両陛下がパラオに慰霊のため訪問/日本の針路(133)
天皇、皇后両陛下が、太平洋戦争の犠牲者を慰霊するため、8日午前、羽田発の民間チャーター機でパラオ共和国に向かった。
戦後70年にあたり、かねて訪問を強く希望していたものだ。
戦後60年のサイパンに続く、慰霊のための外国訪問となる。
東京新聞4月6日
パラオ(パラオ共和国は、太平洋上のミクロネシア地域の島々からなる国である。
第一次世界大戦の戦後処理をするパリ講和会議によって、パラオはドイツの植民地支配を脱し日本の委任統治領になった。
コロールには南洋庁及び南洋庁西部支庁(パラオ支庁)が置かれ、パラオは周辺諸島における植民地統治の中核的な島となり、多くの日本人が移住した。
軍人を除く昭和18年6月末時点の居住者33,960人の内訳は、内地人(内地出身日本人)25,026人、朝鮮人(朝鮮半島出身日本人)2,460人、パラオ人先住民6,474人、他にスペイン人・ドイツ人宣教師18人であった。
日本は1933年に国際連盟から脱退したが、「統治委任はパリ講和会議によるもの」と主張して、国際連盟の加盟諸国もこれを認めたために委任統治を続けた。
なお、国際連盟からの脱退により、国際連盟の「委任統治領に軍事施設を建設してはならない」という規則の制約から逃れた日本は、各地に海軍の関連施設を建設した。
第二次世界大戦(太平洋戦争、大東亜戦争)が始まると、コロールは海軍の重要な基地として北西太平洋方面の作戦拠点となった。
そのため、連合軍の攻撃対象となり、1944年にはペリリューの戦いなどで両軍に多くの戦死者を出した
1945年8月に日本の統治が終了した当初は日本への反感が一部にはあったものの、現在では非常に親日的でかつ多くの日本人観光客が訪れている上、アメリカに次いで日本から莫大な援助を受けている。
ミクロネシアの島々は、少年の頃愛読した漂流記で馴染んでいるが、残念ながらパラオには行ったことがない。
天皇陛下は出発に先立ち、皇太子さま、秋篠宮さま、安倍晋三首相らを前に多くの犠牲者が出たことに触れ「太平洋に浮かぶ美しい島々で、このような悲しい歴史があったことを、私どもは決して忘れてはならないと思います」と述べた。
また、同国の人々が厳しい戦禍を体験したにもかかわらず、戦後に慰霊碑や墓地の清掃、遺骨収集に尽力してきたと紹介し、「心から謝意を表したいと思っております」と語った。
両陛下は8日夕にパラオ国際空港に到着。同国のレメンゲサウ大統領夫妻が出迎える。歓迎式典に臨み、夜は同国主催の晩餐会(ばんさんかい)に出席し、在留邦人と懇談する。
両陛下、パラオに出発 太平洋戦争の犠牲者慰霊
両陛下のご高齢にもかかわらず、止むに止まれぬ思いが感じられる。
両陛下の心が、慰霊であって決して顕彰ではないことを、安倍首相は理解しているであろうか。
⇒2013年12月27日 (金):慰霊と顕彰/「同じ」と「違う」(66)
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