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2015年5月

2015年5月31日 (日)

安倍首相の論理と倫理の欠陥/日本の針路(170)

日本共産党の志位和夫議員相手だと大人しいのに、女性の民主党辻元清美議員相手だと高圧的に「早く質問しろよ!」とヤジを飛ばす安倍首相の姿が、この人の体質を表しているように思える。

以下は、中村公信という人のFacebookに寄せられたコメントからの抜粋である。0
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>ネトウヨはセクシストを兼ねている者が多いというが、安倍もその中の一人と見て間違いなさそうだな。
#西川農水相の献金問題を民主党の玉木議員が追及している時に、唐突に「日教組!」とヤジったのはまさにネトウヨというレベルであった。
⇒2015年2月20日 (金):低レベルで意図不明な安倍首相のヤジ/日本の針路(108)
⇒2015年2月21日 (土):反知性主義的なネトウヨ・安倍首相/日本の針路(109)

>日本の首相が、女性を差別、蔑視、しているというこです。国の恥さらしです。
#この態度を取りながら「女性の輝く社会」と言うのだから呆れる。
⇒2014年10月31日 (金):「輝く女性」の看板に偽りあり!/日本の針路(63)
#地方議会での女性蔑視のようなセクハラヤジが問題になったが、安倍首相の体質も変わらないことが明らかになっていると言えよう。
⇒2014年6月20日 (金):品位を欠く政治家にレッドカードを!/花づな列島復興のためのメモ(332)

>女性ほどの緻密さも忍耐力もなく、論理の構成力にも欠ける男性は、己の愚昧さへの劣等感から高飛車な態度で女性を小馬鹿にする。
論理に全く噛み合わない野次を飛ばして己の愚かさのさらなる上塗りを重ねることとなる
#私も男としては反省してみなければ、と思うが、少なくともあんな高飛車な態度はとっていないはずだ。
まあ、安倍首相が「輝く女性」の代表として選んだ面々も如何かとは思うが。
⇒2014年9月29日 (月):怪しい安倍改造内閣の女性閣僚たち/日本の針路(45)
⇒2014年10月 9日 (木):続・怪しい安倍改造内閣の女性閣僚たち/日本の針路(49)
⇒2014年10月16日 (木):続続・怪しい安倍改造内閣の女性閣僚たち/日本の針路(52)

>その辺のチンピラの兄ちゃんが日本の首相とは、情けない日本の政治。この男に国民が命を託すのかと思えば実に希望はない。
#まったくチンピラのようであるが、選挙結果という事実もある。この国で起きている事態は、非常事態とでも言うべきレベルではないか。有権者は反省しよう。
⇒2015年5月29日 (金):立憲主義の否定は一種のクーデター/日本の針路(168)

しかし兵站が戦争の重要な要素であることを理解できていないことが、戦略的思考の欠如を物語っている。

安全保障法制の委員会審議が始まりました。このなかで安倍総理大臣は、かつての湾岸戦争やイラク戦争のような事態で、アメリカ軍などの後方支援を行うことはあり得るという考えを示しました。
 維新の党・柿沢幹事長:「湾岸戦争やイラク戦争に参加することは決してないんですか。戦闘に参加しないだけで、兵站(へいたん)業務には参加できるし、実際に参加するかもしれないことではないか」
 安倍総理大臣:「まさにイラク戦争や湾岸戦争等において行われたような、空爆を行うとか上陸をしていって武力行使を目的として、いわば砲撃を行う、こういうことはしない。後方支援ということについては、これは武力行使と一体化しない。つまり武力の行使ではないという明確な定義のもとに(自衛隊を)派遣するということは、はっきりと申し上げておきたい」
 また、共産党の志位委員長は、補給や輸送などの兵站任務は国際的には武力行使と一体不可分で、軍事攻撃の目標にされると指摘しました。これに対して安倍総理は、あくまでも安全が確保されている場所で後方支援活動を行うと強調しました。安倍総理はさらに、集団的自衛権の行使について、中東地域ではホルムズ海峡での機雷掃海以外は「念頭にない」という考えを示しました。
“イラク戦争で後方支援あり得る” 安倍総理

自衛隊の最高指揮官である首相には向いていないということだ。
⇒2015年5月30日 (土):自己を抑制できない自衛隊最高指揮官/日本の針路(169)
中谷防衛大臣に答弁を指示していたが、安倍首相自身、安保法案を理解してるようには思えない。

岡田が返答に納得できない、首相の答えは間違っていると指摘されたら、「法案についての説明は全く正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」総理なら間違わないという論法には腰が抜けた。産経が書きだしている量を眺めてもわかるが、丸暗記分を言い切らないと、安倍の発言はとまらない。多分、途中で止めると、全部忘れてしまうのだろう。また、志位共産党委員長のポツダム宣言について、認識を問われ、「ポツダム宣言を受諾し、敗戦となった。ポツダム宣言をつまびらかに読んでいないので直ちに論評することは差し控えたい。」と信じられない返答をしているのも驚きだ。
困ったものだ 安倍は安保関連法案の中身を理解していない!

まったく困ったものである。
こんな首相に答弁を指示される中谷防衛大臣は、輪をかけているが。

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2015年5月30日 (土)

自己を抑制できない自衛隊最高指揮官/日本の針路(169)

自衛隊法には、次のように規定されている。

(内閣総理大臣の指揮監督権)
第七条  内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。

民主党の菅直人首相(当時)が、「改めて法律を調べてみたら(総理大臣は)自衛隊に対する最高の指揮監督権を有すると規定されている」と言ったという話は、菅氏(および民主党のある部分)の無知を広く知らしめた。
冗談で言ったのではないか、と擁護する声もあったが、どうか。

一方、安倍首相は、自衛隊のことを「我が軍」と呼ぶほど、過剰なくらいに最高指揮官の意識が強いようである。
⇒2015年3月25日 (水):70年有識者懇のゲストの東大話法/日本の針路(127)
しかるに国会審議の様子を見ていると、この人が自衛隊の最高指揮官ということに、強い危惧を覚える。

首相の席に座ったまま、品格なきヤジを飛ばすのだ。
⇒2015年2月20日 (金):低レベルで意図不明な安倍首相のヤジ/日本の針路(108)
⇒2015年2月21日 (土):反知性主義的なネトウヨ・安倍首相/日本の針路(109)

この時、陳謝しているので反省したかと思ったら、今国会でも同じようにヤジを問題視されている。
衆院特別委員会で、民主党辻元清美議員の質問中に、「早く質問しろよ」と命令口調でヤジを飛ばしたのだ。
また、それを批判された後の釈明も、冷静さを欠いたものだった。
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東京新聞5月30日

説明を尽くして審議すべき法案なのに、こんなに自己抑制のできない人で大丈夫なのだろうか、と素朴に思う。
辻元氏に対しては命令口調のヤジだったのに対し、日本共産党の志位委員長の質問の時には、別人のような態度であった。
何の違いを意識したのか分からないが、相手を見て態度を豹変するのは如何なものか?

 他の質問者のときには、抽象的で空疎な説明を繰り返して煙に巻いたり野次ったりしていた安倍首相も、志位さんの前では妙におとなしいように見えました。質疑が終えた時、「フー」という安倍さんのため息が聞こえたように感じたのは、私だけだったでしょうか。
 今日の質疑で、志位さんは国連平和維持活動(PKO)と集団的自衛権の行使容認という二つの問題を取り上げました。前者はPKO協力法と自衛隊法の改定、後者は武力攻撃事態法と自衛隊法の改定にかかわる問題です。
 PKO協力法の改定によって、新たに国連が統括しない治安維持活動への参加、安全確保業務や駆けつけ警護、任務遂行のための武器使用の解禁などが可能になります。これについて志位さんは、アフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF)のような活動に参加可能なのかと質問しました。
 これに対して、安倍首相はPKO参加5原則に基づいて当事者同士の間で停戦合意が履行されていることが重要で、アフガンのような治安状況を前提としていないと答えました。しかし、参加できないとは最後まで明言しませんでした。
・・・・・・
 戦後初めてNATO域外に軍を派遣したドイツは、アフガニスタンでの治安維持や輸送業務に従事しましたが、パトロール中にタリバンの狙撃を受けて戦闘行動に巻き込まれています。これは正当防衛による反撃でしたが、このような戦闘によって35人が命を失い、これを含めた死者は55人に上りました。
 このドイツの例は、いま日本がやろうとしていることがどのような問題を生むかということを示しているのではないかというのが、志位さんの指摘です。このPKO活動の拡大もまた、自衛隊が殺し殺される危険性を教えていると言って良いでしょう。
 第2の集団的自衛権の行使容認の問題では、アメリカが行う誤った先制攻撃にも日本が協力することになる可能性があぶりだされました。集団的自衛権行使容認の条件とされている新3要件は無限定で、政府の裁量によってどのようにでも解釈される危険性があるからです。
 安倍首相も岸田外相も、国際法上認められないような違法な戦争には協力しないと答えていました。これに対して志位さんは、「先制行動」を宣言し、「一方的に軍事力を行使する」と言っているアメリカの場合はどうなのか、その先制攻撃には協力しないのかと、具体的な例を挙げて質問しました。
 アメリカによるグレナダ侵略、リビア爆撃、パナマ侵略については国連が非難決議を挙げているのに日本は「理解する」という立場で、戦後のアメリカの軍事介入について反対したことは一度もなく、全部、賛成・支持・理解ではないかと。このよう対米追随の外交からすれば、アメリカから言われるままに集団的自衛権を行使して、たとえ先制攻撃であっても米国の戦争に協力させられるのは明らかではないかと……。
 さらに、志位さんが具体的な例として挙げたのがベトナム戦争とイラク戦争でした。ベトナム戦争では北爆など戦争拡大の口実とされたトンキン湾事件がねつ造であったことが明らかになり、イラク戦争では大量破壊兵器が見つかりませんでした。
まるで法廷劇を見ているような志位共産党委員長による質疑

明らかに志位氏の方が理に適っている。

 さらに多国籍軍の兵站を担う自衛隊が勝手に「退避」できるのかを問われた安倍首相は、「(自衛隊は多国籍軍の)指揮下に入らない」と胸を張ったが、志位委員長は呆れた様子で「兵站が(多国籍)部隊の指揮下に入るのは(軍事の)常識だ」とピシャリ。米海兵隊が兵站について「武力行使と一体不可分の中心構成要素」と位置付けていることも挙げて、答弁の“非常識ぶり”を厳しく指弾すると、安倍首相はシュンとした表情だった。軍事ジャーナリストの神浦元彰氏がこう言う。
「一言で言って安倍首相の答弁はメチャクチャでした。軍事のリアリティーを知らな過ぎる。与党協議が結論ありきだったから、こういう答弁になる。現場の自衛隊員も『オイオイこんな常識も知らないのか』と呆れていますよ。おそらく安倍首相の答弁は今後もボロが次々と出てくる。8月の法案成立なんて絶対ムリですよ」
答弁不能で“つまり”連発…安倍首相が「安保」審議でまた完敗

それでもアメリカに約束したように、夏までに安保法制改定案を成立させるのだろうか?
ここは野党のレーゾンデートルが問われるところである。

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2015年5月29日 (金)

立憲主義の否定は一種のクーデター/日本の針路(168)

歴史が勝者によって書かれてきたというのは、『記・紀』以来、まあ当然のことだったといえよう。
明治維新もその意味では、薩長(土肥)の視点で書かれてきた。
「勝てば官軍」ということである。

現在の状況に引きつけていえば、政権選択の総選挙である。
2009年8月の総選挙で、自民党に愛想を尽かした有権者が、政権交代に期待して民主党へ投票し、雪崩のように政権交代が実現した。
しかし、勝者の民主党には、自分たちへの投票が、積極的支持というよりも、自民党ではない政党という消極的な支持であることを理解しなかった。
消極的支持を積極的支持に変える努力を怠ったばかりか、自民党と無差別というところまで変質してしまった。
変質というよりも本来的にそうであったのかも知れないが。
⇒2012年9月21日 (金):野田氏のポジショニングは自民党総裁候補と無差別

野田首相(当時)は、汚染水が垂れ流しであり、デブリ(核燃料の残滓)がどこに、どういう状態であるのかも分からないのに、福島原発事故の「収束宣言」をした。
⇒2011年12月17日 (土):フクシマは「収束」したのか?/原発事故の真相(14)
そして明白な公約違反である消費税率アップを自公との間で合意した。
挙げ句は、自党がもっとも不利な状況の時に、解散総選挙を行った。
まさに自爆であったが、2012年12月に行われた総選挙は、そんな民主党に、一瞬でも幻想を抱いたことを反省した有権者によって、自公両党に2/3の議席を与えることになった。

59.32%という過去最低の投票率だったことは、民主党も自民党と同じではないかという冷(醒)めた気持ちの表れであろう。
過半数の議席を獲得した自民党への投票率は16%に過ぎなかった。
それで過半数であるから、謙虚に審議するかと思えばさにあらず、まさに「勝てば官軍」とばかりに強引である。

「集団的自衛権」「秘密保護法」「TPP」「消費税増税」「年金の減額」「介護保険制度の改悪」「残業手当の廃止」・・・
根底に、「立憲主義」の軽視もしくは無理解がある。
「立憲主義」とは、「憲法」が国の最高規範であり、国の統治は「憲法」に従って行わねばならない、ということである。
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「立憲主義」を破壊する安部政権!

安倍政権が進めようとしている安保法制は、どう考えても現行憲法に抵触するものである。
⇒2015年5月27日 (水):存立危機事態を招くのは安倍政権?/日本の針路(166)

内容は措くとしても、手続き的におかしい。
もし現在の法制案を通そうと考えるならば、やはり憲法改正をしてからである。
憲法を無視するということであれば、一種のクーデターと見るべきではないか。
わが国は、そういう国か?

