原油暴落のインパクト/世界史の動向(29)
ニューヨーク原油価格(WTI=ウエスト・テキサス・インターミディエートの指標)は、昨年6月1バレル107ドルと歴史的な高値をつけたが、その後は一転して暴落している。
1月5日、原油価格は遂に50ドルを割り込んだ。
東京新聞1月7日
原油安につられて株式市場も暴落したようで、ニューヨーク株式市場も331ドル安となった。
今年が波乱の年であることを告げるかのようだ。
原油価格暴落の要因は何か?
第一に考えられるのは、「シェール革命」である。
アメリカのシェールオイル出現に伴い、世界最大の資源輸入国であったアメリカがエネルギー自給を実現した。
世界のエネルギー需給構造が一変したのである。
第二に、中国やインドなどの景気減速が重なったことである。
需要が低迷すれば、減産して価格下落に歯止めをかけるのが従来のOPECの戦略である。
ところが、サウジアラビアの強い意向で減産を見送った。
原油暴落の影響はどうか?
これほどの暴落は、OPEC加盟国やロシアなどの資源産出国にとっては大きなダメージとなる。
しかし、資源の大半を輸入に頼る日本にとっては追い風になる。
原発が全停止し、電力供給を全面的に火力発電に依存している状況下では、原油暴落は干天の慈雨のようなものだろう。
仮に原油価格が60ドル/バレルで推移すれば、日本の実質GDP成長率は+0.1%押し上げられるという。
しかし、国際金融市場の不安定化というリスクがある。
2014年12月の原油価格急落時に市場がリスク回避に傾いた結果、ルーブル売りの加速した。
原油安と経済制裁によるロシア経済悪化への懸念から、金利が急騰し、資本流出を招いた。
半年の間に約55%下落するというのは、一種の異常事態だろう。
マーケットは常に過剰に反応する。
どの辺りに収束するかは予断を許さないが、異常な状態は徐々に収まっていくだろう。
じっくりと腰を落として、脱化石燃料・非原発の道を探るべきではないか。
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