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2014年12月 9日 (火)

悪いのは「産まない」か「産めない」か?/日本の針路(82)

麻生財務相(副首相)は、自民党のホンネを分かりやすく表出してくれる。

 麻生太郎財務相は8日、社会保障費の増大について7日の演説で「子どもを産まない方が問題だ」などと発言したことについて、「子どもを産みたくても産めない、親が働いたときに保育をしてくれる所がないといった理由で、結果的に産まないことが問題なのであって、少子高齢化になって、高齢者が長生きするのが問題だと言われるのは話が違うと申し上げた」と釈明した。
 岐阜県笠松町内での衆院選の応援演説で語った。麻生氏は6日の街頭演説で、株高円安で企業が利益を出していないのは「よほど運が悪いか、経営者に能力がないかだ」と発言。野党から「中小企業の実態を理解していない」(民主党の枝野幸男幹事長)などと批判を受けたが、麻生氏はこの日、「(石炭やセメントの)経営をやっていたから、経営者の話はよくわかっている」と反論した。
「産まない方が問題だ」発言、麻生財務相が釈明

安倍首相は、今年1月24日、第186回国会における所信表明演説で次のように語った。

五 あらゆる人にチャンスを創る
(女性が輝く日本)
 全ての女性が活躍できる社会を創る。これは、安倍内閣の成長戦略の中核です。
 仕事と子育てが両立しやすい環境を創ります。「小一のカベ」を突き破るべく、一次内閣で始めた放課後子どもプランを着実に実施してまいります。
 家族の絆を大切にしつつ、男性の育児参加を促します。育休給付を半年間五十%から六十七%に引き上げ、夫婦で半年ずつ取得すれば一年間割増給付が受けられるようにします。
 子育てに専念したい方には、最大三年育休の選択肢を認めるよう経済界に要請しました。政府も休業中のキャリアアップ訓練を支援します。一年半でも二年でも子育てした後は、職場に復帰してほしいと願います。
・・・・・・
七 イノベーションによって新たな可能性を創りだす
(中小・小規模事業者の底力)

 日本のイノベーションを支えてきたのは、大企業の厳しい要求に高い技術力で応える、こうした中小・小規模事業者の底力です。
 ものづくり補助金を大幅に拡充します。ものづくりのための設備だけでなく、新たな商業・サービスを展開するための設備に対する投資も支援してまいります。併せて、「個人保証」偏重の慣行も改めてまいります。
第百八十六回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説

「女性が輝く日本」は、9月29日の第187回国会の所信表明でも柱に据えられている。
そのデモンストレーションをするかのように5人の女性大臣を任命したが、その結果は改めて言うまでもないだろう。
⇒2014年9月29日 (月):怪しい安倍改造内閣の女性閣僚たち/日本の針路(45)
⇒2014年10月 9日 (木):続・怪しい安倍改造内閣の女性閣僚たち/日本の針路(49)
⇒2014年10月16日 (木):続続・怪しい安倍改造内閣の女性閣僚たち/日本の針路(52)

早々に2大臣が辞任せざるを得なくなった。
⇒2014年10月20日 (月):女性閣僚W辞任と片山さつき議員の資質/日本の針路(55)
⇒2014年10月21日 (火):安倍首相における女子力認識の勘違い/日本の針路(56)

いくら言葉巧みに「女性の輝く社会」を訴求しても、働きたくことと出産・子育ての両立が難しい社会の実情を認識していないのだ。
⇒2014年10月24日 (金):「女性が輝く社会」と「妊娠降格」訴訟/日本の針路(58)
⇒2014年10月31日 (金):「輝く女性」の看板に偽りあり!/日本の針路(63)

安倍首相、麻生副首相らの自民党を代表する人たちの思考は、2007年に「女性は産む機械」と発言した柳澤伯夫厚労相(当時)と同じである。
奇しくも柳澤発言が出たのは、第一次安倍内閣の時であった。

1月27日、柳澤伯夫厚生労働大臣(当時)は、島根県松江市で開かれた自民党県議の集会で少子化対策に触れて以下のような発言をしました。
「なかなか女性は一生の間にたくさん子どもを生んでくれない。 人口統計学では、女性は15歳から50歳が出産する年齢で、その数を勘定すると大体わかる。ほかからは生まれようがない。」(要旨)
「産む機械っつちゃなんだけども、装置がですね、もう数が決まっちゃったと、機械の数、機械っつちゃ・・・けども、そういう時代が来たということになると、あとは一つの、まあ、機械って言ってごめんなさいね その、その産む、産む役目の人が、一人頭で頑張ってもらうしかないんですよ、そりゃ」(言葉のママ)
柳澤厚生労働大臣「女性は産む機械」発言

