない。
私も激しく同意する。

血を流すことを貢献と考える普通の国よりもは、
知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。

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2015年7月14日 (火)

東芝の不適切会計=粉飾決算の構図/日本の針路(196)

東芝の不適切な会計処理を巡る問題の様子が報道されている。
不適切と表現されているが、意図的なものであれば、当然粉飾と言うことになろう。
⇒2015年5月13日 (水):東芝に何が起きているのか?/ブランド・企業論(35)

田中久雄社長が社長就任前に担当していた部品などの調達部門が関与していたということである。
田中社長は業績を上げるよう圧力をかけるメールを幹部らに送っていたことも判明したという。
第三者委員会(委員長・上田広一元東京高検検事長)が田中氏の経営責任を追及する見通しだが、「東芝よ、お前もか!」という感じである。

どこまで真相が明らかにされるであろうか?
最大級の経済事件に発展する可能性もあろう。
150714
日刊ゲンダイ7月14日

田中社長の関与について、次のように報じられている。

 東芝の説明によると、テレビ事業では部品の仕入れコスト(原価)の一部を翌期に付け替え、利益を先取りしていた可能性があることが判明。また、東芝が一括して仕入れたパソコン部品を製造委託先に販売した際の利益計上を不適切に行っていた疑いが出ている。こうした部品取引は、最終的に担当役員である田中氏が統括しており、社長就任前の責任を問われそうだ。
 田中氏は社長就任後、各事業を取り仕切る幹部などに対し、電話やメールで「何で予算を達成できないんだ」「利益をもう少し上げろ」などと迫り、業績向上を強く促していたことも判明している。
東芝:不適切会計 社長出身部門も関与 調達費を操作か

田中社長の引責辞任は当然だろうが、それだけで済むかどうか?
歴代トップが係わっていた構図は既視感があるが、グローバル市場主義の行き着く先を示しているような気がする。

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2015年7月13日 (月)

財政健全化のためには新国立の見直しは必須だ/日本の針路(196)

ギリシャの動向が懸念される。
かつて民主党に政権が移った時、当時の菅首相が「日本の財政は危機的状況にあり、早晩ギリシャのように破綻する」と発言して、消費税率アップの必要性を訴えたことがある。
⇒2010年10月12日 (火):ギリシャと日本/「同じ」と「違う」(23)

民主党政権がお粗末だったため、政権は再び自民党に戻った。
しかし、安倍政権は戦時体制構築に熱心で、財政再建にはプライオリティを置いていないようである。
総選挙で、「この道しかない」と言ったのは安保法案のことだったのか!

ギリシャと日本の「政府債務残高対GDP]比を比較した図である。
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政府債務残高は、一般政府(国・地方自治体・社会保障基金)の債務として、公債や借入金などを含んだ「借金」のことである。
GDPは国の経済力の指標であるが、国内で、1年間に新しく生みだされた生産物やサービスの金額の総和(売上高 – 仕入れ=「付加価値」)のこと。
(GDPはざっくり考えると粗利であるが、厳密には粗利ではない。)ギリシャは国としての経済力=GDPの170%以上の借金を抱えていて、それは当然ながら借金を返せるような国力ではないのだ。
そんなギリシャよりも数値が悪いのが日本。
その数値は240%を超えて順調に右肩上がりに悪化している。
ギリシャと日本の政府総債務残高vsGDP比の比較すると・・・

これだけで云々できないのは当然であるが、日本も決して楽観すべき状況ではない。
国際比較は下表のようである。
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債務残高の国際比較(対GDP比)

普通の神経ならば、何とかしようと考えるだろう。
しかし、こんな状況でありながら、新国立競技場に2520億円という巨費が投じられようとしている。
しかもこれで全額ではなく、合計総額も税負担分も不明なままである。
⇒2015年7月 9日 (木):新国立競技場建設にみる無責任の体系/日本の針路(194)

安倍首相は、7月10日の衆院特別委員会で、新国立競技場のデザインについて「民主党政権時代に決まったこと」だと述べた。

この日、辻元氏は「安保法制を押し切ろうとする姿と、新国立競技場を突き進めようとする安倍政権の姿勢がダブってみえる」と指摘。「新国立競技場は見なおしたほうがいいのではないか」と質問した。
これに対して安倍首相は「オリンピックを誘致する際に、国際コンペをやってザハ案というのが決まった。国際コンペをやると約束し、監修権等をザハさんに与えると決まったのが2012年11月、我々が政権につく前のことだ。事実として述べると、民主党政権時代に、ザハ案でいくということが決まり、オリンピックを誘致することが決まった」と述べた。
さらに安倍首相は、「その後、コストがかさむことがわかってきた。確かに費用がかさみ、多くの国民もそう思っているのではないかと思う。私も、『どうなんだ』と事務方に問い合わせた。しかし、この案をやめて新たに国際コンペを行ってデザインを決めることをやっていては、2019年のラクビー・ワールドカップに間に合わないし、2020年の東京オリンピックにも間に合わない可能性が高いという報告を受けた」と答弁した。
新国立競技場について安倍首相「民主党時代に決まったこと」

またしてもマヤカシの言葉である。
デザインコンペの第一位案を実行するか否かは、別判断である。
「ラグビー・のラクビー・ワールドカップに間に合わない」からという理由だとすれば、森喜朗氏の意向が大きく働いているものと思われる。
老害は早く消え失せるべきだ。

