異次元金融緩和の効果と限界/アベノミクスの危うさ(50)
黒田日銀総裁が自ら「異次元の」と胸を張った大規模な金融緩和から2年経つ。
その効果はあったのか?
そもそも金融緩和の狙いはどう設定されていたのだろうか?
異次元緩和2年:黒田日銀に試練 遠い物価2%目標
要するに、円安・ドル高に誘導して経済を活性化させようということであろう。
現実はどうか?
2年間の「成果」は次のように言われる。
東京新聞4月3日
株価は上がったが、物価の微増は円安による輸入価格の上昇による。
経済が活性化したとはとても言えまい。
実体経済に対しては効果はなかったと考えられる。
私は政策目標として「経済成長」を掲げること自体、不適切な社会になったと考えるが、アベクロ氏たちはそうは考えていない。
異次元の金融緩和は壮大な社会実験ともいわれたが、明らかになったのは金融政策で物価をコントロールするのは困難ということだ。安倍晋三首相の政策ブレーンといわれるリフレ派は「物価は貨幣現象であり、マネーの量で決まる」と主張してきた。貨幣(マネタリーベース)は約束通りに二倍に増えたが、物価は二年たっても、ほぼ横ばいなのである。
異次元緩和2年 目標未達の説明果たせ
金融政策だけでは限界があるだろうし、財政出動は旧来の政策、成長政策は実体がない。
伊東光晴氏が老躯に鞭打って『アベノミクス批判――四本の矢を折る』岩波書店 (2014/7/31)で書いているように、最大の問題は「4本目の矢」である政治思想である。
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