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2015年3月30日 (月)

日本一有名な父娘ゲンカ・大塚家具/ブランド・企業論(34)

「日本一有名な父娘ゲンカ」と言われた大塚家具の定時株主総会が、27日、東京・有明の本社で開かれ、大塚久美子社長側の「第2号議案」を賛成多数で可決し、久美子氏の社長続投が決まった。
ただ議案に賛成したのは有効議決権の61%にとどまり、総会では株主から経営の立て直しを求める声が相次いだ。

 総会で議長を務めたのは社長の久美子氏。業績、議案の説明が一通り終わると、会長の勝久氏が口火を切った。一株主として自らの社長復帰と久美子氏の退任を盛り込んだ「第5号議案」を説明するためだ。
 「私がやらないと大塚家具だけではなく業界全体がダメになる」「ベンチャーだった三十数年前から日本生命(保険)、東京海上(日動火災保険)の皆さまには株式を持っていただき、大きな迷惑を掛けずにやってきた」。勝久氏の第一声は、まるで投票前日の選挙演説のような切実さに満ちていた。
 勝久氏、久美子氏ともに事前に固めた「基礎票」は2割強で、ほぼ拮抗。大株主の生損保と多数の個人株主を味方に付けることが、勝負の分かれ目となった。
 勝久氏は高ぶる感情を抑えきれなかったのだろう。株主議案の説明にも関わらず、話は次第に家族の歩みに逸れていった。
 「私は5人子供をつくった。その中でも大きく生まれた子は久美子。しかも難産だった。途中で諦めようと思ったが女房が頑張ってくれた」「まだ10年、いや20年、私はできる。今度こそ、後任は間違えないように選びたい」。
 この間も議長席の久美子氏はじっと唇を噛んだまま。うつむきながら時に涙を浮かべる場面さえあった。久美子氏は緊張感が高まると、耳の下から手でボブヘアをかき上げる癖がある。右耳、左耳と交互に髪に触れる様子は穏やかではない心もようを映している。
久美子社長、涙にかすむ株主との対話

私は、会社の内情について、詳しいことは知らない。
しかし上記の勝久会長の発言を観ただけで、とても公開企業とは思えない。
同社は1980年3月に店頭登録をしている。
35年経つが、家業意識は消えていなかったということだろう。
株主構成は以下の通りである。
Photo
多数派形成をめぐって、久美子社長と勝久会長が激しく争った。
結果は久美子社長が株主の多数に支持を得たわけであるが、ブランドに大きな傷がついたことは否めない。

そもそもは経営路線をめぐる対立であるという。

 「大塚家具は高級家具だけを売っているのではない。会員制ビジネスを見直し、もっと気軽に立ち寄ってもらえる店舗づくりをしていく」

 中期経営計画説明会と題した26日の記者会見。久美子社長は勝久氏が1969年に創業して以来の経営路線の変革の必要性を訴え、「ホテルなどの法人向けや小型店の展開も強化していく」と収益力を回復させる方針を示した。

 2人の対立が表面化したのは、2014年7月に勝久氏が久美子氏を解任し、自ら社長を兼務したのがきっかけだった。09年に勝久氏に代わり社長に就任した久美子氏は、手ごろな価格や斬新なデザインで顧客を集める「ニトリ」や「イケア」との競争を意識した経営改革を実行。来店客を会員にして従業員がつききりで商品を説明する営業方法や、折り込みチラシを使った集客など、勝久氏が築いた「成長モデル」を次々と覆した。

 しかし、リーマン・ショックや消費増税後の需要低迷期と重なったことで改革は成果に直結せず、業績が低迷したことで2人の対立は激化。いったん解任された久美子氏は今年1月、身内の取締役を味方に付けて社長に復帰した。
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高級路線か変革か…社長と会長、泥仕合の様相

定時株主総会までに、舞台裏で争いを収めることはできなかったのか?
久美子社長にとって、いばらの道はこれからも続くことになろう。

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