下村文科相も、デザインコンペに責任を押し付けようとしている。

 下村文科相は10日の記者会見で、「(当初総工費の)1300億円がどの程度、デザインをする人たちに伝わっていたのか。値段とデザインを別々にしていたとしたらズサン」と評論家のように批判。デザイン選定の審査委員長を務めた安藤氏については「堂々と自信を持って、なぜザハ・ハディド氏案を選んだのか発言してもらいたい」などと言い、選考過程を検証することを示唆した。
下村大臣が安藤忠雄氏を批判 「新国立」今さら醜悪な責任転嫁

まったく無責任な内閣と言うべきだろう。

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2015年7月12日 (日)

「文化芸術懇話会」におけるリベラルアーツの欠落/日本の針路(195)

石破地方創生相の「なんか自民党、感じが悪いよね」と国民の意識がだんだん高まっていったときに危機を迎えるのが私の経験だという言葉はその通りと言うべきであろう。
ただし、軍事オタクの石破氏も「嫌な感じ」の代表格ではあるが。

国民が広くそういう感覚になりつつあることに関しては、 安倍首相に近い自民党議員の勉強会「文化芸術懇話会」の功績(?)が大きいだろう。
勉強会は有志議員が集まってできたものだが、首相の「応援団」を意図したものであることが深刻である。

 そもそも、懇話会の目的は「保守思想の発信」にあった。懇話会代表の木原稔青年局長(当時)は周辺に「保守的な国家観や政策を国民に理解してもらうため、国民の心に響く言葉を学びたい」と語っていた。憲法改正に反対する「九条の会」を意識し、作家の大江健三郎氏や作曲家の坂本龍一氏らに対抗できる保守的な文化人を発掘することも念頭にあった。
 しかし5月初旬、党内にリベラル系の若手議員が「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」を立ち上げたことで、「首相応援団」の性格が一層強まった。
 9月の総裁選を無投票で乗り切りたい首相側はリベラル系の動きを警戒。首相側近の加藤勝信・官房副長官と萩生田光一・党総裁特別補佐が「顧問格」で入り、懇話会の人数集めに加わった。
 議員の一人は、萩生田氏から直接「総理の応援団になってほしい」と誘われ、「光栄です」と即答。「総理の応援団に入れてもらえると言われ、うれしかった」と振り返る。6月25日の初会合には37人が集まったが、参加者の一人は「『首相がついた勉強会だ』と思い、浮ついた気持ちがあった」と話す。
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「首相がついた勉強会」浮ついた発足 処分巡り党内火種

まあさまざまな考え方があるのは悪くないが、ノーベル賞作家の大江健三郎氏に対抗するのに、いくら首相に近いとはいえ百田尚樹氏を担ぐところに、質が問われることにも気がつかないのだろうか?
百田氏は、「シナリオライターとして画面の向こうの視聴者に働きかけるテクニック」の持ち主として評価されたのだともいう。
設立趣意書は「心を打つ『政策芸術』を立案し実行する知恵と力を習得する」ことが会の目的とあるという。

 「この政策芸術という言葉を聞いた瞬間に、アウトだと思った」と言うのは、文化批評にも定評のある千葉雅也・立命館大学准教授(哲学・表象文化論)。国が特定の価値観に基づく芸術文化を推進してはいけないことは「文化史の常識」だが、「政権側の人たちは、そうした常識に抵抗したいのではないか。ナチス・ドイツがモダンなものを『退廃芸術』と呼んで排除し、保守的でわかりやすいものを推進したことを想起させる」と話す。
 ナチスは国民の支持を得やすい政策的主張や政治手法を徹底的にマーケティングした。そして、その調査の「成果」を、文化・芸術の観点から、言葉の選択や演説方法、旗や制服のデザインなどにまで反映した。「『ユダヤ人が悪い』といった極端に単純化された政治的スローガンもそうした手法から生まれた」。音楽や文学に造詣(ぞうけい)が深い片山杜秀慶応大学教授(政治思想史)は言う。
 戦後は価値観が多様化し、多くの情報が手に入るようになった。成熟した民主主義社会では、宣伝技術で政治を単純化する手法は通用しないと考えられてきた。だが21世紀になって、再び力を得ようとしているのではないかと片山氏はみる。
 経済や自然科学など多くの分野で学問は細分化し、誰もが専門分野以外の領域を理解することが難しくなった。「過剰な情報の中で人の判断力は相対的に落ち、誰もがわかりやすさを求めている。『政策芸術』はそんな時代にはぴったりだ」
政治と芸術、結びつく先は 自民党の「文化芸術懇話会」

「誰もが専門分野以外の領域を理解することが難しくなっ」てはいるが、それを何とかしようというのが、リベラル・アーツではなかろうか。
⇒2013年5月24日 (金):「成熟の喪失」とリベラル・アーツ/知的生産の方法(56)
⇒2014年6月24日 (火):遠藤麟一朗とリベラルアーツ/知的生産の方法(98)

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2015年7月11日 (土)

差別を生み出す構造へのアンチテーゼ・沖浦和光/追悼(70)

