電力の広域連携により再生エネ利用促進を/技術論と文明論(21)
エネルギー源としての電力の優位性は、ハンドリングの良さにあると言えよう。
使用に応じてスイッチをON-OFFするだけで良い。
また、移送は電線を通じて行われる。
初期費用は大きいが、変動費は小さい。
したがって、電力発生源と需要地は遠隔であることが多い。
効率を優先すれば、大規模集中で遠隔地で生産し、需要地に送電するのが合理的である。
水力は山奥のダムで発電され、火力や原発は、原料の輸入に便利な沿岸部で発電された。
このことが大都市に集中する需要者の意識から、電力供給までのプロセスを除外してきた。
2011年の東京電力の計画停電は、私が見ても拙劣であり、現場の苦労は頭では理解するものの、イライラ感が嵩じたのは事実であった。
⇒2011年3月26日 (土):体験的計画停電考
⇒2011年3月27日 (日):計画停電を避けるために、省エネルギーをどう実現していくか
戦後の経済復興には安定した電力供給が不可欠であったことから、昭和26年、全国を9地域に分け、自主性と供給責任を持たせた発送配電一貫の現在の体制となった。
電気事業と電気料金のしくみ
計画停電という事態は、原発事故で電力需要が賄えないということからとられた。
その結果、首都東京をはじめとして、計画停電の地域の機能は著しく低下した。
ATMは使えないし、交差点の信号機も消え、電車は動かず、ゴミの焼却もできない。
工場は生産の予定が立てられないなど、経済活動にも甚大な影響を及ぼした。
しかし、本当に電力は不足していたのか?
確かに東京電力では足りなかったかも知れないが、他の電力会社ではどうだったのか?
再生エネの系統への接続の締め切りは、余裕のある電力会社でも行われている。
安倍政権の再生エネ潰しと言われる所以の1つであるが、諸外国と比べて再生エネ(地上資源)比率が低いにもかかわらず積極的でないことからも窺えよう。
⇒2015年2月 9日 (月):安倍政権の再生エネ潰し/技術論と文明論(18)
電力会社間で電力を融通する広域連携系を活用すれば、電力不足のかなりの部分が解消されるのではないか。
電力需要は広範囲にわたって総合するほど負荷率が良くなり、各発電所の特性を発揮させることができる。
また広域的に運営することによって、必要とされる供給予備力の保有量を各社単独で確保する場合に比べて小さくすることができる。
「週刊朝日」2014年10月31日号
再生エネ利用を加速することが「成長の限界」を越え、サステナブルを可能にするパスである。
広域連携系を活用すれば、再生エネの受け入れ余地も増大するのである。
⇒2015年1月29日 (木):「地上資源文明」の可能性/技術論と文明論(15)
⇒2015年1月30日 (金):再生エネ促進政策はお蔵入りか?/技術論と文明論(16)
⇒2015年1月31日 (土):「この道しかない」はソフト・パスだ!/技術論と文明論(17)
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