データからインテリジェンスへ/知的生産の方法(118)
知人の会社の若い女性社員たちと算数のトレーニングをやっている。
岡部恒司、戸瀬信之、西村和雄 『新版 分数ができない大学生』ちくま文庫(2010年3月)(原著は東洋経済新報社(1999年6月))と言われて久しい。
皆、名前を知られた大学の卒業生であるが、基本的には文科系である。
算数トレーニングというのは、テキストとして、小田敏広『大人のための算数教室』中経出版(2011年10月)を使っているからである。
有名中学の入試問題などを中心に解き方を解説している。
このテキストを選んだのは、編集方針が気に入ったからである。
小田さんは、著者紹介欄によれば以下のような人である。
小学校時代は"算数のできる人"として過ごし、算数オリンピックにも2大会連続で決勝大会に進出した。
灘中時代に、広中杯全国中学生数学大会で決勝大会6位入賞し、高校進学後は教育問題に関心を持った。
東京大学教育学部に進学、教育行政学を専攻したが、アルバイト先の塾で "算数のできない"子どもを見る中で、、"正しい算数のやり方"を伝えるべく奮闘している。
算数の教え方のプロと言っていいだろう。
小田さんは、算数の問題を解くステップを次のように抽象化している。
これを見て、私はビジネスの進め方と一緒ではないかと思ったのである。
step①~③は、情報分析プロセスである。
保有している情報を解析して、有用な形にする。
生のデータを加工して、目的に沿うような形に加工する。
いわゆるインテリジェンスである。
ビジネスの場合には、不足している情報があれば、さらに追加の調査等を行うが、基本的には同じことである。
step④~⑦は、PDCAサイクルでる。
計画を立て(P)、実行し(D)、確認し(C)、アウトプットする(A)と考えればいいだろう。
中学入試とはいえ、取っつきにくい問題もある。
小学校では習わないはずの方程式でも、微分積分でも、何でもアリということにしている。
問題集の形式なので、交代で先生役を担当する。
これはプレゼンテーションの練習であるが、教えることが最良の学びということでもある。
皆さん、発表を工夫し、楽しんでやっているようであり、何よりである。
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