また気になっていた人が亡くなった。
沖浦和光氏である。

 沖浦和光さん88歳(おきうら・かずてる=桃山学院大名誉教授)8日、腎不全のため死去。葬儀は近親者で営む。しのぶ会を後日開く。喪主は妻恵子(やすこ)さん。
 大阪府生まれ。中学教諭などを経て桃山学院大教授。1982〜86年、学長も務めた。英文学専攻だったが、70年代前半、被差別民や漂泊民に研究テーマを変えた。研究対象は、国内の被差別民、漂泊民だけでなく、インド、インドネシアにも及んだ。著書に「幻の漂泊民・サンカ」「天皇の国・賤民の国」、共著に作家、故野間宏との「アジアの聖と賤」、俳優の故三国連太郎との「『芸能と差別』の深層」など多数。2012年、人権活動への取り組みが評価され松本治一郎賞を受賞した。
訃報:沖浦和光さん88歳=桃山学院大名誉教授

Wikipediaでは略歴を以下のように記している。

大阪府北部の西国街道に面した村の生まれ。小学校2年生のころに大阪市内の紀州街道沿いにある下町の長屋に引っ越す。1953年東京大学英文科卒業、大学院に進学。1961年桃山学院大学専任講師となり、のち助教授、1969年教授。1982年~1986年学長。1997年退任。
東大時代は共産党員で、極左派だった。英文学の論文をいくつか書いていたが、再度マルクス的民衆論に立ち返り、被差別民と被差別部落の研究に移行する。野間宏といくつかの共著を刊行、近年、古代以来の漂泊の民とされたサンカが、徳川時代後期の飢饉の時に生まれたものだとする説を提示した。
被差別民・漂泊民を研究対象としてその歴史を記述するため、結果としてアナール学派の方法論と類似するものとなっている。2012年、人権活動への取り組みにより松本治一郎賞受賞。

私は昔、「季刊クライシス」という雑誌に載っていた「人類史において<近代>とはなんであったか」という論文を読んだ記憶がある。
中身は忘れてしまったが、近代の行きづまりが具体的な形で表れていたので、マクロな視点に惹かれたのだと思う。
近代の行きづまり感はますます実感されるが、超克の方向性は見えてこない。

学生時代の全学連では、京大の米田豊昭、榎並公雄氏らと活動を共にしたと思われる。
京大天皇事件や荒神橋事件など、多くの事件が社会を賑わしていた頃だ。
⇒2014年3月26日 (水):幻の党派・都市科学研究所/ブランド・企業論(23)
荒神橋事件で放校処分を受けた横井小楠の研究で知られる松浦玲氏が、桃山学院大学の教授になっているのも関係があるのだろう。

後に地道な実証研究に転じ、自分の出自を見据え、瀬戸内の海の民のあり方をリサーチして「瀬戸内の民俗誌」を著した。
農民研究に傾きがちな民俗学の世界で、それとは別の漂泊民の世界への関心だった。
未読であるが、五木寛之さんとの共著・『辺界の輝き 日本文化の深層をゆく』岩波書店(2002年)などに興味が向かう。

中部学院大学の講演会で、以下のような自己紹介をしている。

Photoご紹介を頂きました、沖浦と申します。沖浦という苗字は、知っている方はあまりいないのではと思いますが、実は瀬戸内海に発生した集団の名前でありまして、沖と浦がついているから―サンズイですから―海の関係ということはすぐ分かると思います。(私の家系は)戦前は大体船乗り、瀬戸内海で村上水軍というのは有名でございますけど、その水軍の一党でありまして、おじいさんの代まで船に乗っておりました。私のおじいさんも、大戦中は大きな輸送船に乗り込んで、アメリカの潜水艦に三回も撃沈されて、三回とも陸に泳ぎ着いて助かったという経歴を持っていますが、私も大きくなったら船乗りになりたかった。

合掌。

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2015年7月 9日 (木)

新国立競技場建設にみる無責任の体系/日本の針路(194)

2020年東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場について、改築費が当初よりも900億円多い2520億円になることが決まった。
膨大な建設費に批判が集まっていたが、斬新なデザインにこだわり、運営するJSC=日本スポーツ振興センターが開いた有識者による会議が決定した。
有識者会議にはメンバー12人が出席したが、最初のデザイン案を決めた審査委員会委員長の安藤忠雄氏は欠席した。

コスト増大の根本は、その「斬新な」デザインにある。
屋根を支えるために巨大なアーチを採用した。
アーチの長さは約370メートル、地上高70メートルである。
段宴席は約80平米、3LDK分になるという。
素人には良く分からないが、桁外れの大きさであることは間違いない。
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東京新聞7月8日

確かに、世界に偉容を誇ることになろう。
しかし、東京オリンピックの全体コンセプトである「コンパクト」とは乖離しているだろう。
メイン施設が「非コンパクト」で、全体コンセプトが「コンパクト」というのはムリがある。
誰のための東京オリンピックか?
大手ゼネコンを頂点とする利権の構造を考えたくなる。
まあ、アベノミクスの実体がこういうことであることを知らしめる効果はあるのだろうが。

一方で、財政再建を唱えながら、まったく無責任に税金を使う。
かつて丸山眞男氏が『現代政治の思想と行動』において、「無責任の体系」と書いたことを思い出す。
責任者は誰なのか?

