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2014年12月15日 (月)

原発事故発生の責任者は誰か?/技術論と文明論(8)

総選挙の争点として、エネルギー政策、とりわけ原発をどうするか、という問題が隠れてしまった。
「この道しかない」と経済政策に絞った安倍首相の側の作戦が功を奏したということだろう。

 衆院選で「原発」が語られていない。安倍晋三首相は11日、来年に再稼働が見込まれる九州電力川内原発の地元で演説したが、「原発」という言葉は使わなかった。再稼働をめぐって党内で意見が割れる民主党の海江田万里代表も積極的に発言しておらず、選挙戦を通じて原発再稼働の議論が深まらない。
 首相は衆院解散を表明した先月18日の会見で、原発政策について「有意義な論戦を行っていきたい」と語った。しかし、2日の公示日に東京電力福島第一原発事故の被災地の福島県内での第一声でも、原発事故には触れず、以後、60回を超えた街頭演説で原発に直接触れたことはない。
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選挙論戦、語られぬ原発 主要政党、地元でも論点にせず


都知事選の際、原発が大きな争点になりかけた。
⇒2014年1月14日 (火):都知事選は国の形を変えるか?/花づな列島復興のためのメモ(293)
⇒2014年1月17日 (金):姑息な自民党の原発政策/花づな列島復興のためのメモ(296)
⇒2014年1月23日 (木):文明や国のかたちが問われる都知事選/花づな列島復興のためのメモ(299)⇒2014年2月 8日 (土):池上彰氏の解説する城南信金理事長吉原毅氏の脱原発論/原発事故の真相(104)

ところが、原発は都政ではなく国政の課題であるという論調が中心となって、脱原発派の票は伸び悩んだ。
⇒2014年2月 9日 (日):都知事選と安倍政権批判/花づな列島復興のためのメモ(305)
⇒2014年2月11日 (火):都知事選の結果と暗い予感/花づな列島復興のためのメモ(306)

一方、地方の首長選では、少なからぬ脱原発候補が当選している。
たとえば今年1月、南相馬市長選で、「脱原発」を訴えてきた無所属現職の桜井勝延氏が再選された。
⇒2014年1月26日 (日):都知事選の争点について/花づな列島復興のためのメモ(300)

総選挙で原発を表に出している団体がないわけではない。
たとえば、緑茶会(脱原発政治連盟) というTea Partyをもじったような団体のサイトでは、原発推進派を「原発イレブン」として落選運動を展開している。
しかし、私自身知らない団体であって、認知度はさほど高くはないだろう。
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安倍首相は、「安全性が証明された原発から稼働させていく」と言っている。
福島第一原発事故のような事故が起きる可能性は、どうしたら否定できるだろうか?
規制委の基準をクリアーしても安全性の証明にはならないと、規制委員長自身が発言している。
⇒2013年7月 9日 (火):規制委の安全性審査は必要条件ではあるが十分条件ではない/花づな列島復興のためのメモ(243)

小倉志郎『元原発技術者が伝えたいほんとうの怖さ』彩流社(2014年7月)は、原発に安全性の証明が不可能であること記している。
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著者は大学院修士課程を卒業後35年間、定年まで東芝で原子力技術者として働いた履歴の持ち主である。
ポンプのエンジニアリング・建設・試運転・定期検査・運転保守サービスなどを担当した。

結論として、原発全体をひとりの人間が把握することが難しいことを訴求している。
巨大な原発は、部分の集合体として建設され、運転されている。
部分を熟知した専門家はいるが、全体を熟知している専門家はいない。
したがって、責任を負う司令塔が不在ということになる。

実際に福島第一原発事故は、史上最大級の事故であるにもかかわらず、事故発生の責任を問われた人はいない。
それでどうして、「安全性が証明された原発から稼働させていく」というようなことが言えるのであろうか?
現場はまだ立ち入り検査もできないのだ。

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