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2015年5月28日 (木)

総合的判断という恣意性/日本の針路(167)

「憲法(9条)を守れ」という声に対して、平和を唱えていれば国は守れるのか、言霊信仰ではないか、という批判を耳にする。
言霊は井沢元彦氏が『逆説の日本史3 古代言霊編/平安建都と万葉集の謎』(小学館文庫(2012年11月)などで説いているように、古代日本では大きな力を持っていたようだ。
言霊信仰は以下のように解説されている。

言語そのものに霊力が宿っているという信仰。ある言葉を口に出すとその内容が実現するという,一種の宗教的信仰ともいえるもので,祝詞 (のりと) ,忌言葉もその現れである。日本においては,江戸時代の音義説にまでこの思想の流れがみられる。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

私は、積極的平和主義とか国際平和支援法などの用い方の方がより言霊に相応しいのではないかと思っていた。
しかし、これはレッテルと中身が別物の、虚偽表示の一種であると考えた方がより妥当であると考えるべきだろう。
積極的平和主義とは、積極的に軍事力を活用しようということであり、国際平和支援法とは他国軍と自衛隊が共闘して戦うことである。
平和の文字を冠してはいるが、実体は軍事、戦争のことである。

安保法制改訂のキモになる存立危機事態とは何か?
安倍首相は、「政府が総合的に判断する」とするに留め、明確な基準を示していない。
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東京新聞5月27日

「政府が総合的に判断する」ということは、他者の異論はあろうとも政府の判断だといえばオシマイということである。
それは「恣意的に」ということを言い換えたに過ぎない。
評判の良くない「粛々と」にも通ずるものであろう。
⇒2015年3月24日 (火):辺野古をめぐり厳しく対峙する沖縄県と政府/日本の針路(126)

安倍首相は「ポツダム宣言を詳らかに読んでいない」が「総理大臣だから正しい」と支離滅裂である。
もっとも、「詳らかに」という言葉を知っていたのが驚き、という人もいるようだが。

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2015年5月27日 (水)

存立危機事態を招くのは安倍政権?/日本の針路(166)

国会での審議がはじまった安保法制では、概念が分かり難いものが多い。
積極的平和主義という理念からしてそうである。
あたかも平和に対して積極的であるかのような印象を受けるが、実体は、紛争の解決に軍事力の行使も封印しないということである。
⇒2013年10月18日 (金):積極的平和主義をどう理解するか/アベノミクスの危うさ(17)

わが国は、憲法9条によって、軍隊を持たないとなっている。
自衛隊はどう見ても軍隊であるが、そこは解釈である。

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http://event.kinasse.com/kuma9/kyuujo.html

「前項の目的を達するため」戦力を持たないのであって、それ以外ならば可という、いささかアクロバティックな解釈である。
⇒2014年7月23日 (水):憲法9条と積極的平和主義/日本の針路(12)

しかし、積極的平和主義の下で、ということになると事情が変わってくる。
国際紛争を解決する手段として武力の行使も含めるということであれば、どう考えても憲法に抵触する。
憲法を変えないとすれば、想定されている安全保障法制は違憲であろう。

確かに新しい国際的な脅威が増えている。
先頃、報告書が公表されたイスラム過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件の政府対応を検証する政府の「邦人殺害テロ事件対応検証委員会」は、政府対応について「救出の可能性を損ねるような誤りがあったとは言えない」と結論づけた。
「政府の、政府による、政府のための」検証?
後藤さん、湯川さんは、積極的平和主義の名の下に、救出のチャンスを封じられたと見るべきであろう。
⇒2015年2月 2日 (月):人命軽視の積極的平和主義/世界史の動向(34)

存立危機事態というのも分かり難い概念だ。
5月20日のの民主党岡田代表との党首討論である。
晴耕雨読」というブログを参照しよう。

 岡田:存立危機事態について。武力行使の新3要件が満たされれば、日本の自衛隊も出ていって戦う。その場所は相手国の領土、領海、領空に及ぶか。
 安倍:今までと同様、海外派兵は一般に禁止されている。他国の領土に戦闘行動を目的に自衛隊を上陸させて武力行使をさせる、領海、領空でそういう活動をする、派兵をするということはない。(中東・ホルムズ海峡での)機雷除去は、いわば「一般に」ということの外において何回も説明している。
 はたして安倍氏は、真実を述べているのであろうか。嘘に決まっているではないかとおっしゃるなかれ。少し論理的に検討してみようではないか。
・・・・・・戦闘の展開に応じて、我が国が戦う場所も、敵の攻撃を撃退するのに必要な場所に移動していかなければならないことになるということを意味している。
 もし、それでも安倍氏が「他国の領域に戦闘行動を目的に自衛隊を派兵しない」と言い張るのであれば、そのように事態対処法案に明記しなければならない。そのとき「武力行使三要件」は、事実上従来の政府見解である「自衛権行使三要件」に復元されることになり、集団的自衛権行使は否定されたにほぼ等しくなる。残るのは「ホルムズ海峡その他における機雷掃海」のみを単独に俎上に乗せてその可否を問えばよい。そうしない以上は、安倍氏が述べるところはやはり虚言と言わざるを得ない。

そもそもいたずらに不明瞭な概念を使おうとするのは、実体を把握されたくないからだろう。
「積極的平和主義」「国際平和支援法」などのように、平和という文言を使いたがるのも、戦争という実体を包み隠すためではないか。
レッテルと中身が違う偽装表示がここにまで広がっている。

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2015年5月26日 (火)

次第に剥がされていく「裸の王様」の衣?/日本の針路(165)

自民党の内部には「ポスト安倍」を窺う人物が見当たらないほど、安倍首相の権力基盤は安定しているらしい。
しかしネット社会というのは恐ろしいもので、「ポツダム宣言」に関する誤認が拡散してしまった。
⇒2015年5月24日 (日):詐欺師のレトリックを多用する安倍首相/日本の針路(164)
⇒2015年5月22日 (金):新版「石油の一滴は血の一滴」/日本の針路(163)

これを、安倍首相は「ポツダム宣言」についてよく知っていて答弁したのであrって、(ズル)賢いのだ、などと妙な持ち上げ方をする向きもある。
しかし、原爆投下との時間的な前後関係は、根底に係わるものであって、このような持ち上げ方は通用しない。

「ポツダム宣言」に関する無知(無恥)が拡散すると、10年前の無知(無恥)が掘り出されてネット上の話題になっている。
満州国の問題である。

安倍氏は、「満州は攻め入ってつくったわけではない」「満州の権益は、第1次大戦で日本がドイツの権益を譲り受けた」と発言していました。
しかし、第1次世界大戦で「戦勝国」として、日本が中国から取り上げたドイツ権益は山東省の青島・膠州湾地域のもの(ベルサイユ講和条約第4篇8款、参照)。日本が中国につきつけた「対華21カ条要求」でも、山東省のドイツ権益以外に、日本が寄こせと要求したドイツの権益はありません。それに、そもそもドイツは「満州」(中国東北地方)に「権益」など持っていなかったのですから、もともと譲り受けようもなかったのです。
「満州はドイツの権益を譲り受けた」――安倍晋三氏、珍説を開陳

Photo
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/91620/m0u/

さんとうもんだい【山東問題】
第1次大戦期,1914年から22年にかけ中国山東省のドイツ権益(膠州湾租借権,鉄道・鉱山に関する権利など)をめぐって,日本がひきおこした国際問題。大戦勃発の当初は,日本も中国も局外中立を宣言していたが,ドイツ権益奪取をもくろむ日本の大隈内閣(外相加藤高明)は,イギリス,フランス,ロシアからの協力要請に乗じて,まもなく対独参戦にふみきった。中国の袁世凱政府は,中立維持のため対米接近を試みたが,ウィルソン政府が積極的な姿勢を示さなかったので,日本の圧力の前に,中立除外区域を設定せざるをえなかった。
世界大百科事典 第2版

安倍首相は山東省と満州を混同しているのではないか?
学校の歴史の授業は、時間の関係で近現代史が薄くなりがちである。
しかし、満州をドイツから譲り受けたというのは初めて見た。
尊敬する祖父の岸信介は、満州国の高官だったのだから、もう少し勉強した方がいい。
⇒2012年12月24日 (月):エリート官僚としての岸信介/満州「国」論(13)
⇒2014年3月24日 (月):安倍晋三と岸信介/「同じ」と「違う」(68)

安倍首相の権力基盤が強いことが、彼を「裸の王様」化させている。
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
⇒2014年11月27日 (木):続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)
真の友人や忠臣はいないのだろうか?

田母神俊雄氏や百田尚樹氏のようなトンデモ級の人物に囲まれていい気分になっているから、こういうことになるのではないか。
⇒2012年11月13日 (火):田母神見解と陰謀史観/満州「国」論(10)
⇒2014年12月 4日 (木):安倍首相と百田尚樹の親近性/人間の理解(7)
⇒2014年12月29日 (月):百田尚樹の正体?/人間の理解(8)

しかし、「裸の王様」の衣を剥がすのは難しいかも。

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2015年5月25日 (月)

情報伝達と暗号/知的生産の方法(121)

池上彰さんの『伝える力』PHPビジネス新書(2007年4月)が版を重ねている。
伝えたい相手に、誤解の無いように情報を伝えるのは、ビジネスパーソンに最も求められるスキルであろう。
しかし一方で、秘匿しておきたい相手には意味が分からないようにする必要がある。
そのための技術が暗号化である。

中には、オープンに開示すべきことなのに、分かりにくいような形にすることがある。
いわゆる「東大話法」とか「霞が関文学」といわれるものもその一種であろう。
⇒2012年9月20日 (木):もはや嗤うしかない「革新的エネルギー・環境戦略」の「東大話法」
⇒2012年10月10日 (水):「霞ヶ関文学」と「東大話法」はメダルの表裏/花づな列島復興のためのメモ(149)

「東大話法」や「霞が関文学」の主要なな使い手は、霞が関すなわち中央官庁やそれに準ずるような電力会社のような企業である。
もちろん、分かりやすい表現を工夫する官僚も多いことは承知している。
⇒2012年7月 3日 (火):開示する情報を暗号化しようとする愚/花づな列島復興のためのメモ(101)

暗号はもっと積極的に分かりにくくする。
暗号 - Wikipediaには、次のような説明が載っている。

暗号(あんごう、cryptography、cipher、code)あるいは暗号化(あんごうか、Encryption)とは、第三者に通信内容を知られないように行う特殊な通信(秘匿通信)方法のうち、通信文を見ても特別な知識なしでは読めないように変換する表記法(変換アルゴリズム)のことである。通信だけでなく保管する文書等の内容を秘匿する方法としても用いることができる。
秘匿通信には、主に次の3種類の方法がある。
1. ステガノグラフィ:通信文を人目に付かない場所に記録する。画像などに情報を埋め込む電子透かしなど。また掲示板でよく見かける縦読みも一見して普通の文章の中に見えるためステガノグラフィーの一種と言える。
2. コード:通信文の単語やフレーズを、事前に決めておいた言葉・記号で置き換える。これらは符牒や隠語とも呼ばれる。
3. サイファ:通信文を、意味とは関係なく、所定のアルゴリズムに従って、(1つまたは複数の)文字やビットごとに置換や転置を行うことで、読めない文に変換する。

また、暗号そのものに着目すると、次のように分類されている。

暗号(サイファ)の分類
• 古典暗号 - 暗号化・復号に鍵の概念を使わないものもある。
 o 換字式暗号 - 別の文字を割り当てる。単一換字、多表式換字などがある。
 o 転置式暗号 - 文字を並べ替える。
• 現代暗号 - 鍵を使い、アルゴリズムを公開したものが多い。
 o 共通鍵暗号 - 暗号化・復号で同じ鍵を使う。ブロック暗号、ストリーム暗号などがある。
 o 公開鍵暗号 - 暗号化・復号で異なる鍵を使う。

有名なシャーロックホームズの『踊る人形』は、換字式暗号の事例である。
Dancing_men
⇒2012年7月 3日 (火):開示する情報を暗号化しようとする愚/花づな列島復興のためのメモ(101)

踊る人形の姿は、識別しがたい。
つまり、分かりにくい。
それが暗号の本質である。

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2015年5月24日 (日)

詐欺師のレトリックを多用する安倍首相/日本の針路(164)

安保法制に関する安倍首相の説明には、非論理性が際立つ。
ポツダム宣言の理解を、「ポツダム宣言というのは、米国が原子爆弾を二発も落として日本に大変な惨状を与えた後、『どうだ』とばかり(に)たたきつけたものだ」としていたが、ポツダム宣言が発表されたのは、1945年7月26日であって、速やかに受諾していれば原爆投下もソ連の対日参戦もなかったのである。
⇒2015年5月22日 (金):新版「石油の一滴は血の一滴」/日本の針路(163)

まさに戦後レジームというならば、その出発点に位置するというべき文書であろう。
それをこのような形で理解し、「つまびらかに読んでいない」ということからして、ロジカル思考失格であろう。
つまりEvidence-Basedの議論になっていないのだ。
⇒2013年7月12日 (金):治験とクリティカル思考/知的生産の方法(69)

岡田民主党代表との党首討論でも、非論理性はいかんなく発揮された。
安保法制の改訂により自衛隊員のリスクが高まるのではないかという質問に対し、「安全が確保されている場所で後方支援をする」「支援部隊は重武装をしていない。戦闘に巻き込まれることがなるべくないような地域を選ぶのは当然」「戦闘が起こったら速やかに作業を中止、あるいは退避する」と応じた。
あたかもイラク戦争の時の小泉元首相の『自衛隊の活動している所が非戦闘地域だ』という珍答弁を彷彿とさせる。