安倍政権の下で、いろんな面で戦前・戦中回帰が感じられる。
「無責任の体系」もその1つであろうか。

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2015年7月 8日 (水)

「#自民感じ悪いよね」が広がっている/日本の針路(193)

ツイッターで、「#自民感じ悪いよね」というハッシュタグが流行っているという。
ハッシュタグというのは、発言内に「#○○」と入れて投稿すると、その記号 つきの発言が検索画面などで一覧できるようになるが、その「#○○」のことである。
同じイベントの参加者や、同じ経験、同じ興味を持つ人のさまざまな意見が閲覧しやすくなるというメリットがある。

発端は、石破地方創生相の言葉である。

自民党がガタガタとするのは政策よりも「なんか自民党、感じが悪いよね」と国民の意識がだんだん高まっていったときに危機を迎えるのが私の経験だ。政策は大事だが、「嫌な感じ」が国民の間に広まることは心しなければいけない。
「自民、感じ悪いよね」国民に広まると危機 石破氏:朝日新聞デジタル

この「嫌な感じ」から「#自民感じ悪いよね」というハッシュタグが生まれ、大いに賛同者がいるということである。
実際に「#自民感じ悪いよね 」で検索してみた結果は以下のようであった。
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私は熱心なフォロワーではないので、広がりの程度については論評をしないが、「自民感じ悪いよね」という表現では収まらないという投稿もある。
石破氏の言うように「国民の意識がだんだん高まっていったとき」ではなくて、既に高まっていると見るべきではないだろうか。

 毎日新聞が4、5日に実施した全国世論調査では、安保関連法案の説明が「不十分」との回答が81%を占め、与党内には「このまま採決までいけば支持率がさらに下がる」との見方が強くある。
・・・・・・
 与党が描くのは最短で15日の特別委採決、16日の衆院通過。採決の目安となる審議時間80時間は既に超えており、13日予定の中央公聴会を終えると採決の環境が整う。自民党の佐藤勉国対委員長は「過去の安保審議と比べても十分な質疑時間が確保できている」と強調する
 ただ、法案の中身への国民の理解が進んでいるわけではない。各報道機関の世論調査では、政府が「十分に説明しているとは思わない」との回答が多数を占める。
 憲法学者の「違憲」表明や自民党の若手勉強会による報道機関への圧力発言も重なり、内閣支持率も下落傾向にある。毎日新聞の世論調査では支持率と不支持率が逆転し、与党内では「一つの潮目になるのではないか」と懸念する声は少なくない。
<安倍首相>ネットで安保説明 政府・与党に危機感

このまま強行採決すれば「嫌な感じ」は益々増幅するだろう。
それでも、自公+維新で採決の形式を整えるということだろうか。

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2015年7月 7日 (火)

アイドルグループが歌う「諸悪の根源自民党」/日本の針路(192)

女性アイドルグループ「制服向上委員会」が神奈川県大和市で開かれた市民団体主催のイベントで、自民党を批判する歌詞を歌ったことから、市はイベントに対する「後援」の取り消しを決めた。

大和市が後援取り消しの判断に至った理由はなんだろうか。同市の国際・男女参画課によると、やまとの会からイベントの後援名義の申請があったのは、今年2月6日のことだ。市はそれを審査したうえで、3月13日に承認した。
6月13日のイベント当日は、元内閣官房副長官補で、安全保障政策の専門家である柳澤協二さんが講演した。そのあとに、憲法9条や脱原発など、社会的なテーマの曲を歌う制服向上委員会がステージに立った。その歌詞のなかに「自民党を倒しましょう」「諸悪の根源自民党」などのフレーズがあったという。
イベントに来ていた大和市の担当者が翌週、「歌詞やトークに、特定の政党を誹謗中傷する内容があった」と市に報告。大和市は「後援要項に違反している」として、事後的に後援を取り消す方針を決めて、25日に「やまとの会」に対して説明。「来週にも正式に文書で送付する」という。
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「諸悪の根源自民党」制服向上委員会の歌で「後援取り消し」の市民団体が抗議表明

市の反応は、「特定の政党を誹謗中傷」に関し、過剰に神経質になっているのではないだろうか。
自民党が政権を担っているのだから、その政治に不満を持てば、「諸悪の根源自民党」というフレーズは自然である。
私も同感である。

イベントは「若者と国家-自分で考える集団的自衛権」と題するものであった。
私はアイドル事情に不案内であるが、「制服向上委員会」は次のように説明されている。

清く正しく美しく」をモットーに1992年(平4)9月に初期メンバー7人でグループ結成。現在のリーダー清水花梨は10代目。95年に独自のレコード会社を創設。97年「SKi基金」を設立。2011年に「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」を発表。公式HPでも社会派アイドルとしての発信を宣言。
「諸悪の根源自民党」アイドルまで安倍政権に逆風?

「制服向上委員会」は、公式ツイッターで次のように反発している。
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まあ、どちらの見解が妥当と考えるかは人によるだろう。
しかし、市民・国民の側の表現の自由は重要である。

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2015年7月 6日 (月)

火山の傾向と対策/技術論と文明論(30)

6月29日早朝、三島市でもかなり強い地震が感じられた。
箱根大涌谷が噴火したのである。
小規模噴火ではあったが、箱根町は30日噴火警戒レベルを2から3に引き上げた。
夏休みを控えて、わが国屈指のリゾート箱根は大きなダメージを受けることになろう。
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東京新聞7月1日

わが国は千年紀の大地動乱期に入ったと言われている。
⇒2014年12月30日 (火):天地動乱の時代の到来?/日本の針路(92)
1994年と言えば、阪神大震災の前年である。
オウム真理教が世間を賑わしていた頃、石橋克彦神戸大名誉教授の『大地動乱の時代―地震学者は警告する』岩波新書(1994年8月)が出版された。
石橋氏は、いち早く「東海地震」を警告し、静岡県などは防災対策が大いに進んだ。

