原発依存が招いた関西電力の苦境/ブランド・企業論(32)
関西電力が苦境に陥っている。
1月30日に発表した2015年3月期業績予想では、連結最終損益が1610億円の赤字(前期は974億円の赤字)になりそうだということである。
東京新聞2月3日
八木誠社長は、原子力発電の長期停止が原因と説明している。
しかし、販売電力量そのものが減少しているのである。
実際には、燃料費の増加以上に販売電力量の減少が効いている。燃料費の増加分は燃料費調整に伴う電気料金引き上げなどでほぼ吸収されたが、販売電力量の減少による実質的な減収額は920億円に上った。
14年度の販売電力量は4年連続で前年割れになる見込み。需給面の不安や電気料金の上昇で、家庭・企業とも節電の取り組みを強めている。家庭などへの販売量は521億キロワット時と震災前から11.5%減る見通し。工場など大口も843億キロワット時と8.6%減少する。
大口顧客は関電から新電力への切り替えが進む。自由化が始まった00年から今年1月までの解約は1万1805件、計256万キロワットに達した。特に昨年4月からの9カ月間で66万キロワットと全体の4分の1を占める。16年4月に電力小売りが全面自由化されれば、流出は加速する可能性がある。
関電、新電力へ顧客流出止まらず 4期連続赤字へ
確かに八木社長の言うように、関西電力は原発依存度が高い。
東日本大震災後の2012年3月期の決算発表においても、経常利益が2655億円の赤字、純利益も2423億円の赤字という巨額の赤字を計上していた。
原発依存が招いた過去最大の赤字/火力増強“後回し”のツケが表面化
要は原発依存度の高い構造が裏目に出ているということである。
4年連続の純利益マイナスというのは、常識的に言えば破綻企業である。
こういう状況の中で、八木社長は電事連会長として、原発事故時の電力会社の免責範囲拡大を求めた。
政府の原子力委員会も原子力損害賠償法の改正を検討する方針だという。
原発リスクを外部化(社会的費用化)しようということである。
「原発は安い電源」ということがまったく信憑性がないことが証明されたといえるのではなかろうか。
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