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2014年12月22日 (月)

STAP細胞存在の否定と理研の責任/日本の針路(88)

STAP細胞に関する最初の記者会見は衝撃的だった。
今までの発生生物学のパラダイムを覆し、難病の治療に大きな可能性を開くものと期待された。
⇒2014年1月30日 (木):新しい人工万能細胞/知的生産の方法(79)

やがて論文の疑点が指摘され、嵐のような批判が湧きあがった。
⇒2014年3月13日 (木):STAP細胞に関する過熱報道/花づな列島復興のためのメモ(315)
そして、一種の社会現象となって、メディアを賑わせた。
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理研、STAPの成果に焦り 検証実験打ち切り

理研は検証実験を行うため、4月にチームを立ち上げた。
その報告が、19日行われた。

理化学研究所は19日、都内で記者会見し、STAP細胞の有無を調べる検証実験で「再現できなかった」と正式に発表した。3月まで予定していた実験も打ち切る。小保方晴子研究員と、理研の別チームが進めていた実験のいずれでも作製できなかった。下村博文文部科学相は閣議後会見で「STAP細胞が存在しないと確定した」と語った。今後の焦点は不正が起きた経緯の解明に移る。
STAP再現できず検証終了 理研発表、小保方氏退職へ

再現性がなかったということだ。
まことに残念なことではあるが、「存在は確認できない」という結論は既に織り込まれていたとも言える。
細胞の存否問題にはとりあえず決着がついたわけであるが、解明すべき問題は、細胞の存否だけではない。
STAP細胞とされたものの真相はどう考えられるだろうか?

 理研統合生命医科学研究センター(横浜市)の遠藤高帆(たかほ)上級研究員は9月、「STAP細胞はES細胞に非常によく似ている」とする論文を発表した。
 公開されたSTAP細胞の遺伝子データを解析し、8番目の染色体が通常の2本ではなく3本になるという、ES細胞の培養でよくある異常を発見。この異常があるマウスは胎児段階で死ぬはずで、生後約1週間のマウスを使ったとする小保方氏の説明と矛盾する。
 STAP細胞を培養して作り、胎盤への分化能力もあるとされた幹細胞は、ES細胞と、胎盤を形成する栄養膜幹細胞(TS細胞)という細胞の混合物の可能性が高いと結論付けた。
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【STAP問題】存在否定で「正体はES細胞」の疑い強まる

それにしても、亡くなった笹井芳樹氏をはじめ、一流の科学者がどうして誤認したのか。
理研の当初のピンクの壁紙の実験室や割烹着姿まで披露した広報は何を意図したのか。
当事者の小保方氏は理研を退職した。

 魂の限界! 小保方晴子氏(31)がついにギブアップだ。理化学研究所は19日、都内で会見を行い、小保方氏が21日付で退職することを明らかにした。
「夢の万能細胞」と呼ばれたSTAP細胞に疑義が生じてから10か月あまり。小保方氏は9月から先月末まで再現実験を行ってきたが、期限内に立証できなかった。
 実験では緑色蛍光を発光する細胞塊は確認できたものの、それらは万能性を有する条件を満たしていなかった。4月の会見で小保方氏は「200回以上成功してます」と話したが、単なる蛍光発光をカウントしていた可能性もある。小保方氏の言う生成の“コツ”についても、相沢慎一特別顧問(検証チームリーダー)は「明らかになっていない」と首をかしげるばかりだ。
 結末を見届けた小保方氏は15日に退職願を勤務する神戸の事業所長に直接持参し、受理された。任期職員のため、退職金は支給されない。
小保方氏理研退職の裏でノーベル賞理事長の責任問う声

疑惑を指摘されると、監視カメラの下で実験をさせたことにも違和感がある。
理研の記者会見終了直後、検証実験の責任者である相沢慎一チームリーダーが謝罪したのは、万感の思いがあったのだろう。

 2時間あまりに及ぶ記者会見が終了し、報道陣が退室を始めた午後0時45分ごろ、相沢氏がマイクを握って再登壇。「検証実験は、(小保方晴子研究員を監視するための)モニターや立会人を置いて行われた。そういう検証実験を行ったことは、責任者としてものすごく責任を感じている。研究者を犯罪人扱いしての検証は、科学の検証としてあってはならないこと。この場でおわびをさせていただく」と述べ、頭を下げた。
小保方氏を「犯罪者扱いしての検証」と謝罪

理研の野依理事長は、書面で「このたび退職届が提出されましたが、これ以上心の負担が増すことを懸念し、本人の意志を尊重することとしました。前途ある若者なので、前向きに新しい人生を歩まれることを期待しています」とコメントしている。
通り一遍というか、他人事のようであるが、当然これから自身の責任を追及されることになろう。
釈然としないことが多いが、科学の研究に政治が介入する契機となることだけは避けたい。

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