今にして思えば、石橋氏の警告はまさに深刻に受け止めるべきであったことは明らかであろう。
翌年に、阪神淡路大震災が起きた時は、東海ではなくて阪神だったのか、という気もした。
しかし、2011年3月11日の大震災によって、恐るべき津波の映像と共に、原発の危険性を思い知らされることになった。

日本列島は、プレートの寄せ集まった地域である。
Photo
http://kobayakawashunichi.blog.jp/archives/1026789877.html

世界の地震地図を見れば、プレートの境界が地震多発地帯であることは一目瞭然である。
地震と同じように火山活動のニュースも多い。
小笠原諸島の西之島、御嶽山、口永良部島、浅間山などである。

気象庁で常時観測している火山は下図の通りである。
20150706_162741
気象庁

しかし火山対策を行う専門官庁はない。
世界の火山国には「火山庁」のような機関がある。
わが国もそういう機関を作り、火山とのよりよき共生を図るべきではなかろうか。

伊豆韮山の反射炉も世界遺産登録が決定したということである。
富士・箱根・伊豆は一体的である。
富士山大噴火に備えるためにも、火山対策は喫緊の課題であろう。

 千葉大大学院理学研究科の津久井雅志教授は、「噴火警戒レベルが3の桜島や、噴火予報が出されている霧島山などを抱える鹿児島県は特に火山活動が活発な地域だ。また、今回火山爆発を起こした口永良部島に限らず、島嶼(とうしょ)部でも、噴火警戒レベルが2の諏訪之瀬島など、いくつか活動が活発な火山がある」と指摘し、こう続ける。
 「東日本大震災以降、日本列島の周辺の地下は不安定な状態になっている。東北地方や中部地方など、確認できているだけでも十数個の火山の活動が活発化している。現在、気象庁が警戒レベルを設定している火山はどこも警戒が必要だ」
箱根、富士山は大丈夫か 噴火の連鎖危惧する声 島村英紀氏「東日本火山帯は特に警戒」

私は、富士山麓で生まれ育ったので、富士山に対する愛着は一般より強いと思う。
富士山大規模噴火の影響は計り知れない。
大地安寧であることを祈る。

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2015年7月 5日 (日)

安保法案は一度取り下げるべきだ/日本の針路(191)

国会が安保法案をめぐって紛糾している。
その第一の要因は、安倍内閣が、歴代内閣の積み重ねてきた憲法を180度逆転させようとしていることにある。
憲法といえども不磨の大典ではないから、変えるべきであれば変えなければならない。
しかし、多くの国民はそう考えていない。

憲法は文面や制定の経緯も重要であるが、もっとも重要なことは、現にどういう機能を果たしているか、国民の間に根付いているか、ということであろう。
焦点となっている集団的自衛権について、憲法審査会で憲法学者が違憲の見解を表明したことは、大きなインパクトであった。
⇒2015年6月 5日 (金):憲法学者が安保法案にレッドカード/日本の針路(172)

これに対し、菅官房長官が反論したが、かえって憲法学者の主張を裏付ける結果となった。
⇒2015年6月 7日 (日):集団的自衛権を合憲とする憲法学者は?/日本の針路(174)
⇒2015年6月 9日 (火):憲法審査会への対応で、反知性主義が露呈した/日本の針路(176)
⇒2015年6月10日 (水):安保法案で墓穴の深掘りに励む政府・与党/日本の針路(177)
⇒2015年6月11日 (木):前言撤回オンパレード政権/日本の針路(178)

「法の番人」と言われる内閣法制局の歴代長官も違憲を表明している。
⇒2015年6月21日 (日):奇矯な集団的自衛権合憲論の言説/日本の針路(183)
150620
東京新聞6月20日

もちろん現長官の横畠裕介氏は合憲の立場だったが微妙にスタンスを変えているとも言われる。

 どういうことか。ひとつには、憲法学者に続いて歴代の内閣法制局長官がこぞって安保法制=違憲と堂々と言い始めたことで、横畠裕介現長官はたぶん「このままでは自分が、法制局を時の政権に屈服させた戦犯として歴史に名を残すことになる」と危機感を抱いたのだろう、安倍の思惑と違うことを勝手に言い始めた。
 その一例が29日の衆院委員会で、横畠は長島昭久議員らの質問に答えて、公海上の米艦が他国の攻撃を受けた場合「日本への武力攻撃と認められれば個別的自衛権で対処できる」と、安倍答弁とは完全に食い違うことを言ってしまった。それにつられてか、中谷元防衛相も、その場合に集団的自衛権と個別的自衛権のどちらを使うかの判断基準は「非常にあいまいだ」と告白した。これは安倍のこだわる「米艦防護」に最初から含まれていた矛盾点で、単純な話、邦人を乗せた船が米艦でなくどこかの国の貨物船だったらどうなるのか。それを防護しようとすれば、相手は米軍ではないから集団的自衛権は無関係で、個別的自衛権の拡大解釈で行うしかないのは自明のことだ。                                 「2枚看板」を下ろした安保法制は廃案しかない

世論調査でも、安保法制に国民の半数以上が反対している。
共同通信社が6月20、21の両日に実施した全国電話世論調査では、安保法案「反対」は58.7%で、5月の前回調査から11.1ポイント高くなっている。
法案の今国会成立「反対」も63.1%であり、審議を重ねるほど、法案反対が増えていく。
米議会で、今夏までに成立させると胸を張った安倍首相にとっては大きな誤算だろうが、決して「想定外」の事態ではないのだ。

