安倍首相と百田尚樹の親近性/人間の理解(7)
百田尚樹という作家の人間性を疑わせるようなツイートを、百田氏自身が連発していることは、ネットの世界では有名である。
とりわけ近作の『殉愛』幻冬舎(2014年11月)をめぐる騒動は司法の問題にまでなっている。
⇒2014年11月18日 (火):安倍政権の失敗と総選挙/日本の針路(71)
⇒2014年11月21日 (金):百田尚樹の『殉愛』の売り方/知的生産の方法(110)
⇒2014年11月22日 (土):クリティカル思考の反面教師としての百田尚樹/知的生産の方法(111)
⇒2014年11月28日 (金):安倍首相の盟友・百田尚樹の馬脚/日本の針路(76)
以下はあるブログ記事の引用である。
『先日「民主党がエボラに関する審議をストップさせている」とツイートしたが、厳密に言うと私の勇み足のツイートであったようだ。
しかし、それ以外の重要な審議が遅らせたりストップしている状況は、エボラに関する法案に影響が出ると思われる。』
このあと、URLを記載している(10月29日22時55分)。
あきれてしまって、何を言って良いかわからないが、この百田尚樹という人物は、受験生がイライラで、他人に脅迫メールを送り付けるような勢いで、デマ情報を書きまくっている。
そして、それを指摘されると『厳密に言うと私の勇み足のツイートであったようだ』というのだから、恐れ入る。
はたして、こんな人物がNHK経営委員をやっていて、普通に考えていて問題はないのか?
【百田尚樹の自滅ツイート】よっぽど、NHK経営委員を辞めたいらしい
もちろん私も「こんな人物がNHK経営委員をやっていて」いいとは思えない。
経営委員の仕事について、NHKのサイトには次のような説明がある。
公共の福祉に関し公正な判断をすることができる、広い経験と知識を持つ12人の委員で構成されています。委員は、国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣により任命されます。
http://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/about/
およそ「公共の福祉に関し公正な判断をすることができる」人物とは思えない。
安倍首相の任命責任を問うべきであると考える。
この人事は典型的な「お友達人事」である。
百田尚樹氏は雑誌「Will」の2013年12月号に『安倍晋三論』を書いている。
どんな内容か?
何しろ、あまりにも安倍首相を持ち上げることに、
全エネルギーを使い果たしたかのような、『歯の浮くような』 文章である。
読んでいて、こちらが恥ずかしくなるくらいである。
・・・・・・
この『安倍晋三論』を読み出して、すぐ『妙なこと』に気がついた。
なぜなら、先ほどの『新聞広告』には、『確固たる使命感を持った政治家・安倍晋三との出会いから、 これまでの軌跡を綴った』などと大げさな言葉が出ていた。
ところが、この文章を読み始めてみると、冒頭に書いてあるのは、次のような言葉だ。
<私が安倍晋三(以下、敬称略)と初めて出会ったのは平成24年の8月、雑誌での対談だった。>
この雑誌というのは、この『安倍晋三論』なる文章を掲載している、この同じ月刊誌『Will』である。 なぜ、『本誌』と書かないのか。何を気取っているのだろうか、 と思った。
さらに、この文章の9ページの冒頭には、次のように書かれている。
<私は、安倍総理とはこれまで四回会っている。うち二度は、じっくり時間をかけての対談である。>
この<二度の対談>というのは、どちらも、この雑誌『Will』の対談である。細かくいえば、 今年の10月号と去年の10月号に掲載されたものである。
ということは、百田尚樹氏は、安倍晋三についてこの論文で、『出会いから、これまでの軌跡を綴』るというが、それは、 わずかこの1年ほどのことに過ぎない。おまけに、 4回のうち2回は、 雑誌掲載のための対談で長時間話し合ったということである。
果たして、これだけで『安倍晋三』の人間性について論じることができるというのだろうか?
そして、もしこの『4回の面談』だけで、安倍晋三氏が百田直樹氏を『NHK経営委員』 に推薦することを決めたとしたら、 それだけのことで安倍氏のほうも、百田氏を『NHK経営委員』 にふさわしい人物かどうか、見極める(審査する?) ことができたのだろうか?
(もちろん、『作家』も『政治家』も上手に嘘をつくことが商売なのであろうから、 これ以外に会っているのかも知れない。
それに、百田氏も『会った』のが4回だと書いているだけで、それ以外に電話などで話す機会などもあったのかも知れないが…)
【百田尚樹『安倍晋三論』】『有識者』から『権力者』へのお礼状 その1
百田氏も安倍氏も、自分が批判されることは極度に嫌うが、誉められることは大好きなようである。
百田氏が十分なリサーチをしないでドキュメントをまとめることは『殉愛』で多くの人の知るところとなったが、どうやらそういう体質の人だということだろう。
類は友を呼ぶというが、安倍氏に権力を与えたのは誰か?
総選挙はその反省の機会である。
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