今年を振り返る/日本の針路(93)
今年もさまざまなことが起きた中で暮れようとしている。
自然災害の多発については昨日触れた。
自然現象以外の事象についてはどうだったか?
世界史的には、新しい“戦争の時代”という気がする。
ウクライナ、イスラム国、中国内外の紛争・・・
⇒2014年2月23日 (日):ウクライナの内戦の行方/世界史の動向(8)
⇒2014年6月18日 (水):シーア派とスンニ派/「同じ」と「違う」(76)
⇒2014年9月25日 (木):シリア空爆が自衛権の発動なのか?/世界史の動向(27)
⇒2014年9月24日 (水):言論弾圧は中国共産党のオウンゴール/世界史の動向(26)
このような情勢に対応して、日本を戦争のできる国にしようという動きが着々と進められている。
是か非か?
私は非と考えて、今の日本を覆っている空気を憂うものである。
喜ぶべきこととしては、青色LEDに対する業績で日本人3人がノーベル賞を受賞したことである。
3者3様の記者会見の様子が興味を引いた。
⇒2014年10月 7日 (火):青色LEDでの三教授のノーベル賞受賞を寿ぐ/知的生産の方法(104)
「現代用語の基礎知識」選の今年の「新語流行語大賞」には、次の2つが選ばれた。
◆ダメよ~ダメダメ
不思議な世界観のコントを披露する女性お笑いコンビ日本エレキテル連合橋本小雪さんと中野聡子さん
◆集団的自衛権
受賞者辞退
私には、「ダメよ~ダメダメ」は、余り馴染みがなかった。
「集団的自衛権」については、同賞のサイトに次のような解説がある。
集団的自衛権という用語は30数年前の『現代用語の基礎知識』からすでに収録されており、ずっとそれは現憲法下では「違憲」だと紹介されてきた。それが今年、安倍政権の下でいきなり解釈を変更されて、限定容認だが、その行使が可能となったのだから、これは大事件だ。
文化庁の「国語に関する世論調査」で「***的には」は“ぼかし言葉として若者層に広がっている”と指摘されたことがあるが、「集団」と「自衛権」をつなぐ「的」がどこか煙にまくような機能を果たしているのと無関係ではなかろう。
第31回〔2014(平成26)年〕2014 年間大賞
2つ並べたのは、偶然であろうか意図であろうか?
「集団的自衛権」行使容認は、戦後史を画するものといえるが、一内閣の閣議決定で行われるべきか、あるいはその決定が有効か、という点に重要なしこりが残ったことは否めない。
公益財団法人・日本漢字能力検定協会が公募して選んだ2014年の「今年の漢字®」の第1位は 「税」であった。
その心は?
消費「税」率が17年ぶりに引き上げられ「税」について考えさせられた年
・2014 年4 月1 日の消費「税」の増「税」を前に、日常生活に欠かせない消費財の買いだめや高額商品の駆け込み消費が増加。
・消費「税」率が1997 年以来17 年ぶりに上がり、日用品や電車・バス・タクシー運賃、電気・ガス・水道など公共料金も実質値上がりし、家計への負担が増加。国民生活に大きく影響。
・経済負担増により生活者の金銭感覚が一層シビアになり、「税」について考えさせられた年。
「税」に関わる話題が政財界で多く取り沙汰された1年
・消費「税」アップによる国内総生産(GDP)の落ち込みが顕在化。
・「税」金の有効な使い方を決める側であるはずの国会議員や県議会議員による“政治と金”問題が頻発。
・2015 年10 月に引き上げ予定だった「税」率10%への消費「税」増「税」は先送り。
・引き上げられた「税」は、年金や医療費などの増え続ける社会保障費の財源として。
全国公募により決定した、今年の世相を表す漢字
ちなみに、ベスト10には以下のようなものが入った。
1位 「税」 (ゼイ・セイ/みつぎ) 8,679票(5.18%)
2位 「熱」 (ネツ/あつい・ほてる・いきる・ほとぼり) 6,007票(3.58%)
3位 「嘘」 (キョ/ふく・はく・うそ) 5,979票(3.57%)
4位 「災」 (サイ/わざわい) 5,830票(3.48%)
5位 「雪」 (セツ/ゆき・すすぐ・そそぐ) 5,474票(3.27%)
6位 「泣」 (キュウ/なく) 3,050票(1.82%)
7位 「噴」 (フン・ホン/ふく・はく) 2,984票(1.78%)
8位 「増」 (ゾウ・ソウ/ます・ふえる・ふやす) 2,689票(1.60%)
9位 「偽」 (ギ/いつわる・にせ) 2,543票(1.52%)
10位 「妖」 (ヨウ/あやしい・なまめかしい・わざわい) 2,327票(1.39%)
恒例で、清水寺の森清範貫主の揮毫により発表された。
確かに「税」が話題になったが、個人的には「欺」「詐」「虚」といった印象が残る。
3位の「嘘」、9位 「偽」に近いであろうか。
科学の世界を震撼させたSTAP細胞事件。
⇒2014年12月27日 (土):STAP細胞研究における誤謬と不正/知的生産の方法(113)
日本のベートーベンなどと囃された佐村河内事件。
⇒2014年2月 7日 (金):佐村河内守代作問題/ブランド・企業論(18)
⇒2014年3月 7日 (金):佐村河内守の罪と罰/人間の理解(2)
号泣記者会見の野々村竜太郎・元兵庫県議の政務活動費不正支出問題。
こうして印象的な事件を挙げて行けば、「広報会議」の不祥事ランキングと一致する。
出版社の宣伝会議が発行する広報専門誌「広報会議」は今月4日、ネットユーザーが選ぶ今年の「印象に残った不祥事ランキング」(調査対象は20~80代の男女500人)を発表。1位は小保方氏の不正論文問題で、2位に野々村竜太郎・元兵庫県議の政務活動費不正支出問題、3位に佐村河内守氏のゴーストライター疑惑での謝罪がそれぞれランクインし、記者会見が耳目を集めた問題がトップ3を独占した。
「佐村河内」「小保方」「号泣県議」…記者会見が“劇場化”する現代の時代背景とは
関東学院大学の新井克弥教授(メディア社会論)は、「そもそも人のうわさ話や悪口を言い合うことで、会話者同士が優越感を共有することはコミュニケーション上の避けがたい誘惑でもある。ただ、現在の傾向が先鋭化していけば、記者会見に端を発して集団的な悪口大会を引き起こしてしまう危険性もある」としている。
日本全体が軽躁化しつつあるような気がするのだが。
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