企業が利益を出せないことについても意識してかせずにかは分からないが、急激な円安というアベノミクスの副作用をネグレクトした発言である。
株高円安で企業が利益を出しているのは、一部の輸出型企業である。
経団連等の経済団体の主要な構成メンバーであるが、すでに飽和している。
安倍首相が、「日本のイノベーションを支えてきたのは、中小・小規模事業者の底力です」と言っている中小・小規模事業者は円安で苦しんでいるのが実態だ。

Photo 路地を歩くと、そこかしこから「ガガガッ」と金属を削る音が聞こえてくる。東京都大田区南部の住宅地には、一階が作業場、二階が住居の町工場が点在する。「羽田上空の飛行機から図面を投げれば、着陸した時には製品ができている」と評されるほど技術力の高い工場が多い。「蒲田の町工場」ともいわれる、都内有数のものづくりの集積地だ。
 「冗談じゃねえ。大企業ばかりもうけさせて」。衆議院解散の前日の二十日、地域の一角にある工場で木戸群市さん(69)が憤った。横ではテレビから「円相場は下落し、一ドル一一八円台後半で取引されました」とニュースが。「円安のしわ寄せは、わしらがかぶっている」。木戸さんが吐き捨てるように言った。
 木戸さんの工場では、輸入したアルミなどの原材料から工作機械のネジや金具を作っている。円安のあおりで原材料費は値上がりを続ける。例えば研磨用ネジでは、第二次安倍政権発足前の一本六千五百円が、八千円になった。
 「これでは給料を上げられないし、ボーナスも出せない」。木戸さんは二人の従業員に目をやり、悲しげに話した。
<この2年私たちは 衆院選> 町工場に円安しわ寄せ

にもかかわらず、衆院選の見通しをメディアは与党の圧勝であろうと予測している。
本当にそうだろうかと思うが、現在の世論調査の精度からすればそうなる蓋然性は高いのだろう。

 毎日新聞は第47回衆院選(定数475=小選挙区295、比例代表180)が14日に投開票されるのを前に、5〜7日に特別世論調査を実施し、取材情報を加味して中盤情勢を探った。自民党は小選挙区、比例代表で計300議席を上回る勢いで、公明党と合わせて衆院の3分の2(317議席)を超えるだけでなく、自民単独での3分の2超えも視野に入る。
・・・・・・
 連立を組む公明党も、候補者を擁立した9小選挙区がいずれも優勢で、比例代表と合わせて30議席半ばをうかがう。提出法案が参院で否決された場合に衆院で再可決できる「衆院の3分の2」を上回る議席を、自公両党で再び獲得するのは確実な情勢だ。
衆院選:中盤情勢、毎日新聞総合調査 与党、3分の2超す勢い 自民堅調続く 民主伸び悩み 第三極振るわず

安倍首相は口では中小・小規模事業者の底力と言うが、政策は大企業に偏っている。
象徴的なのは原発政策である。
原発は電力会社、電気・機械メーカーなどの大企業が中心である。
一方、再生可能エネルギー開発や省エネ技術開発に取り組んでいるのはベンチャー企業が多い。
ノーベル賞授賞式に3人の日本人物理学者(工学者)が出席するため、スウェーデンを訪れている。
LEDのような省エネ技術こそが未来を照らすのではなかろうか。

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コメント

安倍さんには子供がいませんね。
産まないのがワルイ、という、迂闊な一言は、麻生さんには、友達を失うことにもなりかねないものではなかったでしょうか。
自民党として、というよりも、個人的なお付き合い上、発言の取り繕いに一所懸命だった・・・ようにも、思えなくもありません。
政治は今や、あの方達の個人的趣味の時間潰しになっていると、私は思います。
百田尚樹、という人も、毎日、只、時間潰しで生きている彼等の同類だと思います。

投稿: 五節句 | 2014年12月11日 (木) 12時36分

五節句様

コメント有り難うございます。
確かに迂闊な人ですねえ。それでもメディアの予測では、与党圧勝とか。残念なことだとは思いますが、ささやかながら抵抗を試みようかと思っています。

投稿: 夢幻亭 | 2014年12月12日 (金) 11時47分

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