 一連の戦争法案では、自衛隊が集団的自衛権を行使する場所に制限が設けられていない。例えば米軍が相手国の領土で戦闘している場合、現地に赴かなければ集団的自衛権を行使できないからだろう。
 そこで岡田代表は「行使する場所は相手国の領土・領海・領空に及ぶのか」と何度も確認したが、安倍首相は「一般に海外派兵は認められていない。外国の領土に上陸して、武力行使を行うことはない」と、こちらも現実論ではなく、原則論を繰り返すだけだった。
「切れ目ない安保法制」なんて言っているくせに、国会答弁では「想定外」を認めず、「戦争に巻き込まれることは絶対にない」というお題目を繰り返す。これじゃあ議論にもなりゃしない。
 改めて言うまでもないが、米軍の戦争に進んで「巻き込まれる」のが集団的自衛権の本質だ。「戦争に巻き込まれる」ことを想定して、議論しなければならないのに、安倍首相はそれを認めない。集団的自衛権が抑止力になって戦争は起こらないという一点張りだ。
「私は総理なのだから」…安倍首相“戦争法案”答弁の支離滅裂

安倍首相は「日本が戦争に巻き込まれることは絶対にあり得ない」と断言した。
世の中に絶対ということはない、というのがオトナの常識であるが、「絶対に」とか「完全に」とか「私が保証する」などの語法は詐欺師の常套句でもある。

安倍首相がその理由の一つとして祖父岸信介の時の「60年安保」の時の議論を挙げる。

 「・・・・・・この巻き込まれ論というのは、かつて1960年の安保条約改定時にもいわれたわけだ」
 「それが間違っていたことは、もう歴史が証明しているわけであり、われわれはあくまでも日本人の命と平和な暮らしを守るために全力をつくしていきたい。このように思う。皆さんも真摯に議論をしていただきたいと思います。終わります」
安倍首相「戦争に巻き込まれる論は60年安保でも言われたが、その間違いは歴史が証明してる」

しかし、「60年安保」の時とは前提条件がまるで違う。

 岸氏は当時の国会論争で、戦争に巻き込まれない理由を「(日本の)領土外に出て実力を行使することはあり得ない」と説明。条約改定に基づく自衛隊活動は日本が侵略を受けた際の「個別的自衛権の範囲内」と強調した。
Vs
「歴史が証明」根拠なし 首相、戦争巻き込まれ論否定

安倍首相の詐欺師もどきのレトリックに騙されてはならない。

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2015年5月23日 (土)

中谷宇吉郎『科学の方法』/私撰アンソロジー(36)

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2011年3月11日の東日本大震災は、間違いなく時代を画くするものであったといえよう。
とりわけ福島第一原発事故は、私たちが「成長の限界」を意識せざるを得ないものであった。
⇒2011年12月24日 (土):『成長の限界』とライフスタイル・モデル/花づな列島復興のためのメモ(15)
⇒2013年5月17日 (金):「成長の限界」はどのような形でやって来るか?/花づな列島復興のためのメモ(214)
⇒2014年1月29日 (水):「フェルミのパラドックス」と「成長の限界」/原発事故の真相(103)

近代が終わるのではないか、という一種の「杞憂」を抱いている。
そういう感じが必ずしも私だけのものではないことは、例えば神里達博『文明探偵の冒険-今は時代の節目なのか』講談社現代新書(2015年4月)などが、より目配りを効かせて書いている。

近代とは、言い換えれば「科学の時代」である。
客観的法則性に基づいて合理性を尊ぶ精神であった。
科学的なものの見方・考えたの古典的名著として、中谷宇吉郎『科学の方法』岩波新書(1958年6月)がある。
掲出したのは冒頭部分の文章である。

1956年の『経済白書』は有名な「いまや経済の回復による浮揚力はほぼ使い尽くされた。・・・もはや戦後ではない」と記述され、「もはや戦後ではない」という名文句で結ばれた。
「もはや戦後ではないは流行語になった」が、戦後復興の時代は終わった、ということである。
執筆責任者は後藤誉之助であるが、当時の日本経済は、朝鮮特需の影響もあって、急速に復興を遂げた。

後藤は、これからは自立的な経済発展の時代だ、と指摘したわけであるが、それにより理工系ブームが起きた。
1957年には旧ソ連により、人工衛星「スプートニク」が打ち上げられたこともあった。
世は挙げて理工系万歳という雰囲気であった。
多くの学生が「とりあえず」理工系を目指したのである。

そういう学生の必読書だったといえよう。
手許にあるのは1961年8月発行であるが、第5刷であるから、3年ばかりの間に5回増刷をしたのであり、岩波新書の中でも売れた部類ではなかろうか。

現時点で読み返しても、きわめてオーソドックスに「科学の方法」を語っているように思う。
中谷宇吉郎は「雪の博士」として知られるが、第四高等学校(旧制、金沢)を卒業し、東京帝国大学理学部物理学科で寺田寅彦に教えを受けた。
エッセイストとしても寅彦の衣鉢を継いだといえよう。

教授となった1932年(昭和7年)ころから雪の結晶の研究を始め、1936年(昭和11年)3月12日には大学の低温実験室にて人工雪の製作に世界で初めて成功。気象条件と結晶が形成される過程の関係を解明した。他にも凍上や着氷防止の研究など、低温科学に大きな業績を残した。
Wikipedia-中谷宇吉郎

中谷宇吉郎が生きていたら、福島原発事故について、また原発再稼働について、どういう見解を開陳したであろうか?

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2015年5月22日 (金)

新版「石油の一滴は血の一滴」/日本の針路(163)

安倍首相は、「石油は私たちの社会生活を支える血液と言っても過言ではありません」と強調しつつ、日本への石油の輸送ルートとなる中東のホルムズ海峡での機雷の掃海活動が集団的自衛権の対象となるとしている。
私の頭に、「石油の一滴は血の一滴」という大東亜戦争(あえて当時の政府の命名を使う-今次の對米英戰は、支那事變をも含め大東亞戰爭と呼稱す。大東亞戰爭と呼稱するは、大東亞新秩序建設を目的とする戰爭なることを意味するものにして、戰爭地域を主として大東亞のみに限定する意味に非ず)の契機となった言葉が過ぎった。

元々は、1917年、第一次世界大戦でドイツの猛攻にあったフランスの首相クレマンソーが、米国大統領ウィルソン宛の電報に記した言葉である。
1930年代後半に日本の中国侵略、仏印進駐といったアジアにおける膨張主義に対し、集団安全保障の原則に基づき、いわゆるABCD包囲網が敷かれた。
「ABCD」とは、制限を行っていたアメリカ(America)、イギリス(Britain)、オランダ(Dutch)と、対戦国であった中華民国(China)の頭文字を並べたものである。

1937年7月7日、盧溝橋事件が勃発し、日中間が全面戦争に入ると、中国の提訴を受けた国際連盟総会では9月28日に中国の都市に対する無差別爆撃に対する23ヶ国諮問委員会の対日非難決議案が全会一致で可決された。日本が支那における問題で国際的に孤立していく中、1938年9月30日の理事会では、連盟全体による集団的制裁ではないものの加盟国の個別の判断による規約第16条適用が可能なことが確認され、国際連盟加盟国による対日経済制裁が開始された。
孤立主義の立場から議会が反対し国際連盟への加盟を果たしていなかったアメリカは、満州事変当初は中国の提案による連盟の対日経済制裁に対し非協力的であった。しかしその立場は不戦条約および九カ国条約立場から満州の主権と独立を認めず、国際連盟と同調するものであった。アメリカの孤立主義的な立場が変わるのはフランクリン・ルーズベルトが大統領になってからである。 ルーズベルトは1937年7月に盧溝橋事件が発生すると、対日経済制裁の可能性について考慮をし始める。そして1937年10月5日、有名な隔離演説を行い、孤立主義を超克し増長しつつある枢軸諸国への対処を訴えた。日本に対する経済的圧力については国内に孤立主義の声もあり慎重であり、後述の通り長期的で段階的なものであったが、仏印進駐による1941年7月から8月にかけての対日資産凍結と枢軸国全体に対する石油の全面禁輸措置によってABCD包囲網は完成に至る。
Wikipedia-ABCD包囲網

石油が途絶した日本は、大東亜戦争末期には松の根から作られた油(松根油)を航空機の燃料に使ったそうである。
それでは勝てるワケもあるまい。
Photo
http://ose.blog.so-net.ne.jp/2010-08-12

クレマンソーの言葉からは1世紀近くが経ったが、石油の重要性は増しこそすれ小さくはなっていない。
「フロンティア軌道理論」によってではわが国で初めてノーベル化学賞を受賞(1981年)した福井謙一博士は、受賞時京都大学京都大学工学部石油化学科の教授であった。
「フロンティア軌道理論」のような基礎的な研究が工学部で行われていたというのは、一般的に言えば驚異であろう。

石油化学科は福井博士が受賞の少し前に、燃料化学科から改称されたものである。
燃料化学という名称に、石油不足を打開するため、人造石油の開発を意図した研究が行われていた時代の残影を感じる。
福井博士の学位論文は、「化学工業装置の温度分布に関する理論的研究」と題するものであった。
分野からすると化学工学的な印象を受ける。
化学工学が大戦終了後に化学工業の発展と相まって、システム工学を生み出していったことを考えれば、基礎と応用が有機的に結びついた好例といえよう。

ABCD包囲網で石油を禁輸された日本政府は、「石油の一滴は血の一滴」と国民と軍を煽り、英米に開戦・短期決戦に踏み切り、石油を求めて南方へ侵略した。
真珠湾攻撃と同時にマレー半島への進攻が行われたのである。
その歴史を繰り返そうというのだろうか?
マルクスは「歴史は繰り返す。1度目は悲劇として、2度目は喜劇として」と言った。
⇒2011年2月26日 (土):歴史としての「二・二六」

安倍首相は安保法制の党首討論で、ポツダム宣言を「つまびらかに読んでいない」と答弁した。
どうも「つまびらかに読んでいない」というよりも、「読んでいない」あるいは「読みたくない」といった方が正確であるようだ。

自民党幹事長代理だった首相が月刊誌「Voice」2005年7月号の対談で、「ポツダム宣言というのは、米国が原子爆弾を二発も落として日本に大変な惨状を与えた後、『どうだ』とばかり(に)たたきつけたものだ」と語っていた。
甚だしい事実誤認である。
同宣言が発表されたのは1945年7月26日である。
日本が受諾したのが原爆投下後であって、ポツダム宣言を直ちに受諾していれば、原爆投下もソ連の対日参戦もなかった。

そもそも「つまびらかに」というほどの長文ではないが、和訳は意外なことに目にしづらい。
外務省の仮訳の「ポツダム宣言」があるが一読して意味を理解しにくい。
外務省には、国民に知らしむべからず、という意識があるのかも知れない。
しかsi,戦後レジームの脱却を掲げながら、ポツダム宣言すら読んでいないことを国会で白状しなければならなかったというのは、それ自身喜劇と言うべきであろう。

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2015年5月21日 (木)

安倍首相の「根拠なき断言」はいつまで続くか/日本の針路(162)

安全保障法案について、国会で論戦が始まった。
民主党の岡田代表は、集団的自衛権の行使について、「米軍とある国が戦っているときに新3要件に該当して自衛隊が出て行って戦うことは、限定的な集団的自衛権の行使だ。そのときに、相手国の領土、領海、領空に及ぶのは当然だと思うが、そういうことは制限されているのか」と指摘した。
これに対し、安倍首相は「新3要件の中には、はっきりと『必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと』と書いてある。そこから導き出される結論として、今までと同様、海外派兵は一般に禁止されている。他国の領土に、いわば戦闘行動を目的に自衛隊を上陸させて武力行使をさせる、あるいは領海や領空において、そういう活動をする、派兵をする、ということはない。大規模な空爆をともに行う、等々のことはない」と断言した。
Photo
東京新聞5月21日

安倍首相の答弁を聞いていると、またなのか、という気になる。
東京オリンピック開催が決まった際の最終プレゼンテーションにおけるスピーチである。
福島の状況を「The situation is under control」(状況はコントロール下にある)と発言した。

「私が安全を保証します。状況はコントロールされています」
「汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている」
「福島近海でのモニタリング数値は、最大でもWHO(世界保健機関)の飲料水の水質ガイドラインの500分の1だ」
「健康に対する問題はない。今までも、現在も、これからもない」
安倍首相が五輪招致でついた「ウソ」 “汚染水は港湾内で完全にブロック” なんてありえない 

程度の差はあろうが、「いくら何でも言い過ぎではないか?」と思った人も多いのではないか。
⇒2013年9月 6日 (金):オリンピック招致と福島原発事故/原発事故の真相(82)
事実、汚染水問題は未だに解決していない。
福島第一の沖合30キロ付近のデータからすれば、外洋への継続的なセシウムの供給があることが推認される。
⇒2014年5月17日 (土):汚染水は完全にブロックされている?/原発事故の真相(113)

安倍首相は、鹿児島県の川内原発の再稼働について、桜島などが御嶽山よりはるかに大規模に噴火した場合でも、安全性は確保されているとした。

 民主党・田城郁参院議員:「予知不能であったこの噴火は、自然からの警鐘として受け止めるべき。川内原発の再稼働を強引に推し進める安倍政権の姿勢を認めるわけにはいきません」
 安倍総理大臣:「桜島を含む周辺の火山で今般、御嶽山で発生したよりもはるかに大きい規模の噴火が起こることを前提に、原子炉の安全性が損なわれないことを確認するなど、再稼働に求められる安全性は確保されている」
 安倍総理は、「いかなる事情よりも安全性を最優先させ、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合した」と強調して、川内原発の再稼働に理解を求めました。
「大規模噴火でも川内原発は安全」 安倍総理

いったい何を根拠に、「原子炉の安全性が損なわれない」ことが確認されているというのだろうか?
世界で最も厳しいレベルの規制基準といっても、設計上の問題であって、それが起こりうる上限であるとは保証できないことは言うまでもない。
折しも桜島が今年572回目の爆発的噴火をした。
噴煙が火口から4300メートルに達し、1955年の観測開始以降、史上6位の高さだった。

安倍首相は、閣議決定後の記者会見でも、「米国の戦争に巻き込まれることは絶対ない」と言っている。
⇒2015年5月17日 (日):虚言総理は日本をどこへ向かわせるのか?/日本の針路(160)
これも何の根拠もなしの言葉だ。

党首論戦では、「戦後レジームからの脱却」をスローガンに改憲をめざす安倍首相が、その戦後レジームの発端となるポツダム宣言をまともに読んでいないこが明らかにされた。
共産党の志位委員長が「過去の日本の戦争は間違った戦争であるという認識はあるか」という論点の中でポツダム宣言について安倍首相に質問したところ、「私はまだその部分をつまびらかに読んでおりませんので、承知はしておりませんから」と答弁した。
唖然と言うしかないが、「完全にブロック」とか「絶対にない」などと強い言葉を使えば現実がそうなるという、一種の「言霊信仰」であろうか?

