核燃料サイクルと大間原発計画/技術論と文明論(10)
本州最北端の大間町は、マグロ漁で有名である。
あまり口にする機会はないが、豪快な1本づりの様子はTV映像などでもよく見かける。
その大間町に建設中の原発が、16日稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。
建設中の原発の申請は初めてである。
合格すれば原則40年の稼働が可能となるが、2020年12月の完成予定というから、2060年までの運転を想定しての申請である。
しかし、2060年の社会状況を想定することは難しい。
脱原発依存のために貴重な時間であると思われるが、運転を始めれば多くの国民が期待している方向と矛盾することになろう。
大間原発、審査を申請 対岸23キロの函館市「遺憾」
津軽海峡を挟んだ対岸の函館市は、かねてから反対で、電源開発や国に建設差し止めなどを求める訴訟を東京地裁に起こしている。
民主党の野田政権時代、ストップしていた大間原発の建設が再開された時から、問題は明らかであった。
民主党は、自分たちが策定した「30年代に原発ゼロを目指す」というエネルギー政策と矛盾することを平然と行っていたのである。
心ある国民の支持が離れたのは当然であるが、そのことにまったく無自覚ではないのか。
大間原発ではプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を全炉心で使う「フルMOX」を、商業炉としては世界で初めて実施する計画だ。
国や電力業界は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再利用する核燃料サイクル政策で重要な役割を果たすと位置付けている。
ところが、核燃料サイクルは実質的に破綻しているのである。
核燃料サイクル政策の要である青森県六ケ所村の再処理工場も、福井県敦賀市の高速増殖炉原型炉もんじゅも、トラブル続きで実用化のめどが立っていない。使用済み核燃料の全量再処理を目指した現行の原子力政策には、そもそも無理があったと言わざるを得ない。
核燃料サイクル 「再利用」継続は不可能だ
使用済み核燃料の貯蔵スペースにも余裕がない。
⇒2012年6月11日 (月):電源構成と核燃料サイクル/花づな列島復興のためのメモ(83)
核燃料サイクルが長年頓挫したままでサイクルが閉じていないのであれば、サイクルが完結するまで廃棄物を出さないようにするか、再利用計画を見直すかしかないはずである。
⇒2012年9月 4日 (火):核廃棄物をどうするか?/花づな列島復興のためのメモ(137)
規制委の田中俊一委員長は「世界でも実例がなく相当慎重に評価する」と述べている。
プルトニウムを使った燃料は原子炉を止める制御棒の効き目が低下するほか、燃料が溶け始める温度が低いとされる。
危険なMOX燃料を使う大間原発は、中止もしくは凍結すべきではないのか。
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