「左手のピアニスト」の活躍/人間の理解(11)
私は想定外の脳梗塞の発症という事態に遭遇し、後遺症で長期の入院を余儀なくされた。
回復期の病院を退院して間もない頃、舘野泉さんの紹介新聞記事を目にした。
⇒2010年11月29日 (月):左手のピアニスト
厳しいトレーニングによりプロの演奏家になった舘野さんの姿は大きな励みになった。
その頃は、私も後遺症がさほど厄介なものとは思っていなかった。
5年後の現在も、右手でマウスすら操作できないということになろうとは考えていなかったのである。
もちろん、舘野さんに比べれば、私のリハビリは緩いであろう。
しかしこれは性格なのでどうしようもない。
その後やはり左手のピアニストとして演奏活動を続けている智内威雄さんの生演奏を聴く機会があった。
智内さんは、局所性ジストニアという病気を発症し、やはり右手の随意性を失ったのだ。
⇒2011年4月13日 (水):左手のピアニスト・智内威雄さんの演奏を目の前で聴く
NBO(日経ビジネスオンライン)に舘野泉さんの記事が載っていた。
3月11日号の『南相馬を照らす「左手のピアニスト」』である。
舘野さんは、「2012年のNHK大河ドラマ「平清盛」で、テーマ曲の独奏ピアノを担当したことでも知られる」とあるが、私は「平清盛」をほとんど見なかった。
2004年に南相馬市民文化会館(愛称「ゆめはっと」)が開館した時から、名誉館長を務めている。
僕の熱心なファンの1人だった当時の原町市長(現在は合併し、南相馬市)から頼まれ、開館と同時に引き受けたのが縁です。
病で倒れてからの依頼でしたから、正直驚きましたが「今だからこそ」と言ってくださったのは、とてもうれしかったですね。その気持ちに応えたいと思いました。
ゆめはっとは、音響設備を重視し、2階席もあって1000人以上が入る立派なホールです。名誉館長として年に2回演奏をしに行く約束があります。震災が起きる前は、海外のオーケストラを僕が呼んで、コンサートを開いたりもして活発に活動していました。
このホールができる以前は、演奏会といえば結婚式場とか、公民館が会場でした。もともと、吹奏楽が盛んな土地柄でしたから、音楽の拠点であるこのホールのことを、音楽や演劇を愛する地元の人たちがとても誇りに思っています。
旧原町市にある原町高校は私の知人の出身校である。
この記事を読んでいたとき、TVで、原町高校出身の長距離ランナー、箱根駅伝で元祖・山の神と称された今井正人選手が世界選手権代表に決定したというニュースが流れた。
知人の話だと、今井選手のご両親は避難生活を続けているらしい。
原町高校という名前など、普通ではなかなか記憶に残らないのだが、不思議な縁を感じる。
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