2015年度予算とアベノミクス/日本の針路(98)
政府が2015年度予算案を決めた。
消費税の再引き上げを先送りしたことを、どう穴埋めするかが焦点の1つといえよう。
東京新聞1月15日
結論的には弱者へのしわ寄せということになろう。
低所得者向けに予定されていた3つの対策のうち、年金がらみの2つは丸ごと先送りされた。
低年金者への給付金と、年金保険料の支払期間の短縮である。
「社会保障と税の一体改革」というが、「負担なくして給付なし」が貫かれた。
弱者は強者のおこぼれ(トリクルダウン)を待て、というのが政権の姿勢だろう。
⇒2014年12月24日 (水):『21世紀の資本』と富の偏在/アベノミクスの危うさ(44)
全体としては、2014年度当初予算より財政収支は改善するように見える。
消費税率を8%に上げた効果が年間を通じて表れるのに加え、企業収益の改善や賃金の増加を背景に法人税や所得税の収入が増える。
しかし、公共事業費には手が付けられていない。
整備新幹線については、北海道など3路線の開業時期の前倒しを決めたが、優先すべきは他にあるのではないか。
介護報酬が引下げられ、障害福祉の事業者向け報酬も実質的に引下げられている。
介護関連人材の不足に拍車がかかり、サービスの低下を招くことになるのは明らかである。
⇒2014年2月17日 (月):「徴介護制」はあり得るか?/花づな列島復興のためのメモ(308)
⇒2014年5月19日 (月):総介護社会への準備を急げ/ケアの諸問題(11)
⇒2014年10月13日 (月):超高齢社会をどう生きるか?/ケアの諸問題(15)
高齢化で膨らみ続ける社会保障費を、14年度比で3.3%増えた。
これを、切り込みが足りないと日本経済新聞「社説」はいうが、切り込みが足りないのは、議員定数削減などの身を切る改革とバラマキではないか。
政府は15年度の名目経済成長率を2.7%、実質成長率を1.5%と見通した。
しかし、26年度の実質経済成長率の見通しは、当初の1.4%からマイナス0.5%へと大幅に下方修正された。
実質成長率が年度でマイナスとなるのはリーマンショック以来であり、アベノミクスがうまくいかなかったのは明らかであろう。
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