お笑い番組まで自主規制するNHKの「品格」/日本の針路(96)
爆笑問題(お笑いコンビ)が、NHKのバラエティー番組に出演した際、用意していた政治家についてのネタをNHK側から却下されていたという。
7日放送「JUNK爆笑問題カーボーイ」というTBSラジオの番組で明らかにした。
番組は3日に生放送された「初笑い東西寄席2015」。爆笑問題は司会を務め、漫才も披露したが、政治的なネタはなかった。
ラジオでの発言によると、3日の放送前の打ち合わせで当日のネタのチェックがあり、「プロデューサーに却下され」たという。また、コンビの一人、田中裕二さんは「政治家さんのネタがあったんだけど全部だめって言われた。あれは腹立った」と明かし、もう一人の太田光さんは「誤解しないでもらいたいんだけど、政治的圧力は一切かかってない」と説明した。その上で、太田さんが「テレビ局側の自粛というのはあります」などと話すと、田中さんは「それは色濃くなっているのは肌で感じる」と応じた。
NHK広報局は「放送にあたって娯楽番組の通常の打ち合わせを出演者と行った。その中身については普段から答えていない」とコメントしている。
爆笑問題が所属する事務所の太田光代社長は毎日新聞に対し「NHKとの話し合いで、時間調整のためにネタの一部を落としただけだ」と話している。
NHK:お笑い番組で「政治ネタ却下」 爆笑問題明かす
NHKの籾井勝人会長は8日の定例記者会見で、この問題について、「新聞報道で初めて知った」とし、今後の出演への影響は「ありえない」と話した。
つまり自主規制ということだろう。
その上で、政治家の個人名を挙げたお笑いのネタについて一般論として、「品性、常識があってしかるべきだ。なおかつNHKは公共放送。NHKに出るときは慎む、というと話がややこしいが、自然とそういうのはやめた方がいいのではないか」と述べた。
これは驚いたというべきだろう。
私は、「品性、常識」という言葉は、そのまま籾井会長について言いたいと思う。
籾井会長は、就任時の会見で「政府が右というのを左とはいえない」などと話して、公共放送トップとしての資質を疑問視されている人だ。
NHKの退職者が籾井勝人会長の辞任や罷免(ひめん)を求めている問題で、退職者有志のよびかけ人、小滝一志氏らは23日、NHK経営委員会と籾井会長、理事会に対し、報告書と1401人の賛同者名簿などを提出した。
NHK会長の罷免要求、退職者ら1400人が賛同
先の衆院選においては、自民党から報道機関へ注文文書が出された。
⇒2014年11月30日 (日):安倍自民党がテレビ局に“圧力文書” /日本の針路(77)
かくして、メディアは死んでいく。
健全な批判がないところに、創造的な活力は生まれないだろう。
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