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2015年5月20日 (水)

銅鐸新発見-分布、使用シーン、消滅の謎/やまとの謎(102)

兵庫県の淡路島にある石材メーカーの工場の砂の中から、弥生時代の祭りに使われたとされる銅鐸7点が見つかった。
銅鐸が見つかったのは、南あわじ市の石材メーカーの工場にある資材置き場だ。

先月8日、社員が市内各地から集めた砂の中に銅鐸のようなものがあることに気付き、地元の教育委員会が調べたところ、今月初めまでに高さ30センチ前後の銅鐸が合わせて7点、見つかりました。
弥生時代に作られた銅鐸は農耕などの際の祭りに使われたとされ、全国でこれまで530点余りが見つかっていますが、1か所でまとまって見つかった数としては、島根県の「加茂岩倉遺跡」などに次いで4番目に多いということです。
見つかった銅鐸のうち1点は、紀元前3世紀から2世紀の弥生時代前期に作られた「菱環鈕式(りょうかんちゅうしき)」という最古の種類とみられ、全国でも11例しか出土していないということです。
また、3組は銅鐸の中に一回り小さい銅鐸を収めた「入れ子」という状態で見つかったほか、内部が確認できた3点からは音を鳴らすための青銅製の「舌(ぜつ)」と呼ばれる部品が残されていたということです。
県教育委員会は「極めて珍しい発見だ」としています。
また、最初に発見した石材メーカーの西田達さんは「まさか砂の中からこれほど貴重なものが見つかるとは夢にも思っていませんでした。大変驚きましたが、うれしいです」と話していました。
淡路島で銅鐸7点 集めた砂の中から発見

私が学校で教わった頃は、銅剣・銅戈・銅戈文化圏VS銅鐸文化圏という図式であった。
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見直される銅剣・銅鐸二大文化圏説

とろが出雲を始めとした青銅器発掘の成果により、2大文化圏というのは訂正を迫られているということである。
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見直される銅剣・銅鐸二大文化圏説

それでも基本的な傾向は生きているらしい。
しかし、そもそも銅鐸は何に用いられたのであろうか?
Wikipediaの解説を見よう。

現在のところ用途は未だ定かではないが、出土状況や表面に遺された痕跡などから使用方法はある程度明らかにされている。銅鐸はその形状ゆえ、初期の小型の物は鈕の内側に紐などを通して吊るし、舞上面に開けられた穴から木や石、鹿角製の「舌(ぜつ)」を垂らして胴体部分か、あるいは「舌」そのものを揺らし、内部で胴体部分の内面突帯と接触させる事で鳴らされたと考えられる(西洋の鐘と同じ)。
これは鈕の下部及び側面に紐で長期間吊るされたことによる「擦れ」と考えられる痕跡や、内部の突帯に舌が当たった為にできたと思われる凹みの形での損傷が確認される銅鐸があるためである。逆に梵鐘のような、胴体部の外面を叩くことでできたと考えられる痕跡のあるものは出土例がない。なお、銅鐸を「鳴らす」段階にあってはこの内面突帯の摩滅を軽減するため、この内面突帯を2本に増やしたものが銅鐸の発達と共に増えていく。
1世紀末頃には大型化が進み、鈕が薄手の装飾的なものへの変化が見られることから、銅鐸の利用法が、音を出して「聞く」目的から地面か祭殿の床に置かれて「見せる」目的へと変化したとする説が支持を集めている。これは「聞く銅鐸」から「見る銅鐸」への展開と呼ばれ(田中琢)、鈕・鰭外部に耳が付くことが多くなる。また、すでに鳴らすことを放棄した設計であるにも関わらず、長期間「鳴らす」銅鐸の「延命」の工夫であるはずの内面突帯が増加(三重化)されたものもある。これは通常目に触れることのない内面にまで装飾の手が伸びた例と言える。

用途もさることながら、3世紀になると突然造られなくなるという消滅の謎である。
激しい変動が想定されるが、実相はどうだったのか?

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 淡路島は「古事記」などの国生み神話で、日本列島の中で真っ先に生まれる、いわば「神話の古里」だ。出土場所と推定される松帆地区は島南部の西海岸近く。江戸時代に銅鐸8個が出土したとの伝承があり、1966年と69年にはその南2キロの地点で銅剣14本が見つかった。
 まとまって銅鐸が出土した例は、多い順に▽加茂岩倉遺跡(島根県雲南市、96年)39個▽大岩山(滋賀県野洲市、1881年と1962年)24個▽桜ケ丘(神戸市灘区、64年)14個−−で今回はそれに次ぐ。国内で出土した銅鐸は530個以上。時代が進むにつれて、鐘のように鳴らされていた小型の「聞く銅鐸」から、飾られることを意図した大型の「見る銅鐸」へと変化したというのが定説だ。
 今回の7個は「聞く銅鐸」の中でも最も古い型式で、少なくとも3個に舌が残っていた。奈良文化財研究所の難波洋三・埋蔵文化財センター長は「舌は下から3分の1あたりが擦り減っている。舌がどう当たっていたかを検証できる」。過去に見つかった銅鐸には、ほとんど舌が残っておらず「祭器としての機能を奪う意味があったのだろうか」と推測。「今回の発見は舌を外さずに埋めたところに地域色を感じさせる」と指摘する。
 一方、国内で銅鐸が埋められた時期については、社会が大きく変革した弥生時代中期末に「聞く銅鐸」が、後期末に「見る銅鐸」が一斉に埋められたとする説が有力だ。
 ところが今回の7個の「聞く銅鐸」には新しい型式が一つも無く、より早い時代に埋められた可能性もある。「銅鐸が埋められた時期は2段階ではなく、もっと細かく分けられるのではないか」。銅鐸をまとめて埋めることは、集落の再編を意味すると考える森岡秀人・奈良県立橿原考古学研究所共同研究員は「弥生のクニの形成や統合の動きは、今まで考えていたより小刻みに起こっていたのだろう」と話す。
 銅鐸を埋めるのは何かの危機を感じたからと考える寺沢薫・桜井市纒向学研究センター(奈良県)所長は「埋められた時期が今まで考えていたより100年近く古い。九州の勢力に対して近畿を中心とする勢力が危機感を強めた時期はもっと早かったのかもしれない」。福永伸哉・大阪大教授は弥生中期末から後期初めに埋められたという従来の見解を崩さず、「古い型式の銅鐸を、何百年も使い込んでいたのではないか」と話す。
銅鐸:淡路島で「第一級品」発見…銅鐸って、なんなのか?

今回の発見が弥生時代像にどう影響するのか?
門外漢ながら、ワクワクする。

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2015年5月19日 (火)

オスプレイは改良が必要だ/技術論と文明論(26)

オアフ島で5月17日、訓練中のアメリカ海兵隊の垂直離着陸機オスプレイが着陸に失敗して炎上し、乗員の海兵隊員1人が死亡したと報じられている。
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オスプレイが着陸失敗して炎上 ハワイで乗員1人死亡 これまでの事故率は?

事故原因は調査中だというが、同機は開発段階で4回、正式配備後は4回の重大事故を起こしており、計36人が死亡している。
開発当時は「ウィドウ・メーカー」(未亡人製造器)と呼ばれていた。

ただし、防衛省が2012年8月にまとめた資料によると、アメリカ軍の海兵隊が運用する最新機種「MV-22B」の10万飛行時間あたりの事故件数を示す「事故率」は1.93で、海兵隊の平均2.45より低い。日本の自衛隊で輸送ヘリとして活躍しているCH-47(チヌーク)も事故率は3を超えている。
オスプレイが着陸失敗して炎上 ハワイで乗員1人死亡 これまでの事故率は?

軍事機の事故率が高いことは承知している。
オスプレイは既に普天間基地に配備されているが、再来年以降、東京の横田基地にも空軍のオスプレイが配備される計画がある。
周辺の自治体からは、「事故の状況や事故原因について国は、詳しい説明をしてほしい」などの意見が相次いでいる。
また、わが静岡県の東富士演習場でも訓練をしている。
周辺地域としては気に懸かる事故である。
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東京新聞5月19日

沖縄では17日に約3万5000人(主催者発表)が参加して米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を訴える県民大会が開かれたばかりである。
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 普天間飛行場には、今回の事故と同じ海兵隊仕様のMV22オスプレイが24機配備されており、市民は危険性を日常的に感じている。新垣県議は「政府は『大丈夫だ』と言うが、やはりオスプレイは安心できない。横田基地にオスプレイが配備されることになったが、訓練は沖縄で行われるに違いなく、基地負担は変わらない。県民の命が危なく、何としてでもオスプレイ撤去、辺野古移設断念を実現させなくてはならない」と語った。
オスプレイ事故:沖縄に衝撃 「やはり安心できない」県議

事故の原因を明らかにして説明することは当然だが、より安全なように改良を進めないと、地域住民の理解は得にくいと考えるべきだ。
ハワイとは異なり人家が密集している場所での演習等は、基本的に相応しくないのではないか。

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2015年5月18日 (月)

大阪都構想は否決された/日本の針路(161)

いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票はが17日に投票が行われたが、反対が70万5585票で賛成の69万4844票を上回った。
僅差であったが、この結果、「大阪都構想」は実現せず、今の大阪市がそのまま存続することになった。
大阪市の橋下市長が掲げ、5年にわたり議論が行われてき構想に決着がついたわけである。
他府のことではあるが、国政にも影響することになろう。

「大阪都構想」の論点は何だったのか?

 住民投票は、3月に府と市の両議会で承認された特別区設置協定書(都構想の設計図)に賛成するか反対するかが問われた。12年に議員立法で成立した大都市地域特別区設置法に基づくもので、投票率にかかわらず結果には法的拘束力がある。有権者は大阪市に住む20歳以上の約210万人で、住民投票としては過去最大規模だった。
 協定書では、17年4月に人口約270万人の大阪市を人口34万〜69万人の「北区」「湾岸区」「東区」「南区」「中央区」に再編すると定めた。各特別区の区長は選挙で選ばれ、予算編成権を持ち、定数12〜23の区議会も置くとした。大阪市の仕事のうち、都市計画やインフラ整備といった広域行政は府へ移し、東京都のように都市戦略を一元化。小中学校や保健所、生活保護など住民に身近な行政サービスは特別区が引き継ぐ仕組みだった。現在の24区役所は支所となって窓口サービスを担うとしていた。
 維新は都構想の実現を掲げて11年の大阪府知事・大阪市長のダブル選を制し、府市に専門部署を設けて協定書作りに着手した。昨年7月、法定協議会で反対派の委員を排除して維新単独で協定書を作成したものの、同10月の両議会で否決された。しかし、同12月の衆院選で維新が府内で比例第1党を確保したことを受け、公明党が住民投票の実施容認に方針転換。市民の投票で決着をつけることになった。
大阪都構想:否決…橋下氏「政界引退」市長任期後に 

論点の1つが府と市の二重行政の是非である。
大阪には、府立大学と市立大学がある。
それぞれ伝統的な名門大学であるが、カラーはだいぶ異なる。
橋下大阪市長は二重行政の解消の一環として、「両大学への府市からの交付金を一つにし、学部を再編して最大の投資効果を生み出す」と訴えてきた。

20150518_163919 
OSAKA都構想:/11 市立大と府立大の統合

まあ、両者の言い分に一理がある。
住民投票は、維新VS自民&公明&民主&共産という不思議な構図だった。
大阪以外ではほとんど考えられないだろう。
私は次の意見が面白いと思った。

制度設計に関して様々な批判等がありながらも、既得権を打破するために旧態依然とした制度そのものを変えるチャンスを失ったのは確かだろう。実行して間違えがあれば修正されればいいが、それさえもできない。制度というものは「ゼロ」と「1」では天と地との開きがあり、「ゼロ」となったことで二重行政を無くすチャンスを失ったと感じている。
・・・・・・
他にも指摘する方が多いが、今回の投票で注目すべきは、出口調査で示された世代別の投票行動である。70代以上の「反対」が他の世代に比べて際立ち、30代、40代が改革を求めていたという事実がそれ。福祉費の削減に怯える高齢世代が、他の世代に比べて反対に向かったのは容易に想像できる。
「福祉切り捨て」はいけない。だが「無い袖は振れない」状態であれば、「切り捨て」は許されないまでも、ある程度の「我慢」は必要なのではないかと思う。「我慢」しなかったため、結果として財政再建団体に転落するなどして「切り捨て」を余儀なくされる――これではいけないと思うが、現実の政治、選挙では受け入れられるのは難しい。それをハッキリ示したのが今回の投票結果だった。
誤解を恐れずに言えば、今回の投票は「70代以上」の世代が、明確に闘うことを他の世代に宣言、「宣戦布告」した格好になったと思う。一般的な「人を選ぶ」選挙でハッキリしなかったことが、大掛かりな「制度を選ぶ」選挙で白日の下さらけ出されたのである。政策における「世代間抗争」は、ある種タブーみたいな感じだったが、今後は政治の争点になる可能性が出てきた。
都構想の否定は残念に思うものの、それが明確になったことだけでも、今回の住民投票は意味が大きかったのではないか。
70代以上が「宣戦布告」・・大阪都構想投票結果で感じたこと 