昨年7月の閣議決定は、1972年の政府見解「集団的自衛権と憲法との関係」の基本的な論理を受け継ぐ形をとっている。

憲法九条は、日本の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を禁じておらず、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態に対処し、これらの権利を守るためのやむを得ない措置としての必要最小限度の武力の行使は許容される、というものだ。七二年見解では、この基本的な論理から、他国に加えられた武力攻撃を阻止する集団的自衛権の行使は憲法上許されないとの結論を導き出しているが、昨年七月の閣議決定は結論を入れ替え、憲法が認める「自衛」には集団的自衛権の一部も含まれると主張した。
集団的自衛権容認1年 立憲主義を守らねば

アクロバティックなことをしなければならないのは、根本にムリがあるからである。
立憲主義を否定しては、国民の支持は得られない。

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2015年7月 4日 (土)

柳の下に二匹目のB層はいるか?/日本の針路(189)

郵政民営化で国論が割れていたとき、「B層」という概念が使われた。
小泉政権から郵政民営化の宣伝企画の立案を受注した広告会社「スリード」が、国民を以下のようにセグメンテーションしたのである。
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「B層」が国を滅ぼす(1)

つまり、B層とは、「具体的なことはよくわからないが小泉純一郎のキャラクターを支持する層」のことで、小泉政権の主な支持基盤として想定された。
郵政民営化が実現したことを考えれば、このターゲティングは成功したと言えるであろう。

しかし、小泉政権がB層を措定したのは、コントロールができる層ということで、見方を変えればずいぶん馬鹿にしているとも考えられる。
安倍首相は小泉氏に学んだに違いない。
集団的自衛権行使の必要性を、パネルを使って説明したのもそういう意識からであろう。
A 紛争地から邦人を救出する米艦の防護
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B PKOの駆けつけ敬語
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⇒2014年5月18日 (日):安倍首相の憲法解釈論/花づな列島復興のためのメモ(327)

Aのパネルには、パネル中央の米艦船の上にかぶせるような形で、心配そうな顔で、赤ちゃんを抱いている日本人の母親と子供の姿(後方に米国人夫妻の姿)が大きく描かれている。
Bのパネルには、自衛隊PKO派遣要員の絵のヨコに、「日本のNGO」という文字と共に、日本人らしき医師やボランティア活動をする若者の姿が描かれている。
首相は「パネルが命だ」として、自ら母親や子供を大きく描くように、日本人NGOの文字や姿を入れるようになどの指示を行なっていたという。

 首相は、難しい憲法論よりも、視覚的にわかりやすいイラストを使って、国民の情に訴えた方がいいと。また、日本人が絡む事例、母親や子供の姿を示せば、国民の共感を得ることができると考えたようで。
「会見の中では、パネルが命だ」「これを見せれば、誰も反論できないだろう」と語り、満を持して、会見に臨んだという。
B層目当て、安倍発案のパネル会見~理論より情動、執念を込めた9条破壊戦略

首相は、この2ケースが決め手と確信していたに違いない。
しかし、2ケース共に赤信号が点いている。
横畠内閣法制局長官が、公海上の米艦が他国の攻撃を受けた場合「日本への武力攻撃と認められれば個別的自衛権で対処できる」と答弁した。
民主党の後藤祐一氏は、「昨年7月の記者会見のパネルは間違いだったのではないか」と、3日の衆院平和安全法制特別委員会で「赤ちゃんを抱いた母親」のイラスト入りパネルを取り上げた。

首相は「パネルに全部書き込んだら(絵が)見えなくなってしまう」「ミスリードでも何でもない」などと反論。そのうえで、攻撃国が▽ミサイル▽工作員を運ぶ潜水艇▽特殊作戦部隊−−などを保有し、「わが国に武力攻撃が行われかねない」と認定でき、新3要件に合致すれば、日本人を輸送中の米艦防護は可能になるとの考えを示した。
安保関連法案:首相が使ったイラストパネルに問題あり?

要は、「攻撃の可能性を否定できなければ、認定する」ということであって、典型的な認識論における錯誤の問題である。

また、ホルムズ海峡の機雷掃海への参加について、谷垣幹事長が主導する維新との「修正協議」で消える可能性が出てきたとの見方がある。
このまま7月中旬に衆院で採決を強行すれば支持率がまた一気に下落して政権が危うくなるので、それを避けるには、せめて維新を採決に参加させなければならないと谷垣氏が維新の修正要求を受け入れようとしているというのだ。
これからどう展開していくか、予断は許さないが、B層とても簡単にはコントロールされないと考えるがどうだろうか。

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2015年7月 3日 (金)

大西英男という安倍チルドレンの「懲りなねえ奴」/人間の理解(15)

  • 安倍首相に近い議員の勉強会「文化芸術懇話会」で報道機関への圧力を求める発言をして厳重注意処分を受けた大西英男衆院議員が、自らの発言について「問題があったとは思わない」と反論している。
    つまり、自分は間違った行動をしていないという確信犯である。
  • 大西氏はどういう人物か?
    Wikipediaで略歴を追ってみよう。
  • •1946年(昭和21年)- 東京都江戸川区生まれ。
    •1970年(昭和45年)- 國學院大學法学部を卒業し、島村一郎(元自民党衆議院議員)公設秘書。
    •1975年(昭和50年)- 江戸川区議会議員初当選。
    •1993年(平成5年)- 東京都議会議員初当選。
    •2003年(平成15年)- 東京都議会自民党幹事長。
    •2012年(平成24年)- 第46回衆議院議員総選挙で東京16区に自民党から出馬し、初当選。
    •2014年(平成26年)- 第47回衆議院議員総選挙で東京16区に出馬し、再選。

