異次元金融緩和の帰結/アベノミクスの危うさ(43)
安倍首相は、「私たちが進めてきた経済政策(アベノミクス)を前に進めていくのか、この政策が間違っているのか」と問うている。
私には、自民、公明、民社3党の合意に基づき法律で決まっていた消費増税の来秋実施を「経済が悪いから」と言って反故にする判断をせざるを得なかったことで、既に結論は出ているように見える。
2年間も続けてきた経済政策が「成果をあげており、続けるべきだ」というのは、「経済が悪いから」という状況認識と論理矛盾であろう。
しかし、この人は論理などはどうでもいいらしい。
情緒的に訴えれば大衆はついてくると思っているのだろう。
アベノミクスの3本の矢といわれる政策のうち、第三の「成長戦略」が現時点まで不発であることは、誰も否定しないであろう。
安倍首相自身も、「これから」と言わざるを得ない状態である。
第二の「財政政策」は主として公共事業であるが、労働力不足で、労働者が移動するだけであって、消費の増大に繋がっていない。
第一の金融政策はどうだろうか?
日本銀行の黒田総裁は、みずから異次元と称する金融緩和を行っている。
金融緩和政策の効果は下図のように考えられる。
日銀の金融政策の結果、必然的に富の格差が拡大。
つまり、実体経済に波及してこそ景気は良くなる。
しかし、大量のカネは民間銀行に留まっているか金融経済へ投資されるか、公共事業に使われるかであって、個人の消費は増えていない。
⇒2014年1月 9日 (木):金融緩和で実体経済に資金は回っているか/アベノミクスの危うさ(24)
卸・小売販売額の指数の推移は下図のようである。
商業販売統計速報 平成26年10月分
物価上昇分を除けば、販売数量はまったく伸びていないと言えよう。
一方、株価の推移はどうだろうか?
日経平均株価(5年)の推移は下図の通りである。
また為替の推移は下図の通りである。
アベノミクス効果で株も為替も活況!
アベノミクスの金融緩和の効果が、株と為替に限定されていたこと明らかであろう。
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コメント
>アベノミクスの金融緩和の効果が、株と為替に限定されていた
株価が上がるということは、大企業の成長が期待されていて、資金が集まってきており、今後景気が良くなると考えてよいのでしょうか?
投稿: | 2014年12月 7日 (日) 22時50分
株価が上がるということは、成長が期待されているという側面もあるでしょうが、上がるだろうという期待が買いに向かわせ、結果として上がってきたという性格が強いだろうと思います。成長が期待できそうな大企業があれば教えてください(^_^)。
株価が上昇することと、資金の流入には直接の関係はないでしょう。
投稿: | 2014年12月12日 (金) 11時53分
成長が期待できそうな大企業が思い浮かばなかったので、なぜ株価が上がるのかなと不思議に感じていました

株が買われるているということは資金調達に成功しているということなのかと考えたのですが、そういうわけでもないのですね。
お返事ありがとうございました
投稿: | 2014年12月14日 (日) 06時11分