東芝に何が起きているのか?/ブランド・企業論(35)
3月末決算の企業の決算発表の季節である。
しかし、東芝は5月8日、2015年3月期の業績予想を取り消して「未定」とし、期末配当を無配にすると発表した。
決算発表は6月以降に延期するという。
一般に上場企業は投資家に好感してもらおうと、なるべく早い開示を心がける。
ということを考えれば、東芝ほどの会社が決算発表を大幅に延期するというのは異常事態と言っていい。
東芝は昨年9月、15年3月期の連結営業利益が3300億円と過去最高を更新する見込みだと発表していた。
上場企業では売上高が10%、損益が30%、事前予想から変動する場合は開示することが求められる。
だが今回、東芝は「現時点で2014年度通期の業績予想を行うことが困難」だとして、「未定」としか開示しなかった。
であれば、損益が30%を越えて変動していると見るのが自然だろう。
金融庁は事業年度が終了して3カ月以内に、有価証券報告書を提出することを求めている。
東芝が延長申請しない場合、その期限は6月末である。
有価証券報告書の提出遅延が起きると、上場廃止基準に抵触する恐れがあり、監理銘柄に指定される可能性がある。
ググってみても、2015年3月期においては、提出期限遅延したのはJASDAQ銘柄に例があるが一部上場企業の例は見つからない。
6月末までに確定決算を発表できるのか?
東芝は、複数のインフラ関連工事で会計処理に問題があり、原価を過小に見積もっていたことが判明したため、と説明している。
外部の専門家で構成する第三者委員会を設置し詳細調査を進めるとしているが、問題は長期化する恐れがあるという見方もある。
第三者委員会の構成はまだ決まっていないが、東芝は「2週間以内をめどに設置する方針」としている。
第三者委員会の調査次第では、新たな問題が浮上する恐れも否定できない。
発表後、土日を挟んだ5月11日、東芝株はストップ安となった。
12日は続落で、13日小反発した。
東芝のような日本を代表する企業がこのような有様とは信じがたい。
アベノミクスの行方にも影が差すのではないか。
もっとも、私はアベノミクスは実体のない幽霊のようなもので、金融緩和や公的年金まで動員した株高の演出による錯覚だろうと見ているのだが。
⇒2015年4月14日 (火):株価2万円のカラクリ/アベノミクスの危うさ(51)
⇒2015年4月 5日 (日):異次元金融緩和の効果と限界/アベノミクスの危うさ(50)
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