  • 上記から分かることは、筋金入りの自民党員であって、自民党が政権に復帰する総選挙で国会議員になったということである。
    昨年の総選挙で再選されたわけだが、東京16区の有権者は、こういう人物を選んだことを自覚すべきであろう。
    もう70歳であるから、報道されているような「若手勉強会」ではない。
    しかし、安倍首相にきわめて近い存在であることは、略歴からも窺える。
    年上のチルドレンと言えようか。
  • なお、以下のような経緯にも注目したい。

    2014年4月の衆議院総務委員会において、上西小百合の質問中に「まず自分が子どもを産まないとダメだぞ」というヤジを上西に対して行った、と指摘された。当初、大西は朝日新聞や共同通信の取材に対して「記憶がない」と述べていたが、後に撤回してヤジを行ったことを認め、上西に謝罪を行った。なお、大西は都議会議員の頃から人間性を疑われるような汚いヤジを飛ばす「ヤジ将軍」として有名だった。
    Wikipedia

    根底にあるのは女性差別であって、これも安倍首相に通底する。
    ⇒2015年5月31日 (日):安倍首相の論理と倫理の欠陥/日本の針路(170)

    以前、M資金詐欺の問題に絡んで、清水一行『懲りねえ奴-小説M資金』徳間書店(1995年7月)を読んだことがある。
    ⇒2009年2月 2日 (月):小説M資金『懲りねえ奴』
    ⇒2009年2月 3日 (火):小説M資金『懲りねえ奴』②
    大西議員などは、まさに「懲りねえ奴」ではないだろうか。

    Photo 大西氏の発言に先立ち、自民党の谷垣禎一幹事長は30日昼にあった党代議士会で「仕事が前に進むようにするのが与党議員の使命だ。脇を締めて腰を落として頑張るつもりなので協力を心からお願いする」と呼び掛けたばかりだった。公明党の山口那津男代表も記者会見で「報道の自由は憲法で保障された基本的人権の中核で、それを損なうような発言は厳に慎むべきだ」などと苦言を呈していた。
     一方で、自民党内には若手議員を中心に、党執行部が懇話会代表の木原稔前青年局長を1年間の役職停止、大西氏ら不適切な発言をした3人を厳重注意とした処分に対して「厳しすぎる」という不満もくすぶっている。30日の自民党正副幹事長会議では、出席議員から「処分は過剰反応ではないかと地元で言われている」などと異論の声が上がった。
    報道圧力:大西議員「発言問題ない…マスコミを懲らしめ」

    安倍首相も党の処分に不満だと言うから、救いはない。
    今や自民党のガバナンスが崩壊しつつあるのではないだろうか。

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    2015年7月 2日 (木)

    百田尚樹という存在の耐えられない軽さ/人間の理解(14)

    自民党の安倍首相応援団を自認する集団の「勉強会」で講師を務めた百田尚樹氏に批判が集中している。
    しかし、当の百田氏は、何を批判されているのか分かっていないようである。

    ―米軍普天間飛行場の成り立ちについての発言は。
     「住民が騒音などの精神的に苦痛があり、補償しろと言う。苦しみは当事者にしか分からないこともあるだろう。それを踏まえた上で、違和感を覚えると発言した。なぜかと言えば、住んでいた場所に基地が引っ越してきたわけではない」
    ―普天間の現状認識は。
     「地権者には、膨大な地代が払われている。六本木ヒルズに住んでいる大金持ちと同じ。それはメルマガで書いた話だ。普天間が返還されたら、あっという間にまちは閑散とする。ぬくぬく暮らしていた地権者も困るはずだ」
    ・・・・・・
    ―「沖縄2紙をつぶさないと」の発言について。
     「沖縄の新聞をしっかりと読んだことはないが、ネットで読むと、私と歴史認識が違う。全体の記事の印象から私が嫌いな新聞だ」
     「オフレコに近い発言で、冗談として言った。公権力、圧力でつぶすとの趣旨ではない。私も言論人。言論は自由であるべきだ。私と意見が違う2紙を誰も読まなくなり、誰も読者がいなくなってつぶれてほしいという意味での発言だ」
    百田尚樹氏に一問一答 「沖縄2紙は嫌い」「つぶれてほしい」

    普天間飛行場の歴史については、沖縄タイムス紙が次のように説明している。

     百田尚樹氏が「田んぼで、何もなかった」とする米軍普天間飛行場が建設された場所は沖縄戦の前、宜野湾村の集落があった。宜野湾市史によると、1925年は現在の飛行場に10の字があり、9077人が住んでいた。宜野湾や神山、新城は住居が集まった集落がほぼ飛行場内にあり、大山などは飛行場敷地に隣接する形で住宅があった。
     最も大きかった宜野湾は村役場や宜野湾国民学校、南北には宜野湾並松と呼ばれた街道が走り、生活の中心地だった。
     飛行場は、まだ沖縄戦が終結していない45年6月、住民が収容所に入っているうちに、米軍が土地を占領して建設を始めた。住民は10月以降に順次、帰村が許されたが、多くの地域は元の集落に戻れず、米軍に割り当てられた飛行場周辺の土地で、集落の再編を余儀なくされた。
     市立博物館の担当者は百田氏の発言に「人々が戦争で追い出され、何もなくなるまでの過程が抜け落ちている」として認識不足を指摘した。
    Photo
    百田氏発言「普天間飛行場、元は田んぼ」「地主年収、何千万円」を検証する

