金融緩和政策の出口をどう考えるのか?/アベノミクスの危うさ(49)
アベノミクスと称される3本の矢のうち、第3の矢とされる成長戦略に実体はあるのか?
確かに、金融緩和政策は、日本経済新聞が1面トップで取り上げているように株高をもたらした。
日本経済新聞2月20日
日経平均株価の動きは、世界の多くの株式市場を上回っている。
理由は何か。
今年に入って円ドルレートにほぼ変化はないし、昨年の日本経済はゼロ成長だった。
残る要因は、金融緩和によって上級されている資金の流入である。
また、13兆円の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、債券買い入れを減らし、国内外の株式保有高をほぼ倍にするという方針転換をした。
要するに、実体経済の反映ではなく、政府があらゆる手を使って株価を押し上げているのである。
静岡新聞3月13日
しかし実体経済については、私を含め、余り景気のいい話は聞かない。
⇒2014年1月 9日 (木):金融緩和で実体経済に資金は回っているか/アベノミクスの危うさ(24)
日米欧の金融緩和策を実施してきた。
アメリカの連邦準備理事会(FRB)は、リーマンショック以降の不況を受け、実質金利をゼロに据え置き、3度にわたり量的緩和をしてきた。
⇒2014年12月26日 (金):アメリカの超金融緩和政策とその終焉/日本の針路(90)
欧州中央銀行も今年1月導入を決めた。
日銀は異次元金融緩和を実施している。
⇒2014年11月 1日 (土):博打的な経済政策の行方/アベノミクスの危うさ(41)
トリクルダウンで下々も恩恵を受けるということであるが、いつのことであろうか?
どうやら格差は拡大する方向に動いているようである。
⇒2014年12月24日 (水):『21世紀の資本』と富の偏在/アベノミクスの危うさ(44)
もっとも、安倍首相は、ピケティ氏の言うことなど聞く耳は持っていないようであるが。
⇒2015年2月19日 (木):ピケティVS アベノミクス/アベノミクスの危うさ(48)
経済政策の真打ちとも言うべき成長戦略は何か?
1月にスイスのダボスで開いた国際会議の討論会。「第3の矢(成長戦略)が今ひとつですね」と突っ込まれた黒田氏は、苦笑いするしかなかった。ある日銀幹部は「第1の矢である金融政策でやれることはやるが、そろそろ政府にバトンを引き継いでもらわないと」と本音を漏らす。
すれ違う首相と日銀総裁 蜜月に試練
世界経済の長期停滞が言われている。
それがいかなる要因による如何なる現象であるのかを判断しない限り、成長を言うことは虚しい。
私には「成長の限界」の顕在化のように思えるのだが。
日銀は金融緩和政策をいつまで続けるのだろうか?
そしてその帰結はどうなるのであろうか?
⇒2014年12月 7日 (日):異次元金融緩和の帰結/アベノミクスの危うさ(43)
⇒2015年1月26日 (月):異次元金融緩和は危険ドラッグか?/アベノミクスの危うさ(47)
安倍首相と黒田総裁の間にもすきま風が吹き始めたようである。
泥憲和『安倍首相から「日本」を取り戻せ!!』かもがわ出版(2014年11月)に1票を投じたい。
⇒2015年3月 8日 (日):「無知」の「無恥」・末期的症状の安倍内閣/日本の針路(117)
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