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2015年5月26日 (火)

次第に剥がされていく「裸の王様」の衣?/日本の針路(165)

自民党の内部には「ポスト安倍」を窺う人物が見当たらないほど、安倍首相の権力基盤は安定しているらしい。
しかしネット社会というのは恐ろしいもので、「ポツダム宣言」に関する誤認が拡散してしまった。
⇒2015年5月24日 (日):詐欺師のレトリックを多用する安倍首相/日本の針路(164)
⇒2015年5月22日 (金):新版「石油の一滴は血の一滴」/日本の針路(163)

これを、安倍首相は「ポツダム宣言」についてよく知っていて答弁したのであrって、(ズル)賢いのだ、などと妙な持ち上げ方をする向きもある。
しかし、原爆投下との時間的な前後関係は、根底に係わるものであって、このような持ち上げ方は通用しない。

「ポツダム宣言」に関する無知(無恥)が拡散すると、10年前の無知(無恥)が掘り出されてネット上の話題になっている。
満州国の問題である。

安倍氏は、「満州は攻め入ってつくったわけではない」「満州の権益は、第1次大戦で日本がドイツの権益を譲り受けた」と発言していました。
しかし、第1次世界大戦で「戦勝国」として、日本が中国から取り上げたドイツ権益は山東省の青島・膠州湾地域のもの(ベルサイユ講和条約第4篇8款、参照)。日本が中国につきつけた「対華21カ条要求」でも、山東省のドイツ権益以外に、日本が寄こせと要求したドイツの権益はありません。それに、そもそもドイツは「満州」(中国東北地方)に「権益」など持っていなかったのですから、もともと譲り受けようもなかったのです。
「満州はドイツの権益を譲り受けた」――安倍晋三氏、珍説を開陳

Photo
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/91620/m0u/

さんとうもんだい【山東問題】
第1次大戦期,1914年から22年にかけ中国山東省のドイツ権益(膠州湾租借権,鉄道・鉱山に関する権利など)をめぐって,日本がひきおこした国際問題。大戦勃発の当初は,日本も中国も局外中立を宣言していたが,ドイツ権益奪取をもくろむ日本の大隈内閣(外相加藤高明)は,イギリス,フランス,ロシアからの協力要請に乗じて,まもなく対独参戦にふみきった。中国の袁世凱政府は,中立維持のため対米接近を試みたが,ウィルソン政府が積極的な姿勢を示さなかったので,日本の圧力の前に,中立除外区域を設定せざるをえなかった。
世界大百科事典 第2版

安倍首相は山東省と満州を混同しているのではないか?
学校の歴史の授業は、時間の関係で近現代史が薄くなりがちである。
しかし、満州をドイツから譲り受けたというのは初めて見た。
尊敬する祖父の岸信介は、満州国の高官だったのだから、もう少し勉強した方がいい。
⇒2012年12月24日 (月):エリート官僚としての岸信介/満州「国」論(13)
⇒2014年3月24日 (月):安倍晋三と岸信介/「同じ」と「違う」(68)

安倍首相の権力基盤が強いことが、彼を「裸の王様」化させている。
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
⇒2014年11月27日 (木):続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)
真の友人や忠臣はいないのだろうか?

田母神俊雄氏や百田尚樹氏のようなトンデモ級の人物に囲まれていい気分になっているから、こういうことになるのではないか。
⇒2012年11月13日 (火):田母神見解と陰謀史観/満州「国」論(10)
⇒2014年12月 4日 (木):安倍首相と百田尚樹の親近性/人間の理解(7)
⇒2014年12月29日 (月):百田尚樹の正体?/人間の理解(8)

しかし、「裸の王様」の衣を剥がすのは難しいかも。

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