考えたくないことだが、世代間戦争が始まるということだろう。
ちなみに世代別の投票行動は次のようであった。

20150518_150209
https://twitter.com/setsu_may/status/599933292645847040/photo/1

また地域別の様相は下図のようであった。
Photo
http://bbs68.meiwasuisan.com/news/1431906502/

一瞥して、南が反対多数、北が賛成が多めである。
北は年収が高く若い人が多く、南は年収が低い。
南は、生活保護を受けている人も多く、年齢層も高い。
大阪市における南北問題である。

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2015年5月17日 (日)

虚言総理は日本をどこへ向かわせるのか?/日本の針路(160)

安倍首相は、後世に「虚言総理」として名を残すのではないか。
箱根大涌谷の火山活動が心配されているが、川内原発の再稼働について、桜島などが御嶽山よりはるかに大規模に噴火した場合でも、安全性は確保されていると強調していた。

民主党・田城郁参院議員:「予知不能であったこの噴火は、自然からの警鐘として受け止めるべき。川内原発の再稼働を強引に推し進める安倍政権の姿勢を認めるわけにはいきません」
安倍総理大臣:「桜島を含む周辺の火山で今般、御嶽山で発生したよりもはるかに大きい規模の噴火が起こることを前提に、原子炉の安全性が損なわれないことを確認するなど、再稼働に求められる安全性は確保されている」
安倍総理は、「いかなる事情よりも安全性を最優先させ、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合した」と強調して、川内原発の再稼働に理解を求めました。
「大規模噴火でも川内原発は安全」 安倍総理

何を根拠にそういうことを言うのか。
中谷宇吉郎氏の名著『科学の方法』岩波新書(1958年6月)に、次のように書いている。

 もちろん科学は、非常に力強いものではあるが、科学が力強いというのは、ある限界の中での話であって、その限界の外では、案外に無力なものであることを、つい忘れがちになっている。いわゆる科学万能的なものの考え方が、この頃の風潮になっているが、それには、科学の成果に幻惑されている点が、かなりあるように思われる。
・・・・・・
 科学は再現の可能な問題、英語でリプロデューシブルといわれている問題がその対象になっている。もう一度くり返して、やってみることができるという、そういう問題についてのみ、科学は成り立つものなのである。
なぜ再現可能な問題だけしか、科学は取り扱い得ないかといえば、科学というものは、あることをいう場合に、それがほんとうか、ほんとうでないかということをいう学問である。それが美しいとか、善いとか悪いということは、決していわないし、またいうこともできないものである。

STAP細胞問題を経験した現在、再現可能性ということの重要性が再認識されたはずである。
地震とか火山という地学的な現象は、再現可能性の検証が難しい分野であり、軽々に論ずべき問題ではないことは改めていうまでもない。
田城議員の質問に対する答えにはなっていないが、自分の主観的事実しか信じないのだろう。

15日の国会答弁や安全保障関連法案を閣議決定した後の記者会見での発言も全く根拠がないと言わざるを得ない。
「法案が成立すれば日米同盟が強化され、抑止力が高まるとの持論を繰り返し、米国の戦争に巻き込まれることは絶対ない、とまで言い切った。
⇒2015年5月15日 (金):安倍首相が日本を破滅させる?/日本の針路(152)

私でもどうかと思う発言であるが、専門家から疑問が呈されている。

Photo琉球大法科大学院の高良鉄美教授(憲法学)は首相の発言に「一方的な見方だ。隣国にとって、日本が軍事力を高めることは脅威に映り、軍拡競争の口実になる」と指摘。「軍事力に頼りすぎるのではなく、外交努力による抑止力を強化すべきだ」と訴える。
 首相が言うように、米国の戦争に巻き込まれないのか。
 高良氏は「これまで憲法九条の制約で米国の要請を断ってきたが(法案が成立すれば)集団的自衛権を行使でき、拒否する理由がなくなる。米国の戦闘に巻き込まれるのが現実だ」と否定。「自衛隊が湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘に参加しない根拠は、十分に説明されていない」とも指摘した。
 軍事評論家の前田哲男氏も「集団的自衛権を解禁すること自体、巻き込まれる可能性を自然と高める。米軍の戦闘も後方支援するとしていて、巻き込まれないどころか主体的に関わろうとしている」と強調した。
 法案について、首相は武力行使に厳格な歯止めを定めたとも話している。
 しかし、高良氏は「密接な関係国から『集団的自衛権で助けて』と言われれば、政府は自衛隊を派遣する方向になる。歯止めは機能しない」と述べた。
 また前田氏は、日米同盟強化は抑止力を高めるとの首相の説明について「対抗する国々の警戒感が高まり、先制攻撃を誘発する可能性がある」として、かえって危険だと指摘した。
首相発言に専門家から疑問の声 同盟の強化、他国の攻撃誘発

首相が会見の冒頭で、70年前の不戦の誓いを守り続けると宣言したことも、詐欺的言辞であろう。
他衛のことを集団的自衛権と言い、戦争をする準備を積極的平和主義と言う。
新しい言葉を使うときには別の企みがあると考えるべきだろう。

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2015年5月16日 (土)

「五・一五」は体制批判に火を点けるか?/日本の針路(159)

1932年(昭和7年)5月15日、武装した大日本帝国海軍の青年将校たちが総理大臣官邸に乱入し、内閣総理大臣犬養毅を殺害した。
いわゆる「五・一五事件」である。
戦前の日本が戦争に突入して行く1つの画期になった事件である。
Wikipediaは、次のように解説している。

犬養首相は護憲派の重鎮で軍縮を支持しており、これも海軍の青年将校の気に入らない点だったといわれる。
・・・・・・
犬養首相は中華民国の要人と深い親交があり、とりわけ孫文とは親友だった。ゆえに犬養首相は満州地方への進軍に反対で、「日本は中国から手を引くべきだ」との持論をかねてよりもっていた。これが大陸進出を急ぐ帝国陸軍の一派と、それにつらなる大陸利権を狙う新興財閥に邪魔となったのである。犬養首相が殺されたのは、彼が日本の海外版図拡大に反対だったことがその理由とも考えられる。
本事件は、二・二六事件と並んで軍人によるクーデター・テロ事件として扱われるが、犯人のうち軍人は軍服を着用して事件に臨んだものの、二・二六事件と違って武器は民間から調達され、また将校達も部下の兵士を動員しているわけではないので、その性格は大きく異なる。同じ軍人が起こした事件でも、二・二六事件は実際に体制転換・権力奪取を狙って軍事力を違法に使用したクーデターとしての色彩が強く、これに対して本事件は暗殺テロの色彩が強い。

また、1972年(昭和47年)の5月15日に沖縄県が本土に復帰した。
1960年代後半のベトナム戦争に際しては、沖縄が最前線基地とされた。
それにより、駐留アメリカ軍は飛躍的に増加してアメリカ軍に関連する事件・事故も増加した。
Wikipediaはベトナム戦争との関連を地祇のように解説している。

ベトナムへの軍事支援を拡大させたケネディ大統領や、ケネディを継いでベトナム戦争を拡大させたリンドン・B・ジョンソン大統領は、沖縄返還を殆ど考慮しなかったが、1969年(昭和44年)の日米首脳会談で、ベトナム戦争の終結を公約にして大統領に当選したリチャード・ニクソンが、安保延長と引き換えに沖縄返還を約束し、これに基づき1971年(昭和46年)6月17日に沖縄返還協定が締結されたが、屋良や復帰賛成派の県民の期待とは裏腹に、アメリカ軍基地を縮小せず維持したままの「72年・核抜き・本土並み」の復帰が決定した。

復帰を記念し平和を願って歩く恒例の「5.15平和行進」の出発式が名護市辺野古に隣接する瀬嵩海岸で行われた。
515150516
東京新聞5月16日

沖縄県の翁長知事は、「沖縄の基地負担は軽減されないし、中軸になる基地が沖縄にあるので狙われる」と批判した。
17日午後1時から那覇市の沖縄セルラースタジアムで、 「戦後70年止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」が開かれる。
当日採択される決議案には、「道理と正義は私たちにある」と日米両政府に米軍普天間飛行場の閉鎖・撤去と新基地建設、県内移設断念の要求が盛り込まれる予定である。

大会に参加する予定の佐藤優氏は、東京新聞の「本音のコラム」欄の5月15日付で、『世界の沖縄人、団結せよ!』と呼びかけている。
わが国の変革は、マージナルな地域である沖縄から始まる予感がする。
安倍政権が、集団的自衛権行使を認めることを柱にした安全保障関連法案を衆院に提出した5月15日が、後世において、新たな「五・一五事件」と呼ばれることが杞憂で終わればいい。

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2015年5月15日 (金)

安倍首相が日本を破滅させる?/日本の針路(152)

まったく皮肉なことであるが、リーダーの手によってわが国はきわめて危険な状態に陥ろうとしている。
政府は14日、首相官邸で臨時閣議を開き、自衛隊活動の拡大を図る安全保障関連法案を決定した。
専守防衛を根幹としてきた安全保障政策の歴史的な転換だ。
安倍首相は記者会見し、「厳格な歯止めを掛けた」と強調したが、何の説得性もない。

首相は「戦争法案といった無責任なレッテルは全くの誤りだ」と反論し、かつての湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘に自衛隊が参加することは「今後とも決してない」と断言した。
またイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦への自衛隊の後方支援参加も「ありません」と否定した。

このような安倍首相の言葉に欺されてはいけない。
オリンピック招致の際の福島原発事故の汚染水問題に見るように、平然とウソをつける人間であることを忘れてはならない。
⇒2015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)
⇒2015年1月 5日 (月):福島原発事故による海洋汚染/原発事故の真相(124)
⇒2014年5月17日 (土):汚染水は完全にブロックされている?/原発事故の真相(113)

記者会見の内容について、フリー・ジャーナリストの志葉玲氏が批判している。

「それでもなお、『アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか』。漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。その不安をお持ちの方に、ここではっきりと申し上げます。そのようなことは絶対にありえません」
「自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは今後とも決してない、そのことも明確にしておきたいと思います」
第一次安倍内閣の際、安倍首相は国会でウソをつかれています。その貴方を信用しろというのは、なかなか難しいことです。具体的に言いますと、イラクに派遣された航空自衛隊の活動についてです。たとえば、平成19年04月24日・衆議院本会議で首相は、

「自衛隊がイラクにおいて行う人道復興支援活動等は、多国籍軍の司令部との間で連絡調整を行いつつも、その指揮下に入ることはなく、我が国の主体的な判断のもとに、我が国の指揮に従い、イラク特措法に基づき行われるものであるため、武力行使と一体化することはありません」「航空自衛隊は、人道復興支援活動として国連の人員、物資等を、また人道復興支援活動及び安全確保支援活動として多国籍軍の人員、物資を輸送しています」

と国会答弁していますね。
あたかも「人道復興支援」が中心のようにアピールされてきた航空自衛隊の活動ですが、その実態は「米軍の空のタクシー」でした。名古屋の市民運動家らの情報開示の求めに応じ、民主党政権交代後の2009年9月に防衛省が開示した、イラクでの活動実績によれば、航空自衛隊が輸送した人員の割合で「国連関係者」はわずか6%にすぎず、全体の6割以上が、米軍を中心とする多国籍軍関係者でした。当然、米兵達は銃火器で武装しており、そうした事実は記録にも残っています。
安倍首相、戦場ジャーナリストが安保法制閣議決定会見を赤ペンチェックしましたよ!

「アメリカの戦争に巻き込まれることが絶対になく、自衛隊が参戦することがない」のであれば、そもそも安保法制を変える必要がないではないか?
志葉氏は次のように指摘している。

ISILの前身である「イラクの聖戦アルカイダ」は、イラク戦争を支持し自衛隊を派遣したことから日本を敵視し、2004年10月にはイラクを訪れていた日本人旅行者の香田証生さんを星条旗の上で殺害しました。つまり、自衛隊が米軍の活動を支援することで、新たなリスクが発生する可能性は極めて高く、過去の事例からもそれは明白なのですが、首相はそうしたリスクを増大させる責任についてはご自覚されているのでしょうか?