    飛行場の地代についても、事実誤認だと指摘されているが、それは措くとして、自分と意見が違う新聞は潰れてほしい、というのはどうか?
    百田氏個人がそう思うのは勝手だろうが、この間までNHK経営委員だった人間である。
    「非公開の場の軽口」で済まされる問題とは言えまい。

    安倍首相は、成り代わって謝罪はできないと答弁している。
    これも表面的にはそうかも知れないが、盟友関係の経緯からすればそうとも言っていられない。
    お二人の出会いは、2012年7月に百田氏への安倍氏(当時野党)からの電話で始まった。
    月刊誌「Will]の掲載記事に、安倍氏が「非常に感銘した」というのである。

    そして二人は対談本『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』を出す仲になる。
    首相に返り咲いた安倍氏は、13年11月に百田氏をNHK経営委員に抜擢した。
    とても下記のような経営委員の要件に当てはまるとは思えないのに拘わらず、である。

    公共の福祉に関し公正な判断をすることができる、広い経験と知識を持つ12人の委員で構成されています。委員は、国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣により任命されます。
    http://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/about/

    NHKの私物化である。
    ようやく、百田尚樹の人間性が世間に周知されるようになったことを喜びたい。
    ⇒2014年12月29日 (月):百田尚樹の正体?/人間の理解(8)

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    2015年7月 1日 (水)

    うるう秒のしくみと影響/技術論と文明論(29)

    今朝、「うるう秒」が挿入されたことが話題になっている。
    日常生活にはほとんど影響がないが、ICT(情報通信技術)が生活の隅々にまで浸透している時世だから、1秒といえども大きな問題を引き起こす可能性がある。

    Nhk「うるう秒」は、地球が自転するスピードが僅かに変わることで生じる時刻のずれを調整するため、1日の長さを1秒長くするもので、1日、3年ぶりに世界で同時に実施されました。
    日本の標準時を管理している東京・小金井市の情報通信研究機構では、調整の瞬間を見ようと地元の小中学生などおよそ1000人が集まりました。
    ・・・・・・
    うるう秒は、一般のパソコンやスマートフォンではインターネットなどを通じて自動的に調整されますが、古い基本ソフトを使っているコンピューターシステムなどでは事前の対応が必要なケースがあります。特に今回は平日にうるう秒が実施されたため、予期しない不具合を警戒して社員を待機させるなどの動きも出ています。
    情報通信研究機構の今村國康研究マネージャーは「日本の標準時を管理しているすべての機器でうるう秒の調整作業が終わり、正常に動いていることを確認できました。今後も正しい時刻を送るという役割を着実に果たしていきたい」と話していました。
    「うるう秒」3年ぶりに実施

    なぜ「うるう秒」が必要になるのか?
    1秒の「定義」の問題である。
    かつては地球の自転を基準にして1秒を決めていた。
    太陽が真南に来る南中の1日の間隔を基に、その86400分の1を1秒とした。
    86400=24×60×60 である。
    しかし、自転の時間が、潮汐や大気などの影響でばらつきがあることが分かってきた。

    そこでセシウム原子の振動数を基にする定義に変えようということになった。
    1958年に、1秒=91億9263万1770振動としようということになった。
    150627
    日本経済新聞6月27日

    「うるう秒」により、コンピューター、特にサーバーが正常に動作しないことがあると言われる。
    1999年12月31日から2000年1月1日になるとき、ソフトウェア業界は大騒ぎだった。
    その頃は、年の表示に2桁を使い、日の特定を991231のように扱うのが一般的だった。
    とすると、翌日の000101との連続性が保てない。
    時間の間隔をどうするかということで、大規模な手直しが行われた。

    同様の問題が起きる可能性がある。
    そのため廃止論も根強い。

    閏秒の存廃については、国際電気通信連合で議論があり、2013年に閏秒を廃止することを目指す提案もなされていた。しかし2012年1月の総会では2015年の総会まで結論を見送った。
    廃止するべき理由としては、次のようなものが挙げられている。

    • 閏秒があるとUTCは一様の尺度ではなくなる(例えば23:00 UTCから翌0:00 UTCの時間間隔が場合によって異なる)ので不便。
    • 閏秒の調整を手動で行わなければならず、間違いや時計間の不整合が起こりやすい。航空管制システムなどのトラブルにつながる可能性もあり、人命への余計なリスクとなる。
    • 一様の尺度が望ましい局面では、GPSの時系のように「ある時点のUTCと同期しつつ閏秒なし」という新しいシステムが用いられることがあるが、「ある時点のUTCと同期しつつ閏秒なし」は実際上、閏秒の数だけバリエーションがあり、時刻システムの乱立につながるうえ、相対的にUTCの価値・有用性・権威を低下させ、度量衡統一の観念にも反する。

    一方、廃止に反対する理由としては、次のようなものがある。

    • 天体観測・アンテナ制御などのソフトウェア、ハードウェアなどにはUT1-UTCの絶対値が1秒を超えないという前提で設計されているものも少なくなく、その前提が破れると大きな改修が必要になり、予期せぬトラブルの原因ともなる。
    • 市民生活は依然地球の自転と同期しており、UT1-UTCの差が累積するのは好ましくない。
      閏秒

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