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2015年5月15日 (金)

安倍首相が日本を破滅させる?/日本の針路(152)

まったく皮肉なことであるが、リーダーの手によってわが国はきわめて危険な状態に陥ろうとしている。
政府は14日、首相官邸で臨時閣議を開き、自衛隊活動の拡大を図る安全保障関連法案を決定した。
専守防衛を根幹としてきた安全保障政策の歴史的な転換だ。
安倍首相は記者会見し、「厳格な歯止めを掛けた」と強調したが、何の説得性もない。

首相は「戦争法案といった無責任なレッテルは全くの誤りだ」と反論し、かつての湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘に自衛隊が参加することは「今後とも決してない」と断言した。
またイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦への自衛隊の後方支援参加も「ありません」と否定した。

このような安倍首相の言葉に欺されてはいけない。
オリンピック招致の際の福島原発事故の汚染水問題に見るように、平然とウソをつける人間であることを忘れてはならない。
⇒2015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)
⇒2015年1月 5日 (月):福島原発事故による海洋汚染/原発事故の真相(124)
⇒2014年5月17日 (土):汚染水は完全にブロックされている?/原発事故の真相(113)

記者会見の内容について、フリー・ジャーナリストの志葉玲氏が批判している。

「それでもなお、『アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか』。漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。その不安をお持ちの方に、ここではっきりと申し上げます。そのようなことは絶対にありえません」
「自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは今後とも決してない、そのことも明確にしておきたいと思います」
第一次安倍内閣の際、安倍首相は国会でウソをつかれています。その貴方を信用しろというのは、なかなか難しいことです。具体的に言いますと、イラクに派遣された航空自衛隊の活動についてです。たとえば、平成19年04月24日・衆議院本会議で首相は、

「自衛隊がイラクにおいて行う人道復興支援活動等は、多国籍軍の司令部との間で連絡調整を行いつつも、その指揮下に入ることはなく、我が国の主体的な判断のもとに、我が国の指揮に従い、イラク特措法に基づき行われるものであるため、武力行使と一体化することはありません」「航空自衛隊は、人道復興支援活動として国連の人員、物資等を、また人道復興支援活動及び安全確保支援活動として多国籍軍の人員、物資を輸送しています」

と国会答弁していますね。
あたかも「人道復興支援」が中心のようにアピールされてきた航空自衛隊の活動ですが、その実態は「米軍の空のタクシー」でした。名古屋の市民運動家らの情報開示の求めに応じ、民主党政権交代後の2009年9月に防衛省が開示した、イラクでの活動実績によれば、航空自衛隊が輸送した人員の割合で「国連関係者」はわずか6%にすぎず、全体の6割以上が、米軍を中心とする多国籍軍関係者でした。当然、米兵達は銃火器で武装しており、そうした事実は記録にも残っています。
安倍首相、戦場ジャーナリストが安保法制閣議決定会見を赤ペンチェックしましたよ!

「アメリカの戦争に巻き込まれることが絶対になく、自衛隊が参戦することがない」のであれば、そもそも安保法制を変える必要がないではないか?
志葉氏は次のように指摘している。

ISILの前身である「イラクの聖戦アルカイダ」は、イラク戦争を支持し自衛隊を派遣したことから日本を敵視し、2004年10月にはイラクを訪れていた日本人旅行者の香田証生さんを星条旗の上で殺害しました。つまり、自衛隊が米軍の活動を支援することで、新たなリスクが発生する可能性は極めて高く、過去の事例からもそれは明白なのですが、首相はそうしたリスクを増大させる責任についてはご自覚されているのでしょうか?

またフリー・ジャーナリストの田中龍作氏は次のように書いている。

 安倍政権が今国会で繰り出す二つの法制度改悪が、日本を破滅の淵に追いやろうとしている。
 二つとは安保法制と労働法制の改悪だ。憲法9条をかなぐり捨て、日本人を戦争やテロに巻き込む。雇用を破壊し過労死をさらに増やす。まっとうな人々が生きていけなくなるのだ。
 安保法制の戦後最大の大転換が今夕、閣議決定された。日本が平和国家ではなくなった歴史的な瞬間だ。
 「もはや一国のみで、自国を守ることができない時代だ…」。安倍首相がマスコミを相手に演説をぶっていた頃、首相官邸前では戦争法案に反対する人々が抗議活動を繰り広げていた。 権謀術数を駆使して集団的自衛権を行使できるようにする法改悪に踏み切った安倍首相。官邸前の参加者の間でも批判と怒りが渦巻いていた。
 「安倍首相は(ISに処刑された)後藤さんのことを何も説明していない。遺骨奪還にあたっていたヨルダンの弁護士は真実を知っているので入国させなかった(※)」―
 町田市から足を運んだ女性(60代)は、安倍首相が人質事件を安保法制の改悪に利用したことを指摘した。
・・・・・・
「積極的平和主義の旗を高く掲げ、世界の平和と安定にこれまで以上に貢献してゆく」。安倍首相の美辞麗句をまともに信じている国民は、どれだけいるだろうか。
 「安倍晋三から日本を守れ」「安倍晋三から憲法を守れ」・・・官邸前に響くシュプレヒコールの方が、はるかに国民の声を代弁していた。
Photo
今国会で日本を壊す安倍政権 ~戦争編~

今や少数の例外を除いて、組織メディアが与党化・大政翼賛会化している中で、フリー・ジャーナリストは貴重な存在である。
私が少数の例外と考える東京新聞は次のように書いている。

 条文を素直に読めば自衛隊の存在を認めることさえ難しい。二十三万人弱の自衛隊員を抱え五兆円近い防衛予算を毎年使う日本の現状は九条の枠を超えてしまったようにもみえる。そして自衛隊は、最近二十年あまりの間、なし崩し的に海外に派遣されてきた。
 それでも自衛隊は、一度も人に向けて発砲せず、一人も殺さず、一人の戦死者も出していない。日本は、戦後七十年間、戦争に加わらなかった。九条の縛りがあったからこそ「戦わない」一線がぎりぎりで守られてきた。
 閣議決定された法案に目を向けてみる。「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」があれば、他国のために武力行使できるようになる。「根底から」とか「明白な」という抽象的な言葉が並ぶ条文を読み、政権のさじ加減で海外での武力行使が決まってしまい、地球のどこでも「戦える国」になりはしないかと心配になる。
 法案は十五日、国会提出され、その是非は国会議員に委ねられる。「戦える国」に踏み出すか。九条の縛りの中で踏みとどまるか。国会の論戦は、変質する平和主義の行方を決める。これまで安保法制の議論から外されてきた国会の存在意義が問われる。
 そして国会の議論では、国民主権そのものが問われる。主権とは、国のあり方を決める権力のこと。国会が主権者の考えと離れたことを決め、その結果、政権が「国のあり方」を思うままに変えられるようになれば、国民主権は形骸化してしまう。そのことを主権者である国民に選ばれた国会議員は忘れてはならない。私たち一人一人も、自分が主権者であることをしっかりと胸にとどめたい。
問われる国民主権

安保法制の成立を日本の国会に諮るより先に米議会で約束するといった本末転倒である。
幸いにして、戦前とは異なりインターネットがあることが救いである。

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