言語の「小鳥のさえずり起源説」の実証?/進化・発達の謎(6)
動物行動学者の岡ノ谷一夫さんの「小鳥のさえずり言語起源説」は、ユニークで面白いが検証が難しいだろうと思っていた。
⇒2014年5月 2日 (金):言語の歌起源論/進化・発達の謎(4)
しかしその第一歩を歩み始めたということであろうか?
北海道大のチームが、文鳥のオスが求愛のさえずりのとき、決まった鳴き声の前後に規則的にくちばしをこすって音を出していることをあきらかにした。
人間が歌いながら手をたたくように、さえずりの歌に合わせて拍子をとっていると考えられるという。
文鳥がくちばしをこすって「ギリッ」という音を出すことは知られていたが、鳴き声との関係は不明だった。チームは30羽のオスのさえずりを録音し、くちばしの音が入るタイミングなどを調べた。
文鳥は、鳥によって求愛のさえずりのパターンが異なり、くちばしの音が入るタイミングは、鳥ごとに決まった鳴き声の前後に限定されていた。また、求愛のさえずりは父から子に受け継がれ、くちばしの音を発するタイミングも父子で似る傾向があった。
一方、父や他の文鳥から隔離して育てられ、独自のさえずりを発する鳥も規則的にくちばしの音を発していた。チームは、くちばしの音は歌とセットに学ぶのではなく、拍子を取るような性質があると結論付けた。
人間以外で音楽などに合わせて拍子を取る動物は、オウムなど非常に少ない。チームの相馬雅代・北海道大准教授(行動生態学)は「文鳥のメスは複雑なさえずりを好むと言われる。オスはくちばしの音を入れて、より魅力的な歌にしているのかもしれない」と話す。
文鳥:拍子で求愛の歌彩る くちばしこすり「ギリッ」 北大チーム発表
私は発症以来、声が出にくいし、酒席というものにも縁がなくなったので、歌を歌う機会がなくなった。
先日知人の入っている男声合唱団のコンサートがあり、久しぶりに男声合唱を聴いた。
馴染みの曲も多く、久しぶりに声を出して歌いたい気分になった。
そう言えば、言語学・哲学の学徒であった故丸山圭三郎氏に、『人はなぜ歌うのか』岩波現代文庫(2014年9月)という著作があった。
言語哲学の第一人者であり、熱烈なカラオケファンである著者が、楽しくかつ真摯にカラオケを様々な視点から論ずる。人間は唯一の“歌う動物(ホモ・カンターンス)”である。人は歌うことにより世界に気づく。カラオケで歌うことは、生(レーベン)の回復であると著者は考える。カラオケと歌うことの魅力を存分に語り、歌うことの好きな全ての人におくる格好の書。井上陽水と著者が歌うことの楽しさを語り合った対談を併せて収載。
なぜ歌うのか?
言語の発生は、情報行動(表出と伝達)欲求を解明する重要な糸口と思われる。
その意味で、歌は人間性の本質に迫る1つの切り口になり得るだろう。
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