福井地裁が高浜原発再稼働に不許可の仮処分/日本の針路(137)
福井地裁は14日、関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を認めない仮処分を出した。
画期的な司法判断と言えよう。
東京新聞4月15日
関西電力が何らかの対抗措置をとり、上級審に持ち込まれるだろうが、それまでは運転できないことになる。
高浜3、4号機は今年2月、新規制基準による原子力規制委員会の安全審査に合格して、関電は今年11月ごろの再稼働を見込んでいた。
しかし、規制の審査は必要条件であって十分条件ではない。
⇒2014年12月18日 (木):原発は審査基準に適合すればOKか?/原発事故の真相(122)
私は、池内了『科学・技術と現代社会 上』みすず書房(2014年10月)の序章「原発事故をめぐって」で述べられていることに全面的に同意する。
すなわち、福島原発事故で「想定外」とされたことについて、次のように整理した。
・人工物を作る上で技術は現実と「妥協」しなければならない。
・つまり人工物設計の基本指針(規制基準等)においては、余り重要出ないと判断した要素は切り捨てている。
・この切り捨てた部分で限度を越えれば、事故が起きるのは当然である。
・原発は莫大な量の放射能を内部に抱え込んでおり、如何なる規模の天災にも耐え得なければならない。
・地震列島である日本は地震や津波災害が頻発し易いことを考えれば、日本には原発を設置すべきではなかった。
⇒2015年2月13日 (金):高浜原発の再稼働を許すな/技術論と文明論(20)
高浜原発再稼働スケジュールは下図のようになる。
福井・高浜原発:再稼働、差し止め 福井地裁、仮処分 「新基準、合理性欠く」
当該機は、耐震設計上想定される最大の地震動「基準地震動」を新規制基準に基づいて550ガル(ガルは揺れの大きさを示す加速度の単位)から700ガルに引き上げた。
しかし決定は各地の原発で2005年以降、基準地震動を超える地震が5回あったことを指摘し、「基準を超える地震が高浜に到来しないというのは楽観的見通し」と断じて、地震による事故は「現実的で切迫した危険」と評価した。
安倍政権の要である菅官房長官は、「原子力規制委員会の判断を尊重して再稼働を進める方針に変わりはない。粛々と進める」と明言した」。
原子力委員会は必要条件について判断しているのであって、十分条件については何らの判断もしていないのである。
封印したはずの「粛々と進める」という表現を使ったのは、「衣の下から鎧が見えた」ということであろう。
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