ウナギの傾向と対策(2015年版)/日本の針路(201)
今日が「土用の丑の日」である。
静岡県の三島市は、知る人ぞ知るウナギの名店の多い街である。
もちろんウナギの漁獲量あるいは養殖量が多いということではない。
市内に湧出している富士山の雪解け水を利用して、うなぎ特有の臭みや余分な脂を落として食材に供しているのである。
市内のうなぎ屋は、「うなぎ横町」という統一ブランドを使用して、アピールしている。
⇒2012年7月26日 (木):土用の丑の日に因んで
市内を歩くと、ウナギ屋の前では、販促効果狙いだろうが、強烈な蒲焼を焼く匂いが店の外に漂ってくる。
これぞまさしく、シズル感であろう。
食欲や購買意欲を刺激するような食品の活きの良さや瑞々しさと言った「おいしそうな感じ」のこと。五感を刺激するような感覚のこと。そこから転じて、現場の「臨場感」を表す際に使われることもある。
昨年の「土用の丑の日」には、稚魚のシラスウナギの漁獲高が激減していて、養殖ウナギ(市場に出回っているものの大部分)がピンチであることを取り上げた。
絶滅が危惧されるレッドリスト入りしたことが大きな話題になった。
また、ウナギに替わる食材としてのナマズについても言及した。
埼玉県吉川市がナマズ料理で有名である。
⇒2014年7月29日 (火):ウナギの傾向と対策/日本の針路(14)
今年は、あの「近大マグロ」をヒットさせた近畿大学のウナギ味ナマズが評判である。
ナマズなんて食べられるの?と思うなかれ。実は、ナマズは身近な食べ物だ。一般的にはあまり知られていないが、東南アジアなどで養殖した「パンガシウス」という種を、外食チェーンや総合スーパーなどが白身フライの材料として幅広く扱っている。
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「ナマズは泥臭い」というイメージを持つ人も多いだろう。だが、有路氏は「餌と水を工夫すれば、美味しいナマズを養殖できる」と自信を持っていた。まず、餌の研究に取り掛かった。 養殖魚は魚種ごとに脂質、タンパク質など栄養分のバランスを見ながら、最適な餌を与える。例えばトラフグの餌は白身魚の魚粉を使い、脂肪分がゼロとなるように配慮している。
近大ナマズの場合、淡水魚のマスに与える餌や、海水魚に与える餌など様々な種類を「コーヒー豆のようにブレンドした」(有路氏)。近大マグロの養殖で使う餌も一部与えているという。
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最適な餌と水、そして豊富な養殖ノウハウ。この3つが組み合わさって今年2月、近大ナマズの養殖に成功したのだ。
近大ナマズは、まず5~6月に、奈良県のウナギ料理店「うなぎの川はら」の協力を得て試験販売。ナマズを食べた来店客の多くから高い評価を得た。確かな手応えをつかみ、満を持して今回の東京進出に至った。
ただ、供給量が少ないため、今回は1食を数人でシェアするなどして、できるだけ多くの人に試食を楽しんでもらうことを考えている。なお、残念ながら、今年後半の丑の日(8月5日)の販売は予定していない。
近大ナマズの生産量は今年、約1トンの見込み。ノウハウが蓄積されてきたことで、来年には100トン以上に増やせるとみている。だが「市場では1万トンを超える需要が見込まれていて、とても生産が追いつかない」(有路氏)。しばらくは品薄状態が続きそうだ。
近大が、安定的な供給体制が整う前のタイミングで、あえて都内で近大ナマズの限定販売に踏み切るのは、消費者の認知度を早くから高める狙いがある。近大ナマズを、今やすっかり大学の代名詞にもなった「近大マグロ」に続くヒット商品にしたいという、したたかな計算もあるようだ。
マグロの近大が新たに仕掛ける「ウナギ味のナマズ」
ウナギはマリアナ海溝で産卵する。
太平洋を回遊して日本の河川を遡上するという奇跡のような生態であることが分かってきた。
「Wedge」2015年8月号
「Wedge」2015年8月号には『ウナギ密漁』という記事が載っている。
シラスウナギが暴力団の資金源になっているというのだ。
近大ナマズが市場化されれば、シラスウナギの密漁も減るだろうか。
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