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2015年2月24日 (火)

歴史に学ばない浅慮の安倍首相/日本の針路(111)

倍晋三首相が23日の衆院予算委員会で、日本教職員組合(日教組)の関連団体から民主党議員に政治献金があったと指摘した自身の国会答弁について、発言を撤回し、陳謝した。

 首相は20日の同委で、日教組の関連団体「日本教育会館」が民主党議員に献金していると指摘。民主党は事実でないと訂正と謝罪を求めていた。
 首相は日教組が国から補助金を受けていると主張していたことについても「そうではなかった」と誤りを認めた。
・・・・・・
 また企業・団体献金の禁止については「日本は法人社会的なところがあり、個人献金は非常に難しい。そういう社会の成り立ちもあり、今の段階で(禁止は)難しい」と言及。「違法なことがあってはならず、透明性を上げていき、説明責任を果たしていくことだ」と語った。
安倍首相:「日教組」答弁撤回 「私の記憶違い」 予算委で謝罪

まったくお粗末というしかないだろう。
さすがに日経新聞のコラム「春秋」も呆れたような書きぶりである。

▼先週の19日に安倍晋三首相が見せた笑顔は、どう表したらいいだろう。衆院予算委員会の初日、民主党の玉木雄一郎議員が西川公也農相の政治とカネの問題を追及した際に「日教組はどうするの」とヤジを飛ばした、あの表情だ。ヤジという品のない行為にぴったりはまる、という意味では「にやにや」という言い回しか。
▼翌日、民主党の前原誠司議員から批判を浴びて、首相は次のように応じた。補助金をもらっている日教組の関連団体から献金をもらっている議員が、民主党にいる――。なるほど、ヤジの背景にはそんな情報があったのか、と思いきや。週が明けたきのう午前、首相は答弁の一部を訂正した。「正確性」を欠いていた、
▼そして、きのうの夕方。西川農相は首相に辞表を提出した。唐突感は否めない。首相が飛ばしたあのヤジは、いったい何だったのか。辞表を受け取って「任命責任は私にあります」と語った首相の表情は、いよいよこわばっていて、うまいオノマトペが思い浮かばない。国民の気分なら「うんざり」でしっくりくるのだが。
春秋

陳謝すると言っても「企業・団体献金の禁止」についてや止める気はないし、任命責任と言っても口先だけである。
こんな首相は早く退出すべきだろう。
安倍政権になって、とんでもない事態が進行している。
防衛省が、文官統制規定を撤廃するというのだ。
内部部局(内局)の背広組(文官)が制服組自衛官より優位を保つと解釈される同省設置法12条を改正するという歴史に逆行する方針である。
Photo

文官(文民)統制=シビリアンコントロールは、職業軍人でない文民が、軍隊に対して最高の指揮権を持つことである。
軍部の政治への介入を抑制し、民主政治を守るための原則である。
このまま法律が変われば、文官は軍事的分野に立ち入れなくなり、制服組優位が実質化してしまう。

防衛省の言い分は「軍隊の運用は、専門性が高いうえに迅速な対応を要求されることなどから、軍が一元的に扱うことが、世界各国では一般的となっている」ということらしい。
まったく事実に反する。
たとえば軍事国家アメリカでも、大統領と国防長官はもちろん文民であるが、5人の国防副長官も全員が文民で、しかも議会の指名が必要となっている。
統制権限を軍部が握ってしまった大日本帝国の失敗を、政府が率先するというのだから、歴史に何も学ばないということだ。

防衛省設置法
(官房長及び局長と幕僚長との関係)
第十二条  官房長及び局長は、その所掌事務に関し、次の事項について防衛大臣を補佐するものとする。
 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊又は統合幕僚監部に関する各般の方針及び基本的な実施計画の作成について防衛大臣の行う統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長(以下「幕僚長」という。)に対する指示
 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊又は統合幕僚監部に関する事項に関して幕僚長の作成した方針及び基本的な実施計画について防衛大臣の行う承認
 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊又は統合幕僚監部に関し防衛大臣の行う一般的監督

図解すれば以下のようである。

Photo_2
大臣が制服組トップの統合幕僚長や陸海空の幕僚長に指示を出したり、幕僚長の方針を承認したり、一般的な監督をする際に、背広組の官房長や局長が「大臣を補佐する」と規定。これにより「文官統制」ができる仕組みになっていた。改正案では、官房長、局長らは各幕僚長と対等な立場で大臣を補佐すると改める。
「文官統制」廃止へ法案 制服組、立場対等に

安倍政権は、戦後レジームからの脱却と称して「戦争のできる国」作りを急いでいる。
「戦争のできる国」とは、「戦争と縁の切れない国」、「戦争なしには生きられない国」ということだ。
⇒2014年10月14日 (火):経済政策の自壊と暴走政権の行方/アベノミクスの危うさ(40)
今までの自民党には「歴史の教訓」に学ぶという姿勢はあったように思う。
安倍という人は、歴史についても戦争についても何も知らないのだ。

明治時代の初め、当時の軍部大臣に当たる兵部卿の補任資格を「少将以上」の者に限っていた。その後、同様の規定は中断したり復活したりしていたが、1900年(明治33年)に、山縣有朋首相の主導で、軍部大臣現役武官制を明確に規定した。これは、当時勢力を伸張していた政党に対して、軍部を権力の淵源としていた藩閥が、影響力を維持するために執った措置とされる。
しかし、日露戦争後の国際状況の安定と政党政治の成熟により藩閥と軍部の影響力は衰え、1913年(大正2年)には軍部大臣の補任資格を「現役」に限る制度が改められた。再び軍部の影響力が強まった1936年(昭和11年)に軍部大臣現役武官制は復活し、1945年(昭和20年)の終戦後、軍部大臣が消滅するまで続いた。
一方、日本以外の国、特に西欧諸国においては、第二次世界大戦以前においても軍部大臣に文官を任用する例も多く、政治の軍事に対する優位を原則とする文民統制の理念が確立している。
軍部大臣現役武官制-Wikipedia

かくして日本は平和国家から好戦的な国家に逆走していくのだろう。

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