「この道しかない」という硬直性/アベノミクスの危うさ(45)
東京新聞の「本音のコラム」欄には、硬骨の執筆者が名を連ねている。
中でも、佐藤優氏、斎藤美奈子氏、竹田茂夫氏らの指摘には啓発されることが多い。
12月19日の佐藤優氏の『この道しかない』も、ちょっと驚かされるものと言えよう。
おおよそ次のようなことが書いてある。
佐藤氏外務省の研修生としてモスクワで生活しはじめた1988年秋のことである。
ゴルバチョフがソ連共産党総書記長の座について、約3年がたっていた。
ペレストロイカ(改革)について「どうもこのままではソ連経済は向上しないのではないか」という不安が国民の間にし生じ始めていた。
その時ソ連共産党が、「この道しかない」というスロ-ガンを掲げ、テレビ・ラジオは「改革のためには、この道しかない」とがなりたてたという。
プラウダも連日キャンペーンを張り、ゴルバチョフ政権を支持する有識者たちが「この道しかない」というタイトルの論文集を出し、その本が町中にあふれた。
そして佐藤氏は、「今になって振り返ると、このあたりからソ連のペレストロイカ路線はおかしくなって来た」という。
なぜなら、複数の考え方、複数の選択を認め、社会を活性化していこうとすることでソ連社会を活性化するという発想と、「この道しかない」という路線を押し付けることが、矛盾していたからだと。
3年後の1991年12月、ソ連は崩壊した。
さて、佐藤氏がこう書いたのは、先の衆院選で、安倍首相が「この道しかない」と叫んで、結果として与党で3分の2を越える議席を獲得したことを踏まえたものだ。
http://www.ko-1.jp/pdf/sen_shu47_promise.pdf
もちろん、佐藤氏は安倍首相を批判しているのだ。
しかし、安倍政権は3年も持たないで崩壊するであろう。
「この道しかない」ということは、「他の道は探さない、後戻りも出来ない、過ちを諌める声にも耳傾けない」ということだ。
衆院選で自公の勢力は実質的に変わらなかった。
国民は信任したのか?
自共対決を訴求した共産党が大幅に議席を増やし、公明党に替わって右側から支えるとした次世代の党が大敗した。
安倍路線が盤石とはいえない予兆ではなかろうか。
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