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2015年5月17日 (日)

虚言総理は日本をどこへ向かわせるのか?/日本の針路(160)

安倍首相は、後世に「虚言総理」として名を残すのではないか。
箱根大涌谷の火山活動が心配されているが、川内原発の再稼働について、桜島などが御嶽山よりはるかに大規模に噴火した場合でも、安全性は確保されていると強調していた。

民主党・田城郁参院議員:「予知不能であったこの噴火は、自然からの警鐘として受け止めるべき。川内原発の再稼働を強引に推し進める安倍政権の姿勢を認めるわけにはいきません」
安倍総理大臣:「桜島を含む周辺の火山で今般、御嶽山で発生したよりもはるかに大きい規模の噴火が起こることを前提に、原子炉の安全性が損なわれないことを確認するなど、再稼働に求められる安全性は確保されている」
安倍総理は、「いかなる事情よりも安全性を最優先させ、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合した」と強調して、川内原発の再稼働に理解を求めました。
「大規模噴火でも川内原発は安全」 安倍総理

何を根拠にそういうことを言うのか。
中谷宇吉郎氏の名著『科学の方法』岩波新書(1958年6月)に、次のように書いている。

 もちろん科学は、非常に力強いものではあるが、科学が力強いというのは、ある限界の中での話であって、その限界の外では、案外に無力なものであることを、つい忘れがちになっている。いわゆる科学万能的なものの考え方が、この頃の風潮になっているが、それには、科学の成果に幻惑されている点が、かなりあるように思われる。
・・・・・・
 科学は再現の可能な問題、英語でリプロデューシブルといわれている問題がその対象になっている。もう一度くり返して、やってみることができるという、そういう問題についてのみ、科学は成り立つものなのである。
なぜ再現可能な問題だけしか、科学は取り扱い得ないかといえば、科学というものは、あることをいう場合に、それがほんとうか、ほんとうでないかということをいう学問である。それが美しいとか、善いとか悪いということは、決していわないし、またいうこともできないものである。

STAP細胞問題を経験した現在、再現可能性ということの重要性が再認識されたはずである。
地震とか火山という地学的な現象は、再現可能性の検証が難しい分野であり、軽々に論ずべき問題ではないことは改めていうまでもない。
田城議員の質問に対する答えにはなっていないが、自分の主観的事実しか信じないのだろう。

15日の国会答弁や安全保障関連法案を閣議決定した後の記者会見での発言も全く根拠がないと言わざるを得ない。
「法案が成立すれば日米同盟が強化され、抑止力が高まるとの持論を繰り返し、米国の戦争に巻き込まれることは絶対ない、とまで言い切った。
⇒2015年5月15日 (金):安倍首相が日本を破滅させる?/日本の針路(152)

私でもどうかと思う発言であるが、専門家から疑問が呈されている。

Photo琉球大法科大学院の高良鉄美教授(憲法学)は首相の発言に「一方的な見方だ。隣国にとって、日本が軍事力を高めることは脅威に映り、軍拡競争の口実になる」と指摘。「軍事力に頼りすぎるのではなく、外交努力による抑止力を強化すべきだ」と訴える。
 首相が言うように、米国の戦争に巻き込まれないのか。
 高良氏は「これまで憲法九条の制約で米国の要請を断ってきたが(法案が成立すれば)集団的自衛権を行使でき、拒否する理由がなくなる。米国の戦闘に巻き込まれるのが現実だ」と否定。「自衛隊が湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘に参加しない根拠は、十分に説明されていない」とも指摘した。
 軍事評論家の前田哲男氏も「集団的自衛権を解禁すること自体、巻き込まれる可能性を自然と高める。米軍の戦闘も後方支援するとしていて、巻き込まれないどころか主体的に関わろうとしている」と強調した。
 法案について、首相は武力行使に厳格な歯止めを定めたとも話している。
 しかし、高良氏は「密接な関係国から『集団的自衛権で助けて』と言われれば、政府は自衛隊を派遣する方向になる。歯止めは機能しない」と述べた。
 また前田氏は、日米同盟強化は抑止力を高めるとの首相の説明について「対抗する国々の警戒感が高まり、先制攻撃を誘発する可能性がある」として、かえって危険だと指摘した。
首相発言に専門家から疑問の声 同盟の強化、他国の攻撃誘発

首相が会見の冒頭で、70年前の不戦の誓いを守り続けると宣言したことも、詐欺的言辞であろう。
他衛のことを集団的自衛権と言い、戦争をする準備を積極的平和主義と言う。
新しい言葉を使うときには別の企みがあると考えるべきだろう。

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