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2015年1月21日 (水)

日本人をターゲットとしたテロと安倍政権/世界史の動向(31)

遂に恐れていた事態が起きたというべきであろうか。
イスラム過激派組織「イスラム国」が、日本人2人を人質に取り、殺害を警告するという事件が発生した。
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東京新聞1月21日

「イスラム国」は、日本政府に72時間以内に身代金2億ドル(約236億円)を支払わなければ殺害すると警告するビデオ声明をインターネット上に公開した。
「イスラム国」は、内戦が続くシリアと、イラクの一部地域を勢力下に置くイスラム教スンニ派の過激派組織である。
2人は昨年8月、シリア北部でイスラム国に身柄を拘束された千葉市の湯川遥菜さと、昨年10月シリアに入国したとされる仙台市出身のジャーナリスト、後藤健二さんとみられる。

 ビデオは約1分40秒。「日本政府と日本国民へのメッセージ」との字幕とともに、キューバにあるグアンタナモ米海軍基地のテロ容疑者収容所の収容者が着せられているのと同じオレンジ色の上着を着た男性2人が砂漠でひざまずき、後ろで黒ずくめの服で、黒い頭巾で顔を隠した男が英語で日本政府への2億ドルの要求を突きつけた。2人の脇にはそれぞれ「KENJI GOTO」「HARUNA YUKAWA」と名前がテロップで表示され、男が英語で話す「警告」をアラビア語に翻訳した字幕が流れた。2人は終始無言だった。
 男は安倍晋三首相に呼びかける形で「私たちの女性や子どもを殺し、イスラム教徒の家を壊すために1億ドルを拠出した」と日本を一方的に非難。さらに「イスラム国の拡大を止めるためにムジャヒディン(イスラム聖戦士)と戦う背教者の訓練に1億ドルを拠出した」として要求額を1億ドル上乗せした。ナイフをかざしながら身代金支払いの期限を「72時間」と指定し「もしそうでなければ、このナイフがお前たちの悪夢になる」と警告した。
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イスラム国邦人人質:日本人2人殺害を警告 ネットに映像

日本人2人の殺害警告は、安倍首相が過激派組織「イスラム国」対策として打ち出した周辺各国への総額2億ドル支援を理由としている。
首相は今回の中東4カ国・地域歴訪で独自の中東外交をアピールしようとしていた。
2億ドルは、イラク、シリア、ヨルダン、レバノン、トルコ、エジプトの6カ国を対象に、避難民へのテント設営や医療支援などを主眼にしたものであり、意図的か否かは不明であるが、見当違いというべきであろう。

しかし、同額の身代金要求は、日本の意図を曲解させる狙いもあるのではないか。
日本はイスラムと欧米との懸け橋をこそ担うべきであり、イスラエルとの協調を声明した安倍首相の行為も問題なしとは言えない。
しかし、今はそれを問題にしても生産的ではないだろう。
今どういう選択肢があるのか?

 政府はイスラム国対策では欧米と足並みをそろえ、昨年2月以降、総額3330万ドルの支援策を次々に決定してきた。身代金の支払いに応じれば、これまで築いてきた連携が崩れる恐れがあり、政府筋は「譲歩することはない。国際社会の常識に照らして考えなければならない」と述べた。
 とはいえ、政府は一方で「人命最優先」の対応も迫られている。首相は20日の記者会見で「人命確保に全力で取り組んでいく」と強調。その後、ヨルダンのアブドラ国王、トルコのエルドアン大統領、エジプトのシシ大統領と相次いで電話で協議し、2人の早期解放に協力を求めた。
イスラム国:日本人殺害脅迫 首相中東歴訪、利用 「人道目的」曲解の恐れ

首相は「人命第一」という指示を出しており、関係国と連携する姿勢だ。

 過激組織「イスラム国」によるとみられる邦人殺害警告を受け、日本政府は20日午後、首相官邸で関係閣僚会議を開き、事実関係の把握を急いだ。中東訪問中の安倍晋三首相は、菅義偉官房長官に対し「人命第一」に対処するよう指示。政府は関係国と連携するなどして、人質解放に全力を挙げる方針だ。
安倍首相、人命第一の対応指示=邦人人質「直ちに解放を」―政府、情報収集急ぐ

しかし「テロに屈しない」ことと「人命最優先」は両立するのか?
最悪シナリオは、安倍政権が今回の事件を、「邦人救出のため、とか卑劣なテロと戦うため」と称して、一層軍事偏重に向かうことである。
その場合、自衛権の範囲を中東に、さらにはアフリカや地球の裏側まで広げ、軍拡をし、情報統制を行い、反対者をテロリストの味方と呼んで弾圧することになるだろう。
要は、危機を口実にして軍需産業を拡大し、それを利権の泉にするということだ。
昭和前期の歴史のように。

古賀茂明氏は、『国家の暴走 安倍政権の世論操作術』角川oneテーマ21(2014年9月)で、安倍首相の狙いを、日本を米国に次ぐ世界の列強国(帝国主義国)と変えようとすることであるとして、次のように書いている。

列強国になるとは「戦争ができる国」になることではない。「戦争と縁の切れない国」、「戦争なしには生きられない国」になってしまうことだ。

どういう結果になるか予断は許さないが、危機の根は深いというべきだろう。
⇒2014年10月14日 (火):経済政策の自壊と暴走政権の行方/アベノミクスの危うさ(40)
私はグローバル化の時代とはいえ、自衛隊の出動範囲は無制限に拡大すべきではないと考える。
せめて統一地方選で自民党ではない勢力が伸長し、「国家の暴走」に歯止めをかけることが必要であろう。

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