ホルムズ海峡機雷掃海に関する安倍虚言/日本の針路(171)
またしても欺されるところであった。
集団的自衛権行使の事例として、安倍首相が拘りを見せるホルムズ海峡の機雷掃海に関してである。
ホルムズ海峡は、中東石油を運ぶタンカーの通路である。
イラン制裁強化した英国の真意とは
この図を見れば、ホルムズ海峡が機雷で封鎖されてタンカーが通れなくなると、石油途絶(油断)といった事態になるのではないかと思う。
1年前の議論であるが、以下のような批判がある。
さらに私が許すことができないのは、ホルムズ海峡機雷封鎖で原油輸入が途絶し、我が国の存立が根底から脅かされるという安倍首相のデマゴギーです。
軍事の専門家は、イランがホルムズ海峡を機雷封鎖することはあり得ないであろうと指摘していますが、そのことは脇に置いて、もし機雷封鎖したら日本へ輸入される石油が途絶するでしょうか。
6月2日に開かれた衆議院安全保障委員会外務委員会連合審査会で、共産党赤嶺議員がこの点を取り上げました。政府答弁によると、2011年当時の日本の石油備蓄は国家備蓄と民間備蓄を併せると、なんと、168日分(5ヶ月分以上)あるというのです。2014年3月末現在では193日分の備蓄があると報道されています(6月19日付しんぶん赤旗)。石油備蓄法による備蓄です。2011年はイラン大統領が、イスラエルが空爆すればホルムズ海峡を機雷封鎖すると発言した年です。赤嶺議員はさらに、ホルムズ海峡を迂回するパイプラインが設置されていることも指摘しました。アラブ首長国連邦のホルムズ海峡の外に向けたルートと、サウジアラビアの紅海へ至るルートです。
安倍首相がこのことを知らないはずはありません。このことを知らずに機雷掃海の必要性を主張しているなら、それこそ首相失格でしょう。ホルムズ海峡が機雷封鎖されても、我が国には石油備蓄が半年分ある、ホルムズ海峡を通らなくても、石油は輸入できる、だから心配をする必要はない、と国民に説明するのがまともな政治家です。
ところが安倍首相は根拠のない不安を故意に煽りながら、自分がこだわる機雷掃海をすべきことを国民に納得させようとデマゴギーを振りまいているのです。
根拠なき危機を煽るデマゴーグ政治家安倍首相の退陣を求めよう
上記の指摘のうち、「ホルムズ海峡を迂回するパイプライン」については知らなかった。
ググってみると、今年の2月に以下のようなニュースがあった。
ハブシャン-フジャイラ石油パイプラインは、最大で日量180万バレルの原油を輸送可能な(UAEの原油生産量は日量約250万バレル)ほか、原油積み出し港のフジャイラには、100万バレルを保管できるタンク8か所、多目的輸送ターミナル9か所、沖合原油積込み設備3か所が備えられている。
アルクバイシ常務は、「アブダビ首長国は、このパイプラインが完成したことによって、原油輸出に要する時間、手間、費用を大幅に圧縮できるとともに、(世界の海上輸送原油の4割が通過する)ホルムズ海峡を迂回して直接オマーン湾に原油を輸送することが可能となった。ハブシャン-フジャイラ石油パイプラインプロジェクトは、この種のプロジェクトとしては、アブダビ首長国がこれまで手掛けた事業の中で最も重要なものだ。」と指摘した。
|UAE|ホルムズ海峡を迂回するハブシャン-フジャイラ石油パイプラインが開通
安倍首相も知らないわけがない。
知っていて未だに堂々と集団的自衛権の必要性の事例に拘るのだろうか?
柳沢協二氏は、安倍首相が一番理解し易かったのではないか、としている。
東京新聞6月2日
やはり虚言と言うよりも、サイコパスと考えた方が良さそうである。
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