またフリー・ジャーナリストの田中龍作氏は次のように書いている。

 安倍政権が今国会で繰り出す二つの法制度改悪が、日本を破滅の淵に追いやろうとしている。
 二つとは安保法制と労働法制の改悪だ。憲法9条をかなぐり捨て、日本人を戦争やテロに巻き込む。雇用を破壊し過労死をさらに増やす。まっとうな人々が生きていけなくなるのだ。
 安保法制の戦後最大の大転換が今夕、閣議決定された。日本が平和国家ではなくなった歴史的な瞬間だ。
 「もはや一国のみで、自国を守ることができない時代だ…」。安倍首相がマスコミを相手に演説をぶっていた頃、首相官邸前では戦争法案に反対する人々が抗議活動を繰り広げていた。 権謀術数を駆使して集団的自衛権を行使できるようにする法改悪に踏み切った安倍首相。官邸前の参加者の間でも批判と怒りが渦巻いていた。
 「安倍首相は(ISに処刑された)後藤さんのことを何も説明していない。遺骨奪還にあたっていたヨルダンの弁護士は真実を知っているので入国させなかった(※)」―
 町田市から足を運んだ女性(60代)は、安倍首相が人質事件を安保法制の改悪に利用したことを指摘した。
・・・・・・
「積極的平和主義の旗を高く掲げ、世界の平和と安定にこれまで以上に貢献してゆく」。安倍首相の美辞麗句をまともに信じている国民は、どれだけいるだろうか。
 「安倍晋三から日本を守れ」「安倍晋三から憲法を守れ」・・・官邸前に響くシュプレヒコールの方が、はるかに国民の声を代弁していた。
Photo
今国会で日本を壊す安倍政権 ~戦争編~

今や少数の例外を除いて、組織メディアが与党化・大政翼賛会化している中で、フリー・ジャーナリストは貴重な存在である。
私が少数の例外と考える東京新聞は次のように書いている。

 条文を素直に読めば自衛隊の存在を認めることさえ難しい。二十三万人弱の自衛隊員を抱え五兆円近い防衛予算を毎年使う日本の現状は九条の枠を超えてしまったようにもみえる。そして自衛隊は、最近二十年あまりの間、なし崩し的に海外に派遣されてきた。
 それでも自衛隊は、一度も人に向けて発砲せず、一人も殺さず、一人の戦死者も出していない。日本は、戦後七十年間、戦争に加わらなかった。九条の縛りがあったからこそ「戦わない」一線がぎりぎりで守られてきた。
 閣議決定された法案に目を向けてみる。「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」があれば、他国のために武力行使できるようになる。「根底から」とか「明白な」という抽象的な言葉が並ぶ条文を読み、政権のさじ加減で海外での武力行使が決まってしまい、地球のどこでも「戦える国」になりはしないかと心配になる。
 法案は十五日、国会提出され、その是非は国会議員に委ねられる。「戦える国」に踏み出すか。九条の縛りの中で踏みとどまるか。国会の論戦は、変質する平和主義の行方を決める。これまで安保法制の議論から外されてきた国会の存在意義が問われる。
 そして国会の議論では、国民主権そのものが問われる。主権とは、国のあり方を決める権力のこと。国会が主権者の考えと離れたことを決め、その結果、政権が「国のあり方」を思うままに変えられるようになれば、国民主権は形骸化してしまう。そのことを主権者である国民に選ばれた国会議員は忘れてはならない。私たち一人一人も、自分が主権者であることをしっかりと胸にとどめたい。
問われる国民主権

安保法制の成立を日本の国会に諮るより先に米議会で約束するといった本末転倒である。
幸いにして、戦前とは異なりインターネットがあることが救いである。

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2015年5月14日 (木)

安保法制の閣議決定に反対する/日本の針路(151)

安倍内閣は今日、安全保障法制を構成する11法案を閣議決定した。
新たな恒久法案を除く10本の改正法案を一括して、「平和安全法制整備法」との名称で15日に国会に提出する。
11本の法律を2本にまとめて審議するやり方に、野党は「束ねずに、一本一本時間をかけて審議すべきだ」などと反発している。

国会の外でも反対の声は次第に高まっている。
Photo_2
東京新聞5月14日

私は、次の「憲法変えるのやだネット長野」に寄せられた泥憲和氏のメッセージに全面的に同意する。

みなさん、我が国の総理大臣が発する言葉が、ほとんど嘘であるという事実を、私たちはどのように考えればよいのでしょうか。
「TPPに参加しません」といえば、それはTPPに参加するということ。
「原発汚染水はコントロール下にある」といえば、それは制御できないということ。
「消費税増税をすべて社会保障に」といえば、びた一文国民のために使わないこと。
「日本を守るための集団的自衛権」といえば、それは日本と無関係の戦争に参加すること。
自衛隊が海外に出ても、憲法の禁じる武力行使をしないと安倍総理はいいます。
しかし何者かに攻撃されたら反撃できるといいます。
反撃するけれどそれは武力行使ではないというのです。
簡単にいえば、単なる撃ち合いと武力行使は異なるというのです。

    安倍総理の発する言葉の絶望的な軽さに、戦慄せざるを得ません。 

みなさん、戦争はペテンから始まります。
安部総理は国民に訴えています。
「北朝鮮からミサイルが飛んでくるかも知れない。中国が尖閣諸島を取りに来るかも知れない。世界はテロに脅かされている。我々に危険が迫っている」と。

ナチスドイツのヘルマン・ゲーリングがこう語りました。

    「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。国民には我々が攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない」
・・・・・・

私の身の回りにも、今の状況を憂えている人は決して少なくない。
しかしそれが大きな声にならないのだ。
政治の言葉を信用しなくなったとき、国家は崩壊するであろう。

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2015年5月13日 (水)

東芝に何が起きているのか?/ブランド・企業論(35)

3月末決算の企業の決算発表の季節である。
しかし、東芝は5月8日、2015年3月期の業績予想を取り消して「未定」とし、期末配当を無配にすると発表した。
決算発表は6月以降に延期するという。

一般に上場企業は投資家に好感してもらおうと、なるべく早い開示を心がける。
ということを考えれば、東芝ほどの会社が決算発表を大幅に延期するというのは異常事態と言っていい。

東芝は昨年9月、15年3月期の連結営業利益が3300億円と過去最高を更新する見込みだと発表していた。
上場企業では売上高が10%、損益が30%、事前予想から変動する場合は開示することが求められる。
だが今回、東芝は「現時点で2014年度通期の業績予想を行うことが困難」だとして、「未定」としか開示しなかった。
であれば、損益が30%を越えて変動していると見るのが自然だろう。

金融庁は事業年度が終了して3カ月以内に、有価証券報告書を提出することを求めている。
東芝が延長申請しない場合、その期限は6月末である。
有価証券報告書の提出遅延が起きると、上場廃止基準に抵触する恐れがあり、監理銘柄に指定される可能性がある。
ググってみても、2015年3月期においては、提出期限遅延したのはJASDAQ銘柄に例があるが一部上場企業の例は見つからない。
6月末までに確定決算を発表できるのか?

東芝は、複数のインフラ関連工事で会計処理に問題があり、原価を過小に見積もっていたことが判明したため、と説明している。
外部の専門家で構成する第三者委員会を設置し詳細調査を進めるとしているが、問題は長期化する恐れがあるという見方もある。
第三者委員会の構成はまだ決まっていないが、東芝は「2週間以内をめどに設置する方針」としている。
第三者委員会の調査次第では、新たな問題が浮上する恐れも否定できない。

発表後、土日を挟んだ5月11日、東芝株はストップ安となった。
12日は続落で、13日小反発した。
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東芝のような日本を代表する企業がこのような有様とは信じがたい。
アベノミクスの行方にも影が差すのではないか。
もっとも、私はアベノミクスは実体のない幽霊のようなもので、金融緩和や公的年金まで動員した株高の演出による錯覚だろうと見ているのだが。
⇒2015年4月14日 (火):株価2万円のカラクリ/アベノミクスの危うさ(51)
⇒2015年4月 5日 (日):異次元金融緩和の効果と限界/アベノミクスの危うさ(50)

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2015年5月12日 (火)

安保法制の与党合意を憂う/日本の針路(150)

自民、公明両党は11日午後、安全保障法制に関する与党協議を国会内で開き、新しい安全保障法制を構成する11法案の内容で正式に合意した。
日本の防衛から「国際貢献」に至るまで「切れ目のない対応」を掲げ、自衛隊の海外での活動の内容や範囲をこれまでより一段と拡大する中身である。
「専守防衛」の理念のもとで自衛隊に課せられていた様々な制約が、取り払われることになる。
戦後の「国体」が変質するのか、純化するのか?

「国体」と言えばほとんどの人が国民体育大会のことを思い浮かべるだろう。
しかしデジタル大辞泉には次のような解説が載っている。

国家の状態。くにがら。
国のあり方。国家の根本体制。「―を護持する」
主権の所在によって区別される国家の形態。君主制・共和制など。
「国民体育大会」の略。

つまり国民体育大会という前に、国家の基本的な成り立ちを表す言葉である。
敗戦までは、その意味での「国体」が重要問題であった。
たとえば、昭和10年(1935)国会議員や軍部・右翼が美濃部達吉の天皇機関説を国体に反するとして攻撃した国体明徴運動では、政府は美濃部の著書3冊を発禁にし、国体明徴声明を出した。
言論・学問の自由を圧殺した象徴的事件である。

戦後、「国体」は変わったのか否か?
さまざまな見方があるだろうが、それは憲法観と不可分である。
とりわけ第9条がプリズムとなって、スペクトルに分かれると言える。

私は現行憲法を不磨の大典とは考えない。
しかし現在の与党が企図している改憲には反対である。
与党合意の内容は以下の通りである。
Ws000001
「専守防衛」変質 安保法制11法案、自公合意

関連法案は、集団的自衛権の行使容認を含む計10本の現行法をひとまとめに改正する「平和安全法制整備法案」と、他国軍の戦闘の支援を目的とした自衛隊の海外派遣を随時可能とする新法「国際平和支援法案」で構成する。
これまで日本周辺の有事などで活動する米軍への支援内容を定めていた「周辺事態法」も、「重要影響事態安全確保法」に改称し、地理的な制約を撤廃。自衛隊の活動範囲を「現に戦闘が行われている現場」を除く地域まで広げ、憲法に抵触する恐れがあった弾薬提供を解禁。米軍以外への支援も可能とする。
国際平和支援法案は、日本の安全に直接影響がないものの、国連決議に沿って軍事行動する他国軍への自衛隊の支援を随時可能にする。
「戦争ができる国=し続けなければいられなくなる国」へ大きく一歩を踏み出したことになる。
⇒2014年10月14日 (火):経済政策の自壊と暴走政権の行方/アベノミクスの危うさ(40)
⇒2015年2月24日 (火):歴史に学ばない浅慮の安倍首相/日本の針路(111)

安倍首相の米議会での演説は、アメリカへの忠勤を表明するものだから、スタンディング・オベーションを受けるのも当然であろう。
アメリカの属国化の深化であり、安倍首相の言う「美しい国」の実体である。
⇒2015年2月15日 (日):「美しい属国」化により歴史に名を残す安倍首相/日本の針路(107)

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2015年5月11日 (月)

西村康稔副大臣の発言撤回のお粗末/日本の針路(149)

このところ自民党の中堅どころのお粗末さが目立つ。
山本一太氏の首相ツイッター成りすまし騒ぎがあったばかりである。
⇒2015年5月 4日 (月):安倍首相のツイッター成りすましの喜劇/日本の針路(145)

今度は西村康稔内閣府副大臣が、TPP条文案を公開する方針という発言を舌の根が乾かないうちに撤回した。

テレビ朝日系(ANN) 5月5日(火)11時54分配信
 ワシントンを訪問している西村康稔内閣府副大臣は、大詰めを迎えているTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉内容を示す条文案を国会議員が来週にも閲覧できるようにすると明らかにしました。
 内閣府・西村康稔副大臣:「交渉が最終段階にきているのが一つと、USTR(米通商代表部)もそういう運用(閲覧)をしているということもあり、我々も国会で相当、いろんな形で求められてきてますので」
 西村副大臣は、閲覧した国会議員への守秘義務などのルールを定めたうえで、来週にも閲覧を認める考えを示しました。
Tpp2
TPP交渉の秘密条文案、来週にも国会議員に開示へ!守秘義務などのルールを定めたうえで閲覧許可!

私はTPPが秘密裏に交渉が進められていることに不審感を抱いている。
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーへの参加問題については、情報開示が不十分などの理由で見送ったのに比し、ダブルスタンダードではないのか?
結局、対米従属政権ということではないのか?

だから、西村副大臣の方針を、「オヤッ」と思って聞いたのだが、7日に発言を撤回した。
議員の閲覧を認めている米国とは制度が違うことが理由だという。
日米の制度上の違いなど最初から分かっていたはずである。
4日の発言については「真意が伝わっていなかった」と釈明したが、真意が伝わらないも何も誤解のしようの無い内容である。

TPP交渉参加国は「交渉に横やりが入るのを防ぐ」(関係者)ため、守秘義務契約を結んでいるが、交渉が最終局面に差しかかる中、情報開示を求める声は強い。
民主、維新両党は今国会でTPPなどの情報公開法案を共同提出している。
甘利明TPP担当相は8日の会見で「各国の状況も精査しながら頭の体操をしたい」と述べた。

甘利大臣は情報開示に消極的だが、この「頭の体操」という言い方も、「粛々と」と同じように余り感じのいい言葉ではない。
単にシミュレーションしてみるということだろうが、「体操などしている場合か!」と言いたくなる。
それにしても敵失が続くというのに、野党は迫力がない。

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2015年5月10日 (日)

事件記者イナちゃん・滝田裕介/追悼(68)

優の滝田裕介さんが今月3日、がんのため、横浜市内の病院で亡くなった。
早稲田大学の演劇科を中退後、劇団俳優座の養成所2期生となる。
同期には小林昭二、明夫、武内亨、土屋嘉男、横森久などがいた。

私は、テレビドラマ「事件記者」のイナ(伊那)ちゃんの役の記憶が残っている。
「事件記者」は、昭和33(1958)年から39(1964)年に変えてNHKで放映された。
警視庁を舞台に取材合戦を繰り広げる新聞記者たちの姿がいきいきと描かれていた。
私の友人にも、新聞記者になった男がいるが、多分「事件記者」の影響を受けていたと思われる。

当時の映像をあるサイトから引用する。

Photo
左からイナちゃん、べーさん、アラさん、スガちゃん、ヤマさん、カメちゃん、みんな思いっ切り若いですよね-と言ってもわかる人は少ないかも。
事件記者非公式ファンサイト

何とも懐かしいが、アーカイブされていれば、見たいものだ。
当時の出演者はほとんど亡くなっている。
Wikipedia-事件記者では、つぎのように紹介している。

警視庁詰めの新聞記者が所属する「警視庁桜田クラブ」と「居酒屋ひさご」を舞台に、激しい取材合戦を続ける事件記者たちの活躍を描いた群像劇である。
作者である島田一男が、NHKから警視庁を舞台とした脚本の依頼を受けた時、すでに警察内部を題材にした脚本を数本書いていた。そのため、残っている題材は警視庁詰め記者くらいしかなかった。しかし、自身が新聞記者出身である事から、記者時代の経験を生かした形で、知っている記者や事件を思い出しながら書くことができたと島田自身が語っている。数多くのレギュラー記者には、それぞれモデルがいるという。
新聞記者という、当時花形の職業を題材にしたドラマは大ヒットし、1966年まで8年続く人気ドラマとなった。 このドラマを見ていた少年が、ドラマに感激してNHKの事件記者になったのだが、その少年こそジャーナリストの池上彰である。

あの池上さんも「そうだったのか!」。
坪内美詠子が演じたひさごの女将・おチカさんは、イナちゃんの義母だったことを改めて知った。
知的な印象を持つ俳優だった。
合掌。

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2015年5月 9日 (土)

箱根の変異を他山の石とせよ/日本の針路(148)

箱根山の火山活動が活発化している。
とうとう具体的な地形の変化が観測された。

 国土地理院は8日、火山活動が活発化している箱根山(神奈川県)の大涌谷(おおわくだに)で、直径200メートルの範囲が最大6センチ程度隆起したとする解析結果を公表した。これまで箱根山の膨張を示すデータは得られていたが、地球観測衛星「だいち2号」による観測データにより隆起の範囲と程度が具体的にわかった。
 国土地理院宇宙測地課の和田弘人(こうじん)課長は「隆起の範囲が狭いことから、地下の浅いところで地殻変動が起きている可能性がある」と話す。箱根山の火山活動を観測している神奈川県温泉地学研究所の竹中潤研究課長は「隆起している範囲は強い噴気が出ているところなので、地下の圧力が高まった結果ではないか」と指摘する。
箱根山の大涌谷、最大6センチ隆起 「だいち2号」観測

昨年9月の長野・岐阜県の御嶽山噴火以後、全国から火山活動活発化のニュースが相次いでいる。
熊本県の阿蘇山や山形・福島県の吾妻山、山形・宮城県の蔵王山、鹿児島県の桜島などである。
東日本大震以後、地殻変動は北海道が西へ、関東から四国の太平洋側が北西へ移動する一方、東北地方は東へ移動する形で続いている。という。
火山についても分かっていないことが多く、予知は不可能である。

Photo_2 箱根山は約40万年前に火山活動を始めたと考えられている。
約3千年前には火砕流の発生や溶岩ドームができる大噴火があり、芦ノ湖や大涌谷ができた。
12~13世紀には大涌谷で水蒸気爆発がおき、火山ガスなど熱風が吹き付ける火砕サージが発生した。
  今回の群発地震は、大涌谷から噴出する水蒸気の勢いが増しているのが特徴だ。箱根山の観測をする神奈川県温泉地学研究所は、地下10キロ付近にたまっているマグマが熱水を地表に向かって押し上げているとみている。熱水を押し上げる圧力で地表に近い岩盤が割れて地震が起きた。山の傾きを測る傾斜計も山が膨張する方向に変化している。
  気象庁は5日夜の地震が深さ5キロと通常より深い場所で起きたことで、これまでとは違う活動が起きている可能性があるとして警戒レベルを2に上げた。
箱根山、地下で何が 勢い増す噴気

私たちは、地球について知らないことが余りにも多いのだ。
そんな中で川内原発を再稼働させようという政府・電力会社の思考を疑う。

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2015年5月 8日 (金)

長州藩が朝敵となった戦い・蛤御門(禁門)/京都彼方此方(9)

NHKの大河ドラマ『花燃ゆ』は、松蔭が主人公の第一幕から、いよいよ松蔭亡き後の幕末の動乱期に変わったところである。
そうなれば、京都舞台の比重も高まるのではないか?

去年の11月、TVで永観堂の紅葉を映していたのを観て、「そうだ 京都、行こう」とJR東海のコピーに乗せられたような気持ちになった。
行きたいとなると、是が非でも行ってみたくなる性分で、三島始発の朝一番のこだまで出かけた。
発症以降ムリはしないという基本方針ではあるが、インターネットで宿を探し、奇跡的に1部屋を確保できた。

その宿が、京都ガーデンパレスというホテルで、御所の禁門(蛤御門)のすぐ前であった。
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その時は、大河ドラマのことなど頭になく、朝広々とした御所の中を丸太町まで歩いた。
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いずれ放映されるであろうが、『花燃ゆ』の主人公・文の結婚した久坂玄瑞が戦闘に倒れた「禁門(蛤御門)の変」が戦われた場所である。

前年の八月十八日の政変により京都を追放されていた長州藩勢力が、会津藩主・京都守護職松平容保らの排除を目指して挙兵し、京都市中において市街戦を繰り広げた事件である。畿内における大名勢力同士の交戦は大坂夏の陣(1615年)以来であり、京都市中も戦火により約3万戸が焼失するなど、太平の世を揺るがす大事件であった。
大砲も投入された激しい戦闘の結果、長州藩勢は敗北し、尊王攘夷派は真木保臣ら急進的指導者の大半を失ったことで、その勢力を大きく後退させることとなった。一方、長州掃討の主力を担った一橋慶喜・会津藩・桑名藩の協調により、その後の京都政局は主導されることとなる(一会桑政権も参照)。
禁門の変後、長州藩は「朝敵」となり、第一次長州征討が行われるが、その後も長州藩の政治的復権をねらって薩長同盟(1866年)が結ばれ、四侯会議(1867年)においても長州藩処分問題が主要な議題とされるなど、幕末の政争における中心的な問題となった。
「禁門の変」あるいは「蛤御門の変」の名称は、激戦地が京都御所の御門周辺であったことによる。蛤御門は現在の京都御苑の西側に位置し、今も門の梁には弾痕が残る。
Wikipedia-禁門の変

戦いに敗れた長州藩は、御所に向かって発砲したことなどから朝敵となった。
長州藩兵は履物に「薩賊会奸」などと書きつけて踏みつけるようにして歩いたといわれる。
現在でも、会津と長州には確執があるというが、そんなことはないという人もいて、まあ人それぞれだろう。
観光のためのヤラセの部分が大きいようだ。

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2015年5月 7日 (木)

報道の自由と外国特派員協会/日本の針路(147)

安倍政権の露骨な報道干渉により日本のメディアが萎縮していることは、多くの人が感じていることであろう。
特に、テレビ朝日の『報道ステーション」のゲストコメンテーター・古賀茂明氏の発言に対して、あからさまな圧力を加えている。
圧力側は、そういう事実は全くないというが、イジメをしている人間が、「私はふざけていただけで、〇〇君も遊びに加わっていた」などと言うようなものである。
⇒2015年4月19日 (日):圧力、イジメ、ハラスメント/日本の針路(139)
⇒2015年4月16日 (木):タガが外れた自民党の言論抑圧/日本の針路(138)

古賀氏は、圧力の存在を次のように語っている。

 古賀氏は先月27日の生放送中に突然、自身の降板について触れ、「菅(義偉)官房長官をはじめ、官邸にはものすごいバッシングを受けてきた」と発言した。真意について朝日新聞の取材に応じ、「(テレビ局側に)政府批判を自粛するムードが広がっている。背後には政権与党の(テレビ局への)圧力と懐柔があると考えている。この二つを伝えたかった」と語った。

 「圧力」とは、首相がフェイスブックで民間人を非難したり、政治家が「放送法」を持ち出してメディアを牽制したりすることなどを指すという。
 古賀氏によると、第一に権力が圧力と懐柔でマスコミを抑え、第二にマスコミのトップが戦わなくなり組織全体として自粛し、第三に、現場の記者らが問題意識さえなくしてしまうとして、「今は第三段階の入り口まできており、危機感を抱いている」と話した。
 実際、政権側がテレビ局に注文を付ける例がこの半年で相次いでいる。自民党は昨年11月、報ステのアベノミクスの取り上げ方を問題視し文書で「公平中立」を求め、NHKと在京民放キー局にも衆院選報道での街頭インタビューに偏りがないようになどと注文を付けた。
 古賀氏の放送での発言に対して菅官房長官は記者会見で「事実無根」と反論し、「放送法という法律があるので、まずテレビ局がどう対応されるかを見守りたい」と述べた。
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「放送法」でTV局を牽制 そもそもの理念は?

首相のアカウントのフェイブックでの個人攻撃については下記で触れた。
⇒2014年11月27日 (木):続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)
⇒2015年1月14日 (水):LOHASと「早送り」/日本の針路(97)
⇒2015年2月21日 (土):反知性主義的なネトウヨ・安倍首相/日本の針路(109)

先日は首相のアカウントを山本一太総裁ネット戦略アドバイザーが代理運用していることが、誤投稿というSNSにあるまじきミスでばれてしまったところである。
⇒2015年5月 4日 (月):安倍首相のツイッター成りすましの喜劇/日本の針路(145)

テレビ事業は、総務大臣に放送免許を与えられ、5年に1度は更新がある。
許認可権を持つ政権が放送内容に口を出せば、メディアへの圧力となって萎縮を生み出すことは当然である。萎縮したりするのは情けないとは思うが、許認可権を握られていれば止むを得ないだろう。
国民が、権力側の介入に厳しい目を持たなければなるまい。

そんな状況の中で、日本外国特派員協会(FCCJ)が、「いま日本では報道の自由が脅かされている」として「報道の自由推進賞」を設けた。「世界報道の自由デー」にあたる5月3日に各賞の受賞者を発表した。
受賞者として以下が選ばれているのは我が意を得たりという感じであるが、逆に見れば日本の報道の危機的状態を表しているとも言える。

『報道の自由の友』 
報道の自由を促進する運動に取り組む法律家、活動家、内部告発者に贈られる―
・古賀茂明氏(元経産官僚)
表現の自由を抑圧しようとする官邸に対する批判と東京電力に絡む政治や産業界に関する鋭い洞察が評価された。
『年間最優秀出版賞』 
出版あるいはウェブ上で公開された、優れた調査報道に贈られる―
・東京新聞
原発問題、政治スキャンダル、汚職、報道の自由に関する優れた調査報道を継続的につづけた。

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2015年5月 6日 (水)

韮山反射炉と保存活動/技術論と文明論(25)

嘉永6(1853)年のペリー来航により、長らく鎖国を続けてきた日本は外国の脅威にさらされることになった。
江戸湾海防の実務責任者となった江川英龍(坦庵)に対して、幕府は江戸内湾への台場築造と平行して、反射炉の建造を許可した。
英龍は反射炉の築造に取り組んだが、竣工を見ることなく病死し、後を継いだ英敏は、佐賀藩に応援を求め、技師の派遣等を得て安政4年(1857)11月に完成させた。
⇒2011年2月19日 (土):大仁神社と大仁梅林

それから150年以上を閲するが、「明治日本の産業革命遺産」の構成施設の1つとして、世界遺産への登録が勧告された。
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東京新聞5月6日

私は小中学校時代の社会科見学等から始まって何回となく訪れている。
しかし長らくその歴史的価値を知らないできた。

150年余の間には崩壊の危機もあった。
1930(昭和5)年の北伊豆地震では煙突の崩壊があった。
地震を起こした丹那断層は、国指定の天然記念物になっており、断層のずれが明瞭に現れた箇所は断層公園として保存されている。
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産業遺産というのは役割が終えれば取り壊されるのが普通であるが、韮山反射炉は地元の保存活動によって、現在もその姿を保っている。
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世界遺産に登録されればより厳しい保全が要求されるだろうが、先ずはお祝いをしたい。


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2015年5月 5日 (火)

川内原発再稼働に関する鹿児島地裁判断批判/日本の針路(146)

日本列島がこれほど不穏な動きを見せているのは記憶にない。
東日本大震災は別としても、御嶽山噴火や、桜島、阿蘇山も活性化している。
先日は知床半島で海底が隆起したが、箱根山も活発な動きを示している。

気象庁が5月3日、箱根山の大涌谷(おおわくだに)付近で地震が増えていると発表した。規模の小さな水蒸気が突発的に噴き出す危険性があるため、箱根町は4日から大涌谷周辺の遊歩道「大涌谷自然研究路」を大涌谷の直径約300メートルの範囲で、周辺のハイキングコースも半径3キロの範囲で、それぞれ閉鎖した。
・・・・・・
大涌谷を見渡せる観光施設には4日も大勢の観光客が訪れているが、周辺の半径およそ3キロの範囲にある登山道やハイキングコースを閉鎖。一方で、それ以外の箱根の観光施設や温泉などは、規制の範囲に含まれていないため、ロープウェイや自動車道への影響はない。
大涌谷付近で火山性地震が多発 気象庁は原因を何と説明した?

GWだけど、箱根には近寄らない方が安全だろう。
観光関連の仕事をしている人には申し訳ないが、減災というのは先ず個人がそういう気持ちになることが重要だろう。
この点、地震や火山噴火などは実験不能というハンディキャップを負っている。
つまり理論の多くが有力な仮説に留まっていると見なされる。
プレートテクトニクスでさえそうである。
予測が可能になった時点で初めて物理や化学と同じ土俵に立つといえるが、ほとんど不可能であろう。

ピエール=シモン・ラプラス(Pierre-Simon Laplace, 1749年3月23日 - 1827年3月5日)は、これから起きるすべての現象は、これまでに起きたことに起因すると考えた。
ある特定の時間の宇宙のすべての粒子(原子のこと)の運動状態が分かれば、これから起きるすべての現象はあらかじめ計算できるという究極の決定論である。
このように未来を見通すことができる存在を、「ラプラスの悪魔」という。
しかし、ラプラスの死後登場し、現代科学の基礎となっている量子論は、ラプラスの考え方を否定するものであろう。

裁判員制度は、司法判断に市民感覚を導入することが目的だった。
原発再稼働の問題は、科学的知見は参照するが、判断は全く別問題である。

火山の中にある原発を稼働させるべきか否か?
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東京新聞5月5日

こういう場合にも市民感覚が重要であると思う。
市民感覚とは、いわゆるリベラルアーツを備えた判断である。

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2015年5月 4日 (月)

安倍首相のツイッター成りすましの喜劇/日本の針路(145)

山本一太自民党総裁ネット戦略アドバイザーが、安倍首相のアカウントに誤って投稿してしまった。
安倍首相が訪米中にもかかわらず、「政府専用機より一足先に到着する予定。空港で総理を出迎える。」と意味不明の投稿があったのだが、山本氏がまったく同じ投稿をしていたことや、首相のアカウントの投稿に山本氏自身の写真が写っていることから、誤投稿であることがすぐに分かった。
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安倍首相のツイッターで誤爆!

山本氏は代理投稿していたことを認め誤操作を謝罪したが、氏が「ネット戦略アドバイザー」だけに笑えない誤投稿だ。
なりすましについては「ツイートは総理自身の言葉。本人がツイートする時間がなかなか取れないので、代わりに投稿している」と明かしているが、単なる誤りで済ませる問題かどうか?

著書などでゴーストライターがいるのは常識である。
演説文もスピーチライターがいる。
安倍首相の場合は、優秀なスピーチライターだと評判であり、首相は間の置き方等も忠実に守っているらしい。

SNSは基本的にパーソナルな情報であることを前提としている。
首相自身が自分の言葉でないとしたら、やはりこの国の偽装体質の根は深い。

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2015年5月 3日 (日)

九州王朝は存在したのか/やまとの謎(101)

日本(以外は良く分からないが)の古代史には謎が多すぎる。
それは『古事記』や『日本書紀』の記載内容に虚偽があるのではないか、ということは多くの人の指摘するところである。
⇒2007年9月 6日 (木):偽装の原点?

「日本古代史の謎」に関する書籍も汗牛充棟という感じで出版されている。
Amazonで「日本古代史の謎」と入力すると以下のようなものが出てくる。
・瀧音能之『日本古代史の謎)』 宝島SUGOI文庫(2015年5月)
・恵美嘉樹『最新 日本古代史の謎 』学習研究社 (2011年6月)
日本の歴史研究班編『日本古代史の謎とミステリー』(リイド社歴史PAPERBACK(2008年8月)
・澤田洋太郎『日本古代史の謎を解く―『記・紀』に秘められた真実 』新泉社 (2004年12月)
・・・・・・

類書は多数あるので止めるが、あるサイトに次のような「謎」が列挙されていた。

「神武天皇」、「邪馬台国と卑弥呼」、「邪馬台国とヤマト政権の関係」、「三角縁神獣鏡」、「七支刀の謎」、「高句麗好太王の碑文」、「応神の出自」、「倭の五王と百済武寧王」、「継体と筑紫君磐井」、「任那の滅亡と任那日本府」、「隋書俀国伝と聖徳太子」、「蘇我と物部」、「乙巳の変と大化の改新」、「藤原鎌足の出自」、「天智が長い間、天皇に即位しない謎」、「百済の滅亡と白村江」「若草伽藍と法隆寺の謎」、「筑紫君薩野馬とはだれか」、「壬申の乱の謎」、「天智と天武は実の兄弟か」、「持統と草壁」、「高市皇子と弓削皇子」、「新益京(藤原京)遷都の謎」、「文武天皇の出自」、「日本国号の謎」、「藤原不比等の出自」、「竹取物語(筑紫物語)の謎」、「元明と不改常典」、「平城京遷都と女帝」、「長屋王木簡と長屋王の変」、「藤原広嗣の乱と聖武の遷都」、「橘奈良麻呂の乱」、「光明皇后と藤原仲麻呂」、「称徳と道鏡」、「井上内親王と他戸親王の失脚」、「「桓武の平安京遷都と郊祀の謎」、「京都泉涌寺の位牌の謎」、「古事記と日本書紀の謎」「日本書紀と続日本紀の謎」「九州年号の謎」「4世紀、5世紀の謎」
九州王朝説は嘘っぱちといわれてますが、実際・・・

中国の史書『旧唐書』には、倭国伝と日本国伝との書き分けがなされている。
つまり2つは別国という扱いである。
「倭国」についての『旧唐書』の記載の趣旨は「唐の時代の倭国は昔の志賀島から出土したとされている「漢委奴国王」を授与された後漢時代の倭奴国王であり、倭国王帥升であり、魏の時代には卑弥呼・壱与が、又続いて南北朝時代は倭の五王の朝貢があり、隋に到って俀国王の多利思北孤がいて、ずっと中国と通じてきた」というものである。
倭国と日本国

一方、「日本国」についての記述は、先ず、「日本国は倭国の別種なり」とし、次のように説明している。

1、その国日辺にあるを以って、故に日本を以って名となす。
2、或いは云う、倭国自らその名の雅ならざるを悪に、改めて日本となすと。
3、或いは云う、日本は旧小国、倭国の地を併せたりと。
~~
「その国の界、東西南北各々数千里あり、西界南界は咸な大海至り、東界北界は大山ありて限りをなし山外は即ち毛人の国なりと」
倭国と日本国 

これらを併せて、下記のような図が提示されている。
Photo_4
倭国と日本国 

どうやら九州王朝説の評価がカギのようである。
⇒2015年4月27日 (月):大宰府と太宰府/「同じ」と「違う」(85)
状況証拠は九州王朝説に理があるように見えるが・・・。

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2015年5月 2日 (土)

「倭」から「日本」へ/やまとの謎(100)

自民党の三原じゅん子という参議院議員が、「八紘一宇」という言葉を、日本の建国以来の国是だと言った。
⇒2015年3月18日 (水):確信的「無知」の「無恥」・三原じゅん子/人間の理解(10)

森喜朗元首相が小渕元首相の急死により、首相に就任した直後の2000年5月15日に神道政治連盟国会議員懇談会で言った「日本の国、まさに天皇を中心とする神の国であるぞ」をも上回るアナクロ発言であるが、首相の発言ではない故か、あまり問題にされていないようである。
あるいは、この間に日本社会の空気が変わったのであろうか。
実際、4月23日付の「産経ニュース」として、『【葛城奈海の直球&曲球】「八紘為宇」なる建国の理念 三原じゅん子議員発言を批判する者はまず勉強せよ』という記事が載っている。
⇒2015年4月24日 (金):皇国史観の先走り批判/日本の針路(141)

さて、三原じゅん子氏は、何を以て「日本の建国」と考えたのか?
真意は不明であるが、文脈からして、初代天皇の神武天皇の即位の時としていいだろう。
敗戦までの「紀元節」の根拠である。

以下、Wikipedia-紀元節により、制定の経緯を見てみよう。

明治5年11月15日(1872年12月15日)、明治政府は神武天皇の即位をもって「紀元」と定め(明治5年太政官布告第342号)、同日には「第一月廿九日」(1月29日)を神武天皇即位の相当日として祝日にすることを定めた(明治5年太政官布告第344号)。
1873年(明治6年)10月14日、政府は、新たに神武天皇即位日を定め直し、2月11日を紀元節とした(明治6年太政官布告第344号)。
2月11日という日付は、文部省天文局が算出し、暦学者の塚本明毅が審査して決定した。

その具体的な計算方法は明らかにされていないが、当時の説明では「干支に相より簡法相立て」としている。
相当に根拠の薄い算定ということであろう。

それは措くにしても、神武天皇は、「記紀」に記載されてはいるが、実在したか否かが論争になっている天皇である。
まあ、実在してもしなくても、そういうココロだと言われれば、それまでのことであるが。

しかし私は、母国のルーツについてはもう少し真面目に考えたいと思う。
いにしえの「倭国」がいつ「日本国」になったのか?
つまり「日本」という国号をいつから使い始めたのか?

これについても諸説あるようである。
Wikipedia-日本では、次のように説明されている。

『旧唐書』・『新唐書』が記すように、「日本」国号は、日本列島を東方に見る国、つまり中国大陸からの視点に立った呼称である。平安時代初期に成立した『弘仁私記』序にて、日本国が中国に対して「日の本」、つまり東方に所在することが日本の由来であると説明され、平安時代に数度に渡って行われた『日本書紀』の講読の様子を記す『日本書紀私記』諸本においても中国の視点により名付けられたとする説が採られている。
日本では、大和政権が統一以降に自国を「ヤマト」と称していたようであるが、古くから中国や朝鮮は日本を「倭」と呼んできた。石上神宮の七支刀の銘や、中国の歴史書(『前漢書』『三国志』『後漢書』『宋書』『隋書』など)や、高句麗の広開土王の碑文も、すべて倭、倭国、倭人、倭王、倭賊などと記している。そこで大和の代表者も、外交時には(5世紀の「倭の五王」のように)国書に「倭国王」と記すようになった。
しかし中国との国交が約120年に渡って中絶した後、7世紀初期に再開された時には、『日本書紀』に「東天皇」、『隋書』に「日出処天子」とあり、倭を自称することを避けるようになっていたらしい。中国側では『旧唐書』の「東夷伝」に初めて倭国と日本国とを併記し、「日本国は倭国の別種なり。其の国、日の辺に在るを以ての故に、日本を以て名と為す」「或いは曰く、倭国自ら其の名の雅ならざるを悪(にく)み、改めて日本と為す」「或いは曰く、日本は旧(もと)小国、倭国の地を併す」のように、倭から日本に変わった理由を紹介している。
この7世紀には、遣隋使に続いて遣唐使がしばしば派遣されているが、いつから「倭」に変えて「日本」を国号と変えたのかは明らかでない。使者の毎回の交渉について詳しく記述している『日本書紀』も、8世紀に国号としての日本が確立した後の書物であり、原資料にあった可能性のある「倭」の字を、国号に関する限りすべて「日本」と改めている。それ以外の文献では、733年(天平5年)に書かれた『海外国記』の逸文で、664年(天智3年)に太宰府へ来た唐の使者に「日本鎮西筑紫大将軍牒」とある書を与えたというが、真偽は不明である。結局確かなのは『続日本紀』における記述であり、702年(大宝2年)に32年ぶりで唐を訪れた遣唐使は、唐側が「大倭国」の使者として扱ったのに対し、「日本国使」と主張したという。『旧唐書』の「東夷伝」の記事も、この日本側の説明に基づいているようである。

つまり、702年(大宝2年)には、「日本国」という認識があったようである。
しかし、「いつから「倭」に変えて「日本」を国号と変えたのかは明らかでない」というのが一般的なところと言えよう。
三原じゅん子氏や葛城奈美氏の意見は、根拠がない空論というものであろう。

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2015年5月 1日 (金)

営業運転終了による廃炉に伴う諸問題/日本の針路(144)

原発は運転することにより発生する高レベル放射性物質(使用済み核燃料、いわゆる死の灰)の処理方策が未解決の問題である。
そういう状態で再稼働をs急ぐのは無責任の極みであろう。
同時に、営業運転を終えた原発の廃炉に関しても未解決の問題が存在する。
原発は原則として40年で廃炉になるが、解体・廃炉作業で出る低レベル放射性廃棄物の捨て場所がないのだ。

Photo 九州電力は27日で、運転開始から10月で40年を迎える玄海原発1号機(東松浦郡玄海町)を廃止とした。放射性廃棄物の処理先は未定のままで、廃炉に伴う原発関連交付金の減少などで立地自治体の財政的影響は大きく、課題は山積している。九電は「廃止へのプロセスを具体的に検討して、住民の安全確保に努めたい」としている。
 廃炉作業は30年以上かかるとされ、九電は廃棄物を19万3800トンと試算している。このうち2680トンに上る放射性廃棄物の処分先や方法は決まっていない。処理方法などを盛り込んだ廃止措置計画を本年度中に策定し、原子力規制委員会に申請する。
 廃炉により発電施設は資産とみなされない。これまでは損失217億円を一度に計上する必要があり、業績悪化が懸念されていた。政府の負担軽減策で損失を10年かけて分割処理できるようになった。
 また立地自治体への財政的な影響もある。原子炉の出力などに応じ「核燃料税」を独自に課税している佐賀県は5億2千万円の減収を見込む。玄海町も発電量などで計算される国の交付金などが減り、来年度は少なくとも約4億5千万円が減少するとみている。
九電 玄海原発1号機廃止 運転40年廃棄物処理など課題 

4月27日に、 関西電力美浜原発1、2号機(福井県)、九州電力玄海原発1号機(東松浦郡玄海町)、日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県)が廃炉になった。
また、中国電力島根原発1号機(島根県)も30日付で廃炉になった。
これから本格的な廃炉時代が始まる。
しかし、原発を解体する過程で出る大量の低レベル放射性廃棄物の処分地が決まってないのだ。

使用済み燃料を再利用し、純国産エネルギーとして扱いながらエネルギー供給ができる、というエネルギー安全保障の利点は、見果てぬ夢ということだろう。

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