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2015年2月13日 (金)

高浜原発の再稼働を許すな/技術論と文明論(20)

原子力規制委員会は12日の定例会合で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)が原発の新しい規制基準を満たしているとする審査書を正式に決めた。
九州電力川内原発(鹿児島県)に続き2例目となる。

池内了『科学・技術と現代社会 上』みすず書房(2014年10月)は、序章「原発事故をめぐって」で、福島原発事故について俯瞰的に捉えている。
冒頭の「1 何が「想定外」であったのか?」で、原発事故について次のように書いている。

・人工物を作る上で技術は現実と「妥協」しなければならない。
・つまり人工物設計の基本指針(規制基準等)においては、余り重要出ないと判断した要素h切り捨てている。
・この切り捨てた部分で限度を越えれば、事故が起きるのは当然である。
・原発は莫大な量の放射能を内部に抱え込んでおり、如何なる規模の天災にも耐え得なければならない。
・地震列島である日本は地震や津波災害が頻発し易いことを考えれば、日本には原発を設置すべきではなかった。

関電も福井県の西川一誠知事も「地元同意は立地自治体(県と高浜町)だけだ」と言っている。

 滋賀県の嘉田由紀子前知事は「被害地元」という考え方を提唱し、現知事が引き継いだ。原発事故で被害を受ける自治体はすべて「地元」なのである。近畿の水がめである琵琶湖の汚染を恐れる人は、大阪などにも少なくない。
 福島の事故では、たとえば、村域のほとんどが三十キロ圏外の福島県飯舘村が、放射能による全村避難を余儀なくされた。どこが被害地元になるかは、その時々の複雑な気象条件次第である。科学的な線引きは難しい。福島の教訓を忘れてはならない。3・11後、地元の意味も大きく変化した。
高浜・審査適合 「地元」とはどこなのか

京都は千年の都であるし、琵琶湖は近畿の水瓶だ。
Photo_2
東京新聞2月13日

原子力規制委員会の田中俊一委員長は、かねてより、審査について「稼働に必要な条件を満たしているかどうかを審査した。イコール事故ゼロではない」と述べた。
田中委員長は、必要条件と十分条件を区別しているのだ。
⇒2014年12月18日 (木):原発は審査基準に適合すればOKか?/原発事故の真相(122)

どういうことか?
稼働規制基準に適合していることが必要であるが、規制基準に適合していれば稼働できるというわけではない。
必要条件、十分条件の関係を改めて図で示そう。
Photo
ここが違う 数学が苦手な人、得意な人の「考え方」

安倍首相は、「規制委が安全性を確認した原発は再稼働を進める」というが、上の例では「神奈川県生まれである」と規制委がいえば、「それでは横浜生まれだ」と言っているようなものだろう。
原発の集中地帯にある高浜原発を稼働させるのは許されない。

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