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2014年12月10日 (水)

特定秘密保護法とインテリジェンス/日本の針路(83)

衆院選の喧噪の中で、今日、特定秘密保護法が施行された。
安全保障などに関する政府の機密情報を「特定秘密」に指定し、秘密をもらした公務員や民間業者に最高で懲役10年の刑罰を科すなど、情報もれに厳しい措置をとる一方で、秘密の指定が妥当かをチェックする仕組みは不透明だ。

特定秘密は①防衛②外交③スパイ活動防止④テロ防止の4分野で、「自衛隊の訓練又は演習」「国民の生命及び身体の保護」などの55項目が該当する。外務省、防衛省、警察庁など19の行政機関の大臣らが指定する。衛星画像が多く、数十万点に上るとみられる。指定期間は最長60年で、暗号情報などはさらに延長できる。
不正な秘密指定をチェックする機関として、内閣府に新設する「独立公文書管理監」には、検事が就任する見通しだ。管理監は内部告発の窓口にもなる。
特定秘密を扱う公務員や民間の契約業者は、秘密をもらす心配がないかを調べる「適性評価」を、施行後1年以内に受ける。犯罪歴、精神疾患、酒癖、借金や、家族と同居人の名前、国籍、住所も確認される。こうした取扱者に対し、特定秘密をもらすように「不当な方法」でそそのかした記者や市民も懲役5年以下の罰則を受ける。
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特定秘密保護法が施行 情報隠しの懸念残る

特定秘密に直接係わるのはインテリジェンス(諜報活動)であろう。
日本はスパイ天国であるといわれる。
そういう状態がいいわけではないことは当然である。

しかし、行政側に,積極的に開示しようという動機はなく、できれば国民から遠ざけておきたいと考えるだろう。
そうすれば、重要な決定ほど闇に包まれたままで置かれることになる。
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東京新聞12月10日

「特定秘密をもらすように「不当な方法」でそそのかした記者」ということで直ちに頭に浮かぶのは、「沖縄密約」を明らかにした西山事件である。
日本政府がアメリカに秘密裏に支払う密約が存在することを掴んだ毎日新聞社政治部の西山太吉記者が、日本社会党議員に漏洩し、横路孝弘氏と楢崎弥之助氏が、西山が提供した外務省極秘電文のコピーを手に国会で追及した。
日本社会党が、野党として存在感があった時代である。

1972年の沖縄返還をめぐる日米間の密約文書開示訴訟で、7月14日、最高裁は元毎日新聞記者西山太吉氏ら原告側の上告を棄却した。
行政機関が存在しないと主張する文書について、「開示の請求者側に存在を立証する責任がある」との初判断を示した。
⇒2014年7月22日 (火):沖縄密約裁判、特定秘密保護法、解釈改憲、アベノミクス/日本の針路(11)

「沖縄密約」を巡っては、2000年に米公文書の存在が判明した。
当時の政府は密約の存在を否定したが、2009年に政権を奪った民主党は密約を調査する有識者委員会を外務省に設置し、委員会は2010年に「広義の密約があった」と結論付けた。
東京高裁も2011年、密約と文書の存在を認めたが、外務省は廃棄の経緯も含めて再調査をしていない。
米国側には当該文書が存在し、わが国には当該文書が存在していないという不可思議な結果になっている。
開示の請求者側というのは、一般に情報弱者であることを考えれば、著しく行政サイドにたった判断である。
行政の主張を追認するのでは、三権分立とは言えないだろう。
⇒2014年7月 8日 (火):沖縄密約裁判と秘密保護法/日本の針路(6)

毎日新聞は不当な取材をしたということで不買運動が起こり、凋落していった。
昨今の朝日新聞バッシングによって、朝日の購読者数は大幅に減少したといわれる。
政府御用達のようなメディアだけ残るといった事態になりかねない。
衆院選に絡めて、自民党がTV局に圧力をかけ、報道が萎縮しているともいわれる。
⇒2014年11月30日 (日):安倍自民党がテレビ局に“圧力文書” /日本の針路(77)

衆院選で与党圧勝となれば、翼賛政治の完成である。
特定秘密保護法は集団的自衛権とセットで考えなければならない。
派兵の根拠も秘密裏のまま自衛隊は海外の戦闘地域にいくのであろうか。
いつか通ったはずの道のような